看護師らの人材紹介、2018年1月の法改正後の動向に注目すべき―日医総研



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 人材紹介会社が、求職中の看護師らを医療機関などに紹介する有料サービス(人材紹介サービス)には、入職した看護師らが早期離職してしまう問題がある。来年(2018年)1月に施行される改正職業安定法などを契機に、人材紹介業界による自主的な問題解決が期待されるが、より厳しい基準を業界として採用させることも視野に入れつつ動向を見守るべきである―。

 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は12月18日、このような内容のリサーチエッセイ「改正職業安定法が医療分野の人材紹介に及ぼす影響」を公表しました。

離職者数公表などで、紹介会社側の改善促す改正法が施行

 看護師らの人材紹介サービスをめぐっては、「紹介手数料が、医療機関の経営を圧迫している」との指摘があります。また一部の会社には、「紹介後に早期退職を促し、別の医療機関に紹介することで新たに手数料を得る“求職者の使い回し”」のような不適切行為が疑われるとして、日本医師会などが強く是正を求めてきました。

 不適切行為が行われていないとしても、紹介後に入職した看護師らの定着率が悪ければ医療機関側の職員不足が解消されません。再び人材紹介サービスを使えば、手数料負担が経営を圧迫します。

 こうした問題を解決するために、人材紹介業界には、ガイドラインを作成し、入職後の早期離職を促す広告表現などを自粛する動きもあります。

 さらに、是正要望の声を受けて、職業紹介の機能強化などを図る改正職業安定法が今年(2017年)3月に成立しました。来年(2018年)1月の施行後は、「6か月以内の離職者数の情報公開」が人材紹介会社に求められます。こうした情報は、医療機関側が人材紹介会社を選ぶ際の目安となるため、人材紹介会社側が離職防止に熱心に取り組むことも期待されます。

 また来年(2018年)1月には、新たな「職業紹介事業の業務運営要領」が適用され、人材紹介会社に対して、「紹介した就業者への転職勧奨」を2年間行わないことを求めるほか、「就業後、短期間で離職した場合に手数料の一部を返金する制度」(返戻金制度)を設けることが望ましい旨を明示します。

定着率が改善しなければ、厳しい「返戻金制度」を業界標準に

 日医総研のリサーチエッセイでは、そもそもの問題は「人材紹介会社ごと・営業担当者ごとの質のばらつきにある」とし、来年(2018年)1月の改正法施行後、人材紹介業界として、サービスの質向上に積極的に取り組むことが望まれると指摘しています。

 その上で、人材紹介サービスで入職した看護師らの定着率が高まらなければ、「採用後1年間は返戻金の規定を設け、このうち3か月あるいは6か月間は100%返戻する」という厳しい返戻金制度を、業界の標準に位置付けさせるべきだと提言しています。

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