特定機能病院の院長、2019年4月以降は中立な選考委員会で選任―厚労省・検討会



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 医療安全に係るガバナンスが特定機能病院で確保されるように、管理者(病院長)の選考委員会には、3つの条件を満たす「開設者と特別の関係にない者」を、複数名入れることを義務付ける―。

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」は11月30日、こうした方向性をおおむね了承しました。特定機能病院は、通常の病院では難しい「高度医療」の提供や研修を担い、充実した体制が求められますが、承認を受けていた2病院で医療安全上の重大な問題が相次いだ(2病院への承認は2015年6月に取り消し)ことから、医療法や関係省令の改正を伴う承認要件見直しが順次進められています。

 検討会が了承したのは、特定機能病院の承認要件見直しを、来年(2018年)6月までに施行させるための省令改正案で、12月6日の社会保障審議会・医療部会に諮られます(関連記事はこちら)。

11月30日に開催された、「第13回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」
11月30日に開催された、「第13回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」

病院長の選考委員の肩書きなど公表で透明性確保

 特定機能病院の承認要件見直しは、2段階で進んでいます。1段目は、「医療安全管理責任者の配置」や「事故等の報告の義務化」、「高難度新規医療技術等の導入プロセスの明確化」などで、昨年(2016年)6月に省令が改正され、適用されています(既に承認を受けていた病院には、「医療安全管理部門への医師らの専従配置」などの項目について、2018年3月末まで猶予を与えている)。

 2段目の見直しは、1段目で整えた組織体制にガバナンスを効かせることを狙ったもので、具体的には、病院長の選任方法と権限の明確化、多職種が参画して病院運営について審議する会議の設置などを、特定機能病院に義務付けます。来年(2018年)6月までに施行される予定で、検討会では関係省令(医療法施行規則)の改正案を議論していました。

2段目の承認要件見直しでは、「管理者の選任方法の透明化」や「病院運営に関する会議設置」などが義務付けられる
2段目の承認要件見直しでは、「管理者の選任方法の透明化」や「病院運営に関する会議設置」などが義務付けられる
 特定機能病院は今年(2017年)11月現在85病院あり、うち78病院は大学病院本院です。その病院長はこれまで、医学部教授会などの選挙結果で選ばれたケースが多く、「選考プロセスの透明性が必ずしも確保されていない」「学閥などの内部事情に左右され、医療安全管理の資質・能力などが反映されない恐れがある」といった指摘がありました。

 そこで今後は、「開設者(大学学長など)と特別の関係にない者」を含む選考委員会を設置し、「医療安全管理業務の経験」や「当該病院内外での組織管理経験」などを有する人物を病院長に選ぶことになります。

 具体的には、選考委員会の委員は5人以上で構成し、このうち2人以上が、▼過去10年間に当該開設者と雇用関係にない▼過去3年間に、年間50万円超の寄付金・契約金等を当該開設者から受領していない▼過去3年間に、年間50万円超の寄付を当該開設者に対して行っていない―の3要件を満たさなければなりません。

 選考委員は理事会などで選任されますが、選定理由や肩書きなどは公表することになりそうです。選考委員会が病院長を選んだ理由や選考過程についても、遅滞ない公表が求められます。

 ただし、選考委員会の設置などには時間がかかることから、厚労省は、2019年3月末までに着任する病院長に関しては、この規定を義務付けず、病院側に自主的な対応を促す考えです。

多職種で構成する運営会議で、院長の独断や独自ルールを防ぐ

 こうして選任された病院長に対しては、「病院の管理運営に係る権限」や「病院の管理運営のために必要となる一定の人事・予算執行権限」が明確に付与されます。というのも、病院長の権限が弱ければ、医療安全確保のためのガバナンスが十分に効きません。特定機能病院は、病院長のこうした権限を内部規程で明示していることを、承認申請時はもちろん、毎年、報告することになります。

 一方で、病院長の独断による病院管理・運営も好ましくありません。そこで厚労省は、多職種で構成する「病院運営に関する会議」の設置も求める方針です。この会議には、病院が大規模なために細部までガバナンスが効かなくなる(例えば、一部の診療科が独自のルールで運用する)のを防ぐ狙いもあり、各診療科の状況をしっかりと把握した上で、「病院の予算」や「中期計画」「運営方針」などを審議することや、審議内容を職員に原則周知することが義務付けられます。

 ちなみに、この「病院運営に関する会議」の構成員について改正医療法には、「当該管理者並びに当該特定機能病院に勤務する医師、歯科医師、薬剤師及び看護師その他の者」と規定されています。しかし、「歯科医師の参画を必須とすると病院の負担になる」との指摘があり、厚労省は、「多職種で構成する必要はあるが、歯科医師の参画は必須でないこと」を、通知などで明確化する考えです。

 このほか、特定機能病院の開設者には、外部有識者が委員の半数超を占める「病院の管理運営の状況を監督する会議」を開くなどして、病院の業務が適正に行われるように監督する体制を整備することも求められます。

第三者評価の承認要件化の是非が今後の課題に

 11月30日の検討会では、特定機能病院に対する第三者評価の在り方についても話し合いました。「広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること」という改正医療法の附帯決議(国会から政府への要望)を踏まえたものです。

 委員の多くが、第三者の目で特定機能病院の医療安全管理体制を確認する必要性を認めたものの、「第三者評価は医療の質を高める上で大事だが、受審を承認要件にすることには違和感がある」(相澤孝夫委員:日本病院会会長)や「承認要件化には必ずしも反対しないが、詰めないといけない要素がいろいろある。例えば、認証機関が指摘したにも関わらずトラブルが発生したときの責任論などにジャンプする」(島崎謙治委員:政策研究大学院大学教授)といった旨の指摘がありました。

 今後の議論では、第三者評価を要件化する場合に、「どの認証機関による評価を要件とするか」「最初の受審や更新審査で合格できなかった場合どうするか」「認証された病院で重大事案が発生した際の責任を認証機関にまで及ぼすべきか」などが、重要な論点となりそうです。

 ちなみに、国内の病院が受けている主な第三者評価としては、▼日本医療機能評価機構による病院機能評価▼Joint Commission InternationalによるJCI認証▼日本品質保証機構によるISO9001等―が挙げられ、この日は、日本医療機能評価機構の橋本廸生理事(横浜市立大学名誉教授)が、来年(2018年)4月にも訪問審査を開始する「一般病院3」(特定機能病院を想定した機能種別)について説明しました。検討会では今後、他の認証機関からもヒアリングを行う予定です。

厚労省は、国内の病院が受けている主な第三者評価として3つを挙げ、検討会でそれぞれヒアリングする方針を示した
厚労省は、国内の病院が受けている主な第三者評価として3つを挙げ、検討会でそれぞれからヒアリングを行う方針を示した

 

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