2018年度改定で長時間麻酔管理加算、ロボット支援の対象術式を大幅に拡大せよ—外保連



Pocket

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、▼ロボット支援下内視鏡手術の術式拡大▼【長時間麻酔管理加算】の対象術式の拡大▼手術・処置における休日・時間外・深夜加算の施設基準緩和―などを強く要望する—。

 外科系学会社会保険委員会連合(外保連)は12月5日、記者懇談会を開き、厚生労働省にこうした要望を行う考えを明確にしました(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

 また、「外保連試案2018」も公表。大規模な実態調査を踏まえて手術、処置、検査に必要なコストを精緻化したほか、新たに「内視鏡試案」を盛り込んでいます。

外保連の岩中督・会長(埼玉県病院事業管理者)
外保連の岩中督・会長(埼玉県病院事業管理者)

手術・処置における「休日・時間外・深夜加算」の要件も見直すべき

 外保連は、100の外科系学会で構成される組織で、主に外科系診療の適正かつ合理的な診療報酬のあるべき姿を学術的な視点に立って研究し、提言を行っています。2018年度の次期改定に向けても、新たな術式などの保険収載や報酬水準の見直し(コストを適正に評価した引き上げ)などを、中央社会保険医療協議会の医療技術評価分科会などで提案しています(新規提案179件、改定要望238件)。

12月5日の記者懇談会では、これらの中から大きく次の3点をピックアップし、詳説が行われました。

まず1つ目は、ロボット支援下内視鏡手術の拡大です。「da vinci」システムなどを用いたロボット支援下内視鏡手術は、現在、▼K843-4【腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)】9万5280点▼K773-5【腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)】7万730点―の2術式のみが保険収載されています。

この点、外保連はロボット支援下内視鏡手術には「既存技術と同程度の有効性・安全性がある」「操作性が高く、立体的な視野が確保されており、術者の負担軽減や技術習得の速さなどの利点がある」点を強調し、▼中咽頭▼喉頭・下咽頭▼肺▼胸腺▼縦隔▼食道▼胃▼直腸▼子宮▼膀胱―の悪性腫瘍手術などにも拡大すべきと強く求めています。ただし「既存技術に比べた優越性」に関するエビデンスが必ずしも明確でないため、中医協でどう判断されるのか、今後の議論を待つ必要があります。

 
2つ目は、L009【麻酔管理料(I)】の【長時間麻酔管理加算】について、▼頭蓋内手術・脊椎手術▼気道系・肺手術▼肺移植術、生体部分肝移植術▼食道がん手術▼心臓手術▼悪性腫瘍手術―の113術式へと大幅に対象術式を拡大せよとの要望です。

山田芳嗣麻酔委員長(東京大学病院麻酔科・痛みセンター科長)は、「メジャーな術式が含まれていない。現在は、K017【遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)】、K379-2【副咽頭間隙悪性腫瘍摘出術】の2「経側頭下窩によるもの(下顎離断によるものを含む。)」、K558【ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)】、K645【骨盤内臓全摘術】など一部の術式にしか適用されていない」と述べ、「手術時間の『中央値+1SD』が7時間超である手術すべてに加算を適用すべき」と強く訴えています。

 
3つ目は、「手術・処置における休日・時間外・深夜加算の施設基準緩和」要望です。2014年度の診療報酬改定で、医療従事者の負担軽減の一環として、「手術・処置における休日・時間外・深夜加算を取得するためには、予定手術日の前日に当直などを行う日が、加算取得診療科の合計で年間12日以内としなければならない」旨の規定が創設されました。予定手術日前は当直を免除せよ、との考えに基づく規定です。

しかし、「この規定が厳しすぎ、負担軽減にならない」との指摘が医療現場から出たことを受け、2016年度改定では、「予定手術日の前日に当直などを行う日が、▼毎日の当直人数が6人以上▼病院全体で届け出ている—場合には年間24日以内としなければならない」旨の見直し(緩和)が行われました。しかし、毎日、当直医6人を確保できる病院はごくわずかで、「緩和になっていない」との声もあります。

瀬戸泰之実務委員長(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学・代謝内分泌外科学教授)は、「外保連で調査を行ったが、2016年度改定後に取得できた病院もわずかである。さらなる見直し・緩和が必要」と強く訴えています。具体的には「毎日の当直人数が6人以上」という規定について当直医の人数を緩和することが考えられます。

外保連の瀬戸泰之・実務委員長(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学・代謝内分泌外科学教授)
外保連の瀬戸泰之・実務委員長(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学・代謝内分泌外科学教授)
 
もっとも、この規定の背景には「時間外、深夜などの手術は一般病院では実施せず、当直を代替する医師を確保できる大病院のみとすべき」という機能分担の狙いもあるようです。岩中督・会長(埼玉県病院事業管理者)はこうした点も踏まえ、どういった緩和・見直しを要望していくのかが重要ポイントになるとの考えを示しています。

また岩中会長は「働き方改革が求められているが、今の診療報酬ではとても夜勤などに対応できない。2018年度の次期改定でインセンティブを付けるとともに、応召義務などに根本的な対応をすべき」とも強調しました。

実態調査に基づいた手術時間の精査など行い、外保連試案を2018年度版に改訂

外保連試案は、▼手術試案▼処置試案▼検査試案▼麻酔試案▼内視鏡試案―の5部構成となっており、それぞれの医療技術について「必要なコスト(人数、時間、医療材料など)」「技術の難易度」から求められる費用(診療報酬点数の要望)はどの程度かを詳細に記載しています。

今般、2018年度版が公表され、そこでは旧版から大きく次の4点の見直しが行われました。

(1)2016年10月に実態調査を行い、手術時間を大幅に見直した(時間延長が267術式、時間短縮が154術式)

(2)軟性内視鏡を用いた検査、処置、手術について内視鏡試案に行こうした

(3)手術などに共通して必要な医療材料(覆布、ガウン、手袋、電気メスなど)を29種類の基本セットとして定めた(保険償還できない)

(4)項目の並び順、コーディングを見直し、全術式を科学的に分類した(従前は整形外科、形成外科、皮膚科領域では部位別の並べ替えが行われていなかった)

 外保連試案は、手術点数見直しの際に重要参考資料となるほか、DPCのII群要件にもなっており、今後も精緻化が進められていきます。

 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

退院支援加算2でも、地域連携診療計画加算の算定を可能に―中医協総会 第376回(2)
7対1から療養までの入院料を再編・統合、2018年度は歴史的大改定―中医協総会 第376回(1)
抗菌剤の適正使用推進、地域包括診療料などの算定促進を目指す—第375回 中医協総会(2)
退院支援加算1、「ICT活用した面会」などを弾力的に認める—第375回 中医協総会(1)
安定冠動脈疾患へのPCI、FFR測定などで「機能的虚血」確認を算定要件に—中医協総会374回(1)
地域包括ケア病棟の評価を2分、救命救急1・3でも看護必要度を測定—中医協総会(2)
7対1・10対1基本料を再編・統合し、新たな入院基本料を創設へ―中医協総会(1)
内科などの有床診療所、より柔軟に介護サービス提供可能に―中医協総会(2)
療養病棟入院基本料、2018年度改定で「療養1」に一本化—中医協総会(1)
訪問看護ステーション、さらなる機能強化に向けた報酬見直しを—中医協総会(2)
病院に併設する訪問看護ステーション、手厚く評価をすべきか—中医協総会(1)
診療報酬でも、「同一・隣接建物に住む患者」への訪問で減算などを検討—中医協総会(1)
紹介状なしに外来受診した場合の特別負担、500床未満の病院にも拡大へ—中医協総会(3)
非常勤医師を組み合わせて「常勤」とみなす仕組みを拡大へ—中医協総会(2)
2016年度改定後に一般病院の損益比率は▲4.2%、過去3番目に悪い—中医協総会(1)
保湿剤のヒルドイド、一部に「極めて大量に処方される」ケースも―中医協総会(3)
生活習慣病管理料、エビデンスに基づく診療支援の促進を目指した見直し―中医協総会(2)
ICT機器用いた遠隔診察、対象疾患や要件を絞って慎重に導入を―中医協総会(1)
臓器移植後の長期入院、患者からの「入院料の15%」実費徴収禁止の対象に―中医協総会
要介護者への維持期リハ、介護保険への完全移行「1年延期」へ―中医協総会(2)
回復期リハ病棟のアウトカム評価、次期改定で厳格化すべきか—中医協総会(1)
統合失調症治療薬クロザピン使用促進に向け、精神療養の包括範囲を見直し—中医協総会(2)
向精神薬の処方制限を2018年度改定で強化、薬剤種類数に加え日数も制限へ—中医協総会(1)
医療安全管理部門への「専従医師」配置を診療報酬で評価すべきか―中医協総会(2)
医療体制の体制強化で守れる命がある、妊婦への外来医療など評価充実へ―中医協総会(1)
抗菌薬適正使用に向けた取り組みや医療用麻薬の投与日数をどう考えるか—中医協総会(2)
小児入院医療管理料、がん拠点病院加算と緩和ケア診療加算を出来高評価に—中医協総会
レセプトへの郵便番号記載、症状詳記添付の廃止、Kコードの大幅見直しなど検討—中医協総会
認知症治療病棟でのBPSD対策や入退院支援の在り方などを検討—中医協総会
2018年度から段階的に診療報酬請求事務の効率化や、診療データ活用などを進める—中医協総会
地域包括ケア病棟、「病院の規模」や「7対1の有無」などと関連させた議論に—中医協総会(1)
医療療養2、介護医療院などへの移行に必要な「経過措置」を検討—中医協総会
オンラインでのサービス担当者会議などを可能にし、医療・介護連携の推進を—中医協・介護給付費分科会の意見交換
要介護・維持期リハビリ、介護保険への移行を促すため、診療報酬での評価やめるべきか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
複数医療機関による訪問診療を認めるべきか、患者の状態に応じた在宅医療の報酬をどう考えるか—中医協(1)
かかりつけ薬剤師指導料、対象患者は高齢者や多剤処方患者に絞るべきか—中医協総会(2)
生活習慣病の重症化予防、かかりつけ医と専門医療機関・保険者と医療機関の連携を評価―中医協総会(1)
訪問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
医療機関での看取り前の、関係者間の情報共有などを報酬で評価できないか―中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
7対1・10対1入院基本料、看護配置だけでなくパフォーマンスも評価する報酬体系に―中医協総会(1)
主治医機能に加え、日常生活から在宅までを診る「かかりつけ医機能」を評価へ―中医協総会(1)
2018年度診療報酬改定に向け、臨床現場でのICTやAIの活用をどう考えるか―中医協総会(1)
2018年度改定に向け入院医療の議論も始まる、機能分化に資する入院医療の評価を検討―中医協総会(1)
2018年度改定に向けた議論早くも始まる、第1弾は在宅医療の総論―中医協総会

診療報酬は2%半ば以上、介護報酬は一定程度の「マイナス改定」とせよ—財政審

同一術野に複数手術を行う場合でも、所定点数の算定を認めよ—外保連
da vinci用いた腎部分摘出術やPED法でのヘルニア治療など、診療報酬の引き上げを―外保連
2018年度診療報酬改定に向け、外保連試案を大幅に見直し『第9版』へ
2016年度改定で新設された看護必要度C項目、外保連も見直しに協力していく考え
外保連が2016年度改定の評価、外保連試案と診療報酬との間で乖離の大きな手術が増点された
緊急帝王切開術など55の術式、2016年度改定でプラスアルファの評価をすべき―外保連

Pocket