【2018年度介護報酬改定総点検3】病院に「嬉しい影響」、平均在院日数短縮や退院調整に貢献



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 来年度(2018年度)の介護報酬改定に向けた議論が佳境を迎えます。近く再開される社会保障審議会・介護給付費分科会での論議に備えるために、これまでの改定論議をおさらいします。今回は、「介護サービス事業所の重要な連携先」である病院の関係者が知っておくべき介護報酬改定の方向性を紹介します。

ケアマネ事業所からの入院時の情報提供が早期・的確に

 まず、「2018年度の次期介護報酬改定で居宅介護支援の評価がどのように見直されるか」を知っておくと、在宅療養中に急性増悪を起こした高齢患者らの入退時の情報収集や、退院に向けた居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)との連携がスムーズになると考えられます。

要介護状態の高齢患者が退院後、必要な介護サービスを利用しながら在宅療養できるように、ケアマネジャーがケアプランの作成や介護サービス事業者との連絡調整などを行っている
要介護状態の高齢患者が退院後、必要な介護サービスを利用しながら在宅療養できるように、ケアマネジャーがケアプランの作成や介護サービス事業者との連絡調整などを行っている

 例えば、在宅療養していた利用者が急性増悪を起こすなどして入院した際に、ケアマネ事業所から病院などへ、利用者の心身状況などの情報を提供することへの評価【入院時情報連携加算】は現在、「利用者が入院してから遅くとも7日以内に情報提供すること」が必要ですが、2018年度の次期改定で、「入院後3日以内」に情報提供することがより高く評価されます。また、「病院側が入院時に知りたい情報」が漏れなく的確に提供されるように、情報提供時に活用できる様式例が示されます。病院側にとっては、▼患者の退院までの計画を早期に立てやすくなる▼退院に向けて特に支援を要する患者を早期に抽出でき、【退院支援加算】を算定しやすくなる―ような効果が期待できます。

2018年度の介護報酬改定では、このような情報共有シートが例示され、ケアマネジャーからの“実用的な情報提供”が促進される
2018年度の介護報酬改定では、このような情報共有シートが例示され、ケアマネジャーからの“実用的な情報提供”が促進される

 ただし、「入院後3日以内に情報提供すること」へのインセンティブがケアマネ事業所側に与えられても、利用者の入院にケアマネ事業所が気付かなければ、早期の情報提供は見込めません。そこで、2018年度の次期介護報酬改定では、「入院した場合には、担当ケアマネジャーの氏名や連絡先を病院職員らに伝えるよう、利用者本人・家族にお願いしておく」ことがケアマネ事業所に義務付けられます。これを踏まえて病院側では、入院した患者本人や家族から、担当ケアマネジャーの連絡先を聞き出し、ケアマネ事業所に連絡することが求められると言えます。

 また介護報酬では、利用者の状態は入院前後で変化することから、ケアマネジャーが退院後の状態に合わせてケアプランを作り直したり、サービス事業者との連絡調整を行ったりすることが【退院・退所加算】で現在も評価されていますが、2018年度の次期改定で、「ケアマネジャーが多職種カンファレンスに参加して利用者の情報を収集する場合」に、この加算の単位数が引き上げられます。

 この「多職種カンファレンス」は、患者が退院後の療養生活に抱く不安を解消するために、退院後の療養生活を支える関係者を病院に招集して開くカンファレンスなどを指します。病院側は、このカンファレンスを開いて、退院後の療養上必要な説明や指導を関係者と共同で行うと、診療報酬の【退院時共同指導料2】(1回400点)を算定でき、カンファレンスに参加する関係者が「3者以上」の場合には、さらに2000点が加算されます。ケアマネジャーが参加すれば「1者」としてカウントされるため、【退院・退所加算】の見直し後、病院側は2000点の加算を算定しやすくなるかもしれません。

入院後の再入居・再入所を促す評価が新設され、退院調整が容易に

 2018年度の次期介護報酬改定では、居住系サービスを提供する有料老人ホームや認知症グループホームなどの評価も見直され、病院などを退院した患者の受け入れが促進されます。

 例えば、有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護には、病院などを退院した患者の入居後、一定期間算定できる【退院時連携加算】が創設されます。現在、生活施設である介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)には、施設内での生活に入所者が慣れるまでの支援を評価する【初期加算】(1日30単位、入所日から30日間算定)が設けられており、いったん入院(30日超)して再入所した場合には、再度算定できます。新設される【退院時連携加算】の単位数や算定要件は、この加算を参考に設定されます。

 また、認知症グループホームには現在も【初期加算】(入居日から30日間、30単位/日)が設けられていますが、再入居時に再び算定できるのは、前回退居してから再入居するまでに3か月超経った場合に限られます。次期介護報酬改定では、「退居後、医療機関に1か月以上入院した場合」であれば、退居から再入居までの期間が3か月以内でも【初期加算】を再び算定できるルールに見直されます。

 一方、施設系サービスの特別養護老人ホームや介護老人保健施設(老健)などの関連では、入所者が急性増悪を起こしていったん入院し、経管栄養や嚥下調整食などを要する状態になった場合でも再入所しやすくなるように、「施設の管理栄養士と病院などの管理栄養士が連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行うこと」への評価が創設されます。

 有料老人ホームや特別養護老人ホームなどに入居・入所していた高齢者が、急性増悪を起こして入院するケースでは、治療によって状態が安定しても、介護の必要度が重くなったり、医療的な処置が必要になったりして再入居・再入所がしづらくなる場合があります。もともと利用していた施設への再入所などが難しければ、病院側には、退院後の受け入れ先を探す必要が生じ、退院調整は難度を増します。上述したような評価の新設によって、再入居・再入所が促進されれば、こうした患者が退院しやすくなり、平均在院日数の短縮にもつながると期待できます。

老健入所者の減薬や検査を適切に行うため、病院との連携を推進

 施設サービスのうち老健施設では、2018年度の次期介護報酬改定で、「かかりつけ医の処方方針に従って入所中に減薬すること」への評価が創設されます。また、2018年度の次期診療報酬改定に向けては、「かかりつけ医が老健側に対して、入所中の処方薬に係る情報を提供したり、退所後の外来受診時に処方内容をフォローアップしたりすること」への評価が検討されています。

 現状では、老健の入所者は平均5.9種類の薬剤を服用しています。その中に不必要な薬剤が含まれている可能性もありますが、「薬剤の処方経緯などの情報を入所時に必ず入手している」老健の割合は21.2%にとどまり、減薬の検討に要する情報が老健に集まっていないと言えます。

 このため2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定で、(1)患者が老健に入所するに当たり、かかりつけ医が老健の医師に、薬剤の処方経緯などの情報を提供する(2)(1)の情報を踏まえて、入所中の減薬について、かかりつけ医と老健の医師が合意する(3)(2)の合意に基づき、老健入所中に減薬する(4)退所後にかかりつけ医が、入所中の減薬の状況を確認する―ような流れが後押しされれば、適切な減薬が進むと期待できます。

 また次期介護報酬改定では、老健入所者の感染症の診断・治療がより適切に行われるように、▼老健での肺炎などの治療を評価する【所定疾患施設療養費】について、病院などと連携して専門的な検査を行う場合の単位数を高く設定する▼感染症の専門的な診断などを目的に、いったん入院させる場合には、入院期間が1週間以内であれば、老健の在宅復帰率が低くならないように配慮する―といった見直しも予定されています。

 現状、肺炎なら57.0%、尿路感染症なら86.2%が、老健の中での治療によって治癒していますが、臨床検査施設やエックス線装置などを持たない老健では、専門的な検査などを行うことが難しいと考えられる症例もあります。病院側には、感染症の検査・診断に係る連携が求められます。

2018年度改定後、老健や介護医療院ではこんな入所者が多いと評価されやすい

現在の、療養機能強化型の介護療養病床の主な算定要件。「重篤な身体疾患を有する者」に当てはまる状態などは、細かく定められている
現在の、療養機能強化型の介護療養病床の主な算定要件。「重篤な身体疾患を有する者」に当てはまる状態などは、細かく定められている
 そのほか2018年度の介護報酬改定では、老健や転換老健(介護療養型老人保健施設)、介護療養病床(介護療養型医療施設)について、入所者の状態などによって報酬水準にさらにメリハリが利く評価体系へと見直されます。また、「医療・介護の複合的ニーズを持つ要介護者を受け入れて、長期療養させ、看取りまで対応する」施設系サービスとして新設される介護医療院の報酬体系にも、入所患者の状態などに応じてメリハリを利かせることが決まっています。

 そこで、これらの施設の「役割」や「どのような状態の人が入所者に占める割合が高いと高く評価されるのか」などを紹介します。読者の病院関係者には、退院患者の受け入れ先を探す際に役立てていただければ幸いです。

◆老健◆
【役割】
・要介護者の在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点
・要介護者の機能維持・改善の役割を担う施設として、リハビリテーションを提供

【入所者像に関する評価軸】
●転換老健以外の場合
在宅復帰した退所者の割合
●転換老健の場合
・「認知症高齢者の日常生活自立度」のランクがIVまたはM以上の者が入所者に占める割合
・喀痰吸引か経管栄養を実施された者が入所者に占める割合

【評価される入所者像】
●転換老健以外の場合
リハビリテーションを提供することなどによって、自宅や有料老人ホーム、認知症グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などへの在宅復帰が見込める要介護者
●転換老健の場合
・「認知症高齢者の日常生活自立度」のランクがIVまたはM以上の要介護者
・喀痰吸引か経管栄養を必要とする要介護者

◆介護療養病床◆
【役割等】
・医療の必要な要介護高齢者の長期療養施設
・2024年3月末で廃止されるため、介護医療院などへの転換が促されている

【入所者像に関する評価軸】
●療養機能強化型の場合
・重篤な身体疾患を有するか、身体合併症と認知症を持つ者が入所者に占める割合
・喀痰吸引か経管栄養、インスリン注射を実施された者が入所者に占める割合
・回復の見込みがなく、ターミナルケアが必要な者が入所者に占める割合
●療養機能強化型以外の場合
・「認知症高齢者の日常生活自立度」のランクがM以上の者が入所者に占める割合
・喀痰吸引か経管栄養を実施された者が入所者に占める割合

【評価される入所者像】
●療養機能強化型の場合
・重篤な身体疾患を有するか、身体合併症と認知症を持つ要介護者
・喀痰吸引か経管栄養、インスリン注射を必要とする要介護者
・回復の見込みがなく、ターミナルケアが必要な要介護者
●療養機能強化型以外の場合
・「認知症高齢者の日常生活自立度」のランクがM以上の要介護者
・喀痰吸引か経管栄養を必要とする要介護者

◆介護医療院◆
【役割】
・医療・介護の複合的ニーズを持つ要介護者を長期療養させ、看取りまで対応

【入所者像に関する評価軸】
●介護医療院(I)の場合
・重篤な身体疾患を有するか、身体合併症と認知症を持つ者が入所者に占める割合
・喀痰吸引か経管栄養、インスリン注射を実施された者が入所者に占める割合
・回復の見込みがなく、ターミナルケアが必要な者が入所者に占める割合
●介護医療院(II)の場合
・「認知症高齢者の日常生活自立度」のランクがIVまたはM以上の者が入所者に占める割合
・喀痰吸引か経管栄養を実施された者が入所者に占める割合

【評価される入所者像】
●介護医療院(I)の場合
・重篤な身体疾患を有するか、身体合併症と認知症を持つ要介護者
・喀痰吸引か経管栄養、インスリン注射を必要とする要介護者
・回復の見込みがなく、ターミナルケアが必要な要介護者
●介護医療院(II)の場合
・「認知症高齢者の日常生活自立度」のランクがIVまたはM以上の要介護者
・喀痰吸引か経管栄養を必要とする要介護者

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