特定機能病院の院長選任、選考委員会の審査結果を尊重せよ―厚労省・検討会



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 特定機能病院の管理者(院長)の選任に当たり、外部有識者らで構成する選考委員会の審査結果が尊重されるように、厚生労働省が通知で促す―。

 12月15日の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」では、厚労省の担当者から、このような方針も示されました(関連記事はこちら)。

 特定機能病院には2019年4月以降、「外部有識者を含む選考委員会」での審査結果を踏まえて院長を選任するプロセスが求められます。しかし、「開設者(理事会等)が審査結果を無視して、院長としての資質に欠ける者を選任するかもしれない」との指摘があることから、厚労省が通知を発出することで、適切な院長選任を促すとしています。

12月15日に開催された、「第14回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」
12月15日に開催された、「第14回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」

特定機能病院の承認要件を2段階で見直し

 特定機能病院は、通常の病院では難しい「高度医療」の提供や研修を担う病院であり、その分、より高度な「医療安全の確保」が求められます。しかし、相次いで2つの特定機能病院で、患者の死亡を伴う、医療安全上の重大な問題が起こりました。そこで、医療安全を徹底させるための承認要件見直しが、大きく2段階に分けて進められています。

 まず、昨年(2016年)6月に施行された「1段階目の見直し」では、▼医療安全管理責任者に副院長を据える▼医療安全管理部門に医師・薬剤師を専従配置する▼外部有識者を含む「監査委員会」を設置して監査させる―ことなどが、承認要件に加えられました。医療安全を確保するための体制を強化する方策と言えます。

1段階目の見直しでは、医療安全を確保するための組織体制整備が図られた
1段階目の見直しでは、医療安全を確保するための組織体制整備が図られた
 しかし、「特定機能病院において、医療安全に対する院長のガバナンスが効いていない」という、より根本的な課題もあることから、「2段階目」では「院長の選任方法見直し」が行われます。具体的には、「医学部教授会等の選挙により、医療安全管理に関する経験を持たない者が院長に選ばれる」ようなことを防ぐために、「外部有識者を含む選考委員会」での審査結果を踏まえて、「一定の能力・資質を有する者」を院長に選任するという要件が設けられます。
2段階目の見直し(図表中の赤字の部分)は原則、2018年6月までに施行されるが、管理者の選任方法については経過措置が設けられる
2段階目の見直し(図表中の赤字の部分)は原則、2018年6月までに施行されるが、管理者の選任方法については経過措置が設けられる
 上述した1段階目の見直しは、厚生労働省令(医療法施行規則)の改正により実施されましたが、2段階目の見直しには医療法の改正が必要で、改正法が今年(2017年)6月に成立しています。来年(2018年)6月までに施行されますが、選考プロセスなどには経過措置があり、2019年4月以降に着任する院長から課されます。

 上述した「一定の能力・資質」や「外部有識者を含む選考委員会」の内容を定める厚生労働省令(医療法施行規則)については検討会で議論され、11月30日に省令案を了承していました。

 この省令案については、メディ・ウォッチでお伝えしたとおりです。簡単に振り返ると、「院長にふわさしい能力」は、(1)医療安全確保(2)病院の管理運営―に必要な資質・能力であり、特定機能病院の開設者(理事会等)は、(1)と(2)に関する、より具体的な基準を、あらかじめ定めておかなければいけません。

 また、「選考委員会」には5人以上が参画し、このうち2人以上を「過去10年以内に開設者と雇用関係になく、過去3年間に、年間50万円以上の寄付金等のやり取りがない」外部有識者が占めるように、開設者が委員を選ぶことが求められます。開設者の意向のままに院長が選任されてしまうことを防止することが、外部有識者を参画させる狙いです。

 つまり、(1)開設者が、院長に求める基準を定めて公表する(2)開設者が、外部有識者を含む選考委員会を設置する(3)(1)の基準を踏まえて(2)の選考委員会が院長候補を審査する(4)(3)の審査結果を踏まえて、開設者が院長を選任する―というプロセスが求められます。

医療部会の意見を踏まえて、選考結果尊重しない場合には「合理的な理由」求める

 こうした内容の省令案は、12月6日に、社会保障審議会・医療部会へと報告されました。しかし、伊藤彰久参考人(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男委員:日本労働組合総連合会総合政策局長の代理出席)が、「開設者が選考委員会の判断を尊重せずに、別の者を院長に選任できるなら、見直しの意味がない」と指摘。中川俊男委員(日本医師会副会長)が同調し、対策を検討すべきだと主張しました。

 また邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)からは、「一部の大学病院では、学部長などと比べて院長の地位が低い。このままではガバナンスが効かないかもしれない」といった危惧も示されました。

 こうした医療部会の意見を踏まえた対応が、12月15日の検討会で話し合われました。厚労省医政局総務課の担当者は、「選考委員会の審査結果は十分に尊重される必要がある。選考結果と異なる決定をする場合には相当程度の合理的な説明が求められる」旨や、「開設者が院長に与える権限は、病院の管理運営に必要な指導力を発揮でき、医療安全を確保できる程度必要である」旨を、通知で明示する方針を示し、検討会の了承を得ました。厚労省は、12月22日の医療部会に報告します。

 

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