2016年末、人口10万人当たり医師数は240.1人、総合内科専門医が大幅増―医師・歯科医師・薬剤師調査



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 2016年12月31日現在、我が国の医療施設に勤務する医師数は30万4759人で、人口10万人当たりに換算すると240.1人。ただし都道府県間の格差は大きい。専門医資格をみると「総合内科専門医」が2年前に比べて約1.5倍に増加している―。

このような状況が、12月14日に厚生労働省が公表した2016年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」の結果から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

医師の94.5%が医療施設に従事、人口10万人当たり240.1人

 医師・歯科医師・薬剤師調査は、名称どおり医師・歯科医師・薬剤師の数や勤務状況などを調べるもので、現在は2年に1度実施されています(2年前の2014年調査の記事はこちら)。現在、鋭意議論されている「医師偏在対策」の重要な基礎資料になります(関連記事はこちらこちらこちら)。ここでは医師に焦点を合わせて2016年の調査結果を眺めてみましょう。

 まず、2016年12月31日時点の医師数を見ると31万9480人で、2年前(2014年12月31日)に比べて8275人・2.7%増加しました。また、人口10万人当たりの医師数は251.7人で、2年前に比べて6.8人増加しています。

医師数(桃色の棒グラフ)、人口10万人当たり医師数(紺色の折れ線グラス)の年次推移、年を追うごとに増加していることが分かる
医師数(桃色の棒グラフ)、人口10万人当たり医師数(紺色の折れ線グラス)の年次推移、年を追うごとに増加していることが分かる
 
 医師の中で「医療施設に従事」している人は30万4759人(2年前に比べて7950人・2.6%増加)で、全体の95.4%(同増減なし)を占めています。人口10万人当たりでは240.1人で、2年前に比べて6.5人・2.8%増加しています。

 このほか、「介護老人保健施設の従事者」が3346人(同116人・3.6%増)で全体の1.0%、「医療施設・介護老人保健施設以外の従事者」(例えば行政機関や教育機関など)は9057人(同481人・5.6%増)で、全体の2.8%を占めています。

医師の95.4%は医療施設に従事しており、一部は介護老人保健施設や行政機関などに従事している
医師の95.4%は医療施設に従事しており、一部は介護老人保健施設や行政機関などに従事している

医育機関以外の病院に48%、医育機関附属病院に18%が勤務

 医療施設に従事する医師のうち、病院(医育機関附属病院を除く)に勤務する医師は14万7115人(同4460人・3.1%増)で、医療施設に従事する医師の48.3%(同0.3ポイント増)を占めています。また、診療所に勤務する医師は10万2457人(同573人・0.6%増)で33.6%(同0.7ポイント減)、医育機関附属病院に勤務する医師は5万5287人(同2881人・5.4%増)2306人で18.1%(同0.5ポイント減)を占めています。

施設の種類別に見た、医療施設に従事する医師数の年次推移、医育機関附属を除いた病院の勤務医が増加傾向にあり、クリニックの医師はさほど増加していない
施設の種類別に見た、医療施設に従事する医師数の年次推移、医育機関附属を除いた病院の勤務医が増加傾向にあり、クリニックの医師はさほど増加していない
 
 施設ごとに医師の平均年齢を見ると、病院(医育機関以外)では46.7歳(同0.5歳上昇)、診療所59.6歳(同0.4歳上昇)、医育機関附属病院38.8(同0.1歳上昇)となっています。また施設ごとに、どの年代の医師が多く働いているのかを見ると、▽病院(医育機関以外)では30歳代と40歳代が25%弱で同程度▽診療所では50歳代と60歳代が3割弱で同程度▽医育機関附属病院では30歳代が45%弱―という状況です。

病院に勤務する医師の診療科、外科で減少が目立つ

 次に、医療施設に従事する医師が、どの診療科(主たるもの)に従事しているのかを見ると、最も多いのは内科で6万855人(同462人・0.7%減、医療施設に従事する医師の20.0%)、次いで整形外科2万1293人(同996人・1.4%増、同7.0%)、小児科1万6937(同179人・1.1%増、同5.6%)などで多くなっています。また、産婦人科は1万854人(同279人・2.6%増、同3.6%)、産科は495人(同15人・2.9%減、同0.2%)、婦人科は1805人(同2人・0.1%増、同0.6%)という状況です。また外科医師は1万4423人(同960人・6.2%減、同4.7%)となり、2年前から大幅に減少しています。

 病院に勤務する医師に限定すると、最も多いのは内科で2万1981人(同390人・1.8%増、病院に従事する医師の10.9%)、次いで整形外科1万3497人(同315人・2.4%増、同6.7%)、精神科1万1747人(同334人・2.9%増、同5.8%)、外科1万1293人(同637人・5.3%減、同5.6%)などが多くなっています(臨床研修医1万5321人を除く)。外科は、医師数そのものは他診療科に比べて少なくありませんが、2年前からやはり大きく減少している点が危惧されます。

外科医は減少傾向にあることが分かる
外科医は減少傾向にあることが分かる

総合診療内科専門医、2年前に比べて約1.5倍に増加

 また広告可能な専門医資格を見ると、総合内科専門医が最も多く2万2522人(同6918人・44.3%増、医療施設に従事する医師の7.4%)、外科専門医2万1168人(同773人・3.8%減、同6.9%)、消化器病専門医1万7814人(同1443人・8.8%増、同5.8%)という状況です。総合内科専門医の大幅増が目立ちます。

 病院に従事する医師では、外科系専門医が1万8317人(同854人・4.9%増、病院に従事する医師の9.1%)、総合内科専門医1万5513人(同5515人・55.2%増、同7.7%)、消化器病専門医1万1933人(同1012人・9.2%増、同5.9%)が多くなっており、やはり総合内科専門医の大幅増が目立ちます。

人口当たり医師数、大都市と西日本で多い状況変わらず

 都道府県別に、医療施設に従事する医師の状況(従事地、人口10万人当たり)を見ると、徳島県が最も多く315.9人、次いで京都府314.9人、高知県306.0人で多い状況です。

 逆に少ないのは埼玉県の160.1人、茨城県180.4人、千葉県189.9人などです。

 大都市と西日本で多い傾向は変わっておらず、最多の徳島県と最少の埼玉県の格差は1.97倍です(2年前より0.03ポイント縮小)。大都市では人口が多く、当然患者数も多くなるためですが、さらに「研修医を受け入れる大学病院や大規模病院」が集中していることも関係してきます。

都道府県別の人口10万対医師数をみると、大都市と西日本で多い傾向に変化はない
都道府県別の人口10万対医師数をみると、大都市と西日本で多い傾向に変化はない
 
 また、小児科(主たる診療科)の医師数を都道府県別に見ると、最多は鳥取県の174.0人、最少は茨城県の78.7人で、両者の格差は2.2倍(同0.2ポイント拡大)となりました。

 さらに産婦人科・産科(主たる診療科)の医師数を都道府県別に見ると、最多は鳥取県の61.2人、最少は埼玉県の28.9人で、両者の格差は2.1倍(同0.1ポイント拡大)です。

 

 

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