医療機関でも偽造医薬品流通防止のため、譲渡相手の情報確認など徹底を―厚労省



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 偽造医薬品を初めとする医薬品の違法取引を根絶するため、購入した医薬品の徹底したチェックや、医薬品の購入先・販売先(以下、取引相手)の電話番号などの確認・記録が、1月31日から薬局や卸売販売業者に義務付けられます。

 厚生労働省は1月10日付の事務連絡「偽造医薬品の流通防止に係る省令改正に関するQ&Aについて」(以下、疑義解釈)において、薬局などが取引相手の情報確認に用いるべき書類などを明らかにしました。医療機関でも、同様の対策を自主的に講じることが求められます。

譲渡相手確認などの対策は、医療機関にも求められる

 昨年(2017年)1月、画期的C型肝炎治療薬ハーボニー錠などの「偽造品」が流通し、世間を大きく騒がせました(関連記事はこちらこちらこちら)。厚労省は、「極めて重大な問題である」とし、検討会(医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会)の意見を踏まえて、偽造品流通防止のために薬局などが「直ちに行うべき対応」をまとめ、「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」などの3省令の改正を、今年(2018年)1月31日に施行することとしました。

 医薬品は通常、(1)卸売販売業者が、製薬メーカーから医薬品を仕入れる(2)卸売販売業者が薬局や医療機関に納める―といった経路で医療機関や薬局に届き、患者へと投与・交付されます。このほか、「薬局Aから薬局Bに未使用医薬品を譲渡する」といったケースもあります。

 これを踏まえて、上述した改正省令では、(a)薬局が医薬品を購入したり譲り受けたりする際に、販売者の連絡先などを確認する(b)販売者の連絡先や、医薬品の使用期限、ロット番号などを記録しておく―ことを薬局などに義務付けます。

 また、こうした対策を講じても偽造品や、患者が転売した不適切な横流しの医薬品が薬局に納められる可能性を完全には排除できません。そこで、医薬品譲り受け時に「製品の正しさ」「目視できる損傷がないこと」などを確認することを、業務手順書に盛り込むことなども求めます。

 さらに、薬局が患者に交付した薬局が使い回されることを防ぐために、とくに「販売包装単位」で調剤した際には、外観で「調剤済み」と分かるような施策を講じることも必要となります。

 これらの対策は、薬局や卸売販売業者に義務付けられるものです。しかし、上述した検討会では、「医療機関も偽造品流通防止に取り組むべき」と指摘しており、厚労省は昨年(2017年)10月5日付の事務連絡「偽造医薬品の流通防止について(情報提供)」において、薬局などと同様の対策を講じるよう医療機関に呼び掛けています(関連記事はこちら)。

名刺による情報確認は原則として認められない

 上述した改正省令に基づく対策は、医療機関には義務付けられてはいませんが、薬局などと同じように、卸売販売業者などの情報を入念に確認して記録に残すことで、偽造品などの流通根絶に貢献できます。今般の疑義解釈では、薬局や卸売販売業者が、改正省令に基づき取引相手の情報を確認するに当たって、「どのような資料を用いるべきか」を、次のとおり明らかにしています。

▼薬局や卸売販売業者の情報を確認する際の資料としては、販売業許可証の写しが考えられ、逆に卸売販売業者が薬局の情報を確認する際には薬局開設許可証の写しを用いることができる。薬局開設許可証の写しがない場合には、例えば、保険指定通知書の写しや、地方厚生局が公表している保険薬局等の一覧の写しを使ってもよい

▼卸売販売業者が、薬局内で医薬品を直接交付す場合などには、取引相手のネームプレートや自署(サイン)で、交付相手の氏名などを確認してもよい

▼卸売販売業者が医薬品を渡す相手が、薬局開設者本人ではなく、薬局従業員や、医薬品の配達委託を受けた業者の場合、薬局開設者本人との雇用関係などを確認する必要があり、その際には社員証や運送会社の配達伝票などを活用できる。ただし、名刺で確認することは原則として不可

▼薬局と卸売販売業者との間で、以前から継続的な取引(月に1回以上の取引、長年にわたる年に複数回の取引)がある場合には、お互いに確認を省略してもよい。ただし、「これまでに身元を明確に確認したことがない」場合には、一度は確認しなければならない

 また上述のとおり、薬局は、購入した医薬品の使用期限やロット番号などの記録も残しておかなければいけません。しかし医薬品の中には、使用期限が外装などに記載されていないものもあることから、疑義解釈では、▼使用期限の記載がなく、有効期限が記載されている医薬品の場合、有効期限のみを記録すればよい▼使用期限も有効期限も記載されていない医薬品の場合は、製造単位などを特定し得る情報(例えば医療用ガスのボンベ番号など)を記載すればよい―ことを明示しています。

患者に交付する医薬品にスタンプを押すことなども、不適切な流通防止につながる

 上述したとおり、薬局などは改正省令に基づいて、偽造品流通対策に関する事項を業務手順書に盛り込む必要があります。疑義解釈では、どのような対策が必要なのか、次のとおり明確化しており、いずれも医療機関にとっても参考になるものです。

▼「販売包装単位」で患者に調剤した医薬品が再流通することを防ぐために、例えば▽調剤済みの箱に「調剤済み」と記載するか、スタンプを押す▽箱を開封した上で交付する

▼医薬品の取引状況を継続的に確認する。具体的には、▽取引量が急増する▽取引価格が極端に安価である―医薬品を見つけ出し、その原因などを日常的に確認する

 こうした対策を薬局や卸売販売業者だけでなく、医療機関も講じることで、「怪しい」医薬品の流通防止や、偽造品が発見された場合の円滑な流通経路の解明などが進むと期待されます。

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