特発性多中心性キャッスルマン病を指定難病に追加、2018年度から331疾病に—指定難病検討会



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医療費助成の対象となる指定難病に、新たに「特発性多中心性キャッスルマン病」を追加する。また、A20ハプロ不全症など5疾患を「既存の指定難病に統合」する—。

 11月13日に開催された、厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」でこの方針が正式に決まりました(関連記事はこちら)。厚生労働省健康局難病対策課の担当者は、今後、パブリックコメント募集などの手続きを経て、来年(2018年)4月1日の適用を目指す考えを示しています。

11月13日に開催された、「第23回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」
11月13日に開催された、「第23回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」

5疾患は既存の指定難病に統合する形で追加、告示上は「1疾患の追加」に

医療費助成の対象となる指定難病(▼発症の機構が不明▼治療方法が未確立▼長期療養が必要▼患者数が我が国で一定数未満(現在は18万人、人口の0.142%未満)▼客観的な診断基準などが確立—の要件を満たす)は、2015年1月実施分では110疾患でしたが、2015年7月実施分(196疾患)2017年4月実施分(24疾患)が追加され、2017年度からは330疾患となっています。

今般、61の疾患について研究班や関係学会から「新たに指定難病に追加してはどうか」との提案が行われ、指定難病検討委員会で「それぞれの疾患が、上記の指定難病の要件を満たしているか」と審査。その結果、次の6疾患について「要件を満たす」ことが確認されました。このうち1疾患(特発性多中心性キャッスルマン病)については、既存疾患とは別の疾患として、5疾患(A20ハプロ不全症など)は、既存疾患と統合する形で、新たに指定難病に追加されることになります。

▼特発性多中心性キャッスルマン病:原因不明の▽リンパ節腫脹▽肝脾腫▽発熱▽倦怠感▽盗汗▽貧血▽皮疹▽浮腫▽胸腹水▽腎障害▽間質性の肺病変▽肺高血圧症▽関節痛▽脳梗塞―などの多彩な症状を呈する疾患(本邦における患者数は約1500人と推定)
→【告示番号331『特発性多中心性キャッスルマン病』として、新規に指定難病に追加する】

▼A20ハプロ不全症:自然免疫系に関わる遺伝子異常を原因として、新生児期から20歳までの若年期に発症する▽周期性・遷延性発熱▽反復性口腔内アフタ▽皮疹▽関節痛▽外陰部潰瘍▽消化管潰瘍▽ぶどう膜炎―などのベーチェット病様が生涯にわたり続く疾患(推定患者数は100人未満)
→【告示番号325『遺伝性自己炎症疾患』の1疾患として、指定難病に追加】

▼関節型若年性特発性関節炎:16歳未満に発症した、原因不明の6週間以上持続する慢性関節炎で、成人期に至った患者の30-50%で関節変形が見られ、日常動作困難や咬合不全などの原因となる。2-20%は進行性で、約3%は車いす・寝たきり状態となる(推定患者数は約3000人)
→【現在の告示番号107『全身型若年性特発性関節炎』と統合し、新たに告示番号107『若年性特発性関節炎』と告示病名を見直す形で、指定難病に追加】

▼自己免疫性後天性凝固第V/5因子(F5)欠乏症:血液が凝固するために必要なタンパク質であるF5が先天性・遺伝性ではない理由で著しく減少し、止血栓ができにくくなり、自然にあるいは軽い打撲でも重い出血を起こす疾患(推定患者数は約200人)
→【告示番号288『自己免疫性後天性凝固因子欠乏症』の1疾患として、指定難病に追加】

▼ジュベール症候群関連疾患:脳幹の形成以上を特徴とする28亜型がある疾患で、乳児期には筋緊張低下、呼吸障害が見られ、早期から精神運動発達遅滞があり、▽網膜欠損・変性▽腎障害▽口腔内以上▽指の奇形-などが生じ、亜型の1つである『有馬症候群』では腎不全のために透析・移植が必要となる(推定患者数は100人未満)
→【現在の告示番号177『有馬症候群』を包含する形で、新たに告示番号107『ジュベール症候群関連疾患』と告示病名を見直す形で、指定難病に追加】

▼先天性声門下狭窄症:出生直後から呼吸困難・障害を来し、しばしば救命のために緊急的な気管内挿管・気道切開が必要で、気管孔や気管切開チューブに関わる症状が生じる危険性が、常に継続する疾患(推定患者数は約1000人)
→【告示番号330『先天性気管狭窄症』と統合し、新たに告示番号330『先天性気管狭窄症/先天性声門下狭窄症』と告示病名を見直す形で、指定難病に追加】

 
11月13日に会合では、診断基準や重症度分類について最終検討し、若干の語句修正要望があったものの、上記6疾患を指定難病に追加することを、委員会レベルで了承しました。

今後、パブリックコメント募集を行い、その結果を指定難病検討委員会と疾病対策部会(親組織)に報告し、了承を得た上で、「来年(2018年)4月1日の適用を目指す」ことになります。このまま確定すれば、指定難病の告示病名数は331に増加します。

また、医学の進展を踏まえて、告示番号24『亜急性硬化性全脳炎』、告示番号38『スティーヴンス・ジョンソン症候群』の診断基準・重症度分類を一部見直すことも了承されました(前者では新検査法の追加などを、後者では診断カテゴリ―への慢性期情報の追加などが行われる)。上記6疾患の診断基準・重症度分類と併せて、改正通知(厚労省健局長通知)が今後、発出されます。

患者数が比較的多い指定難病について「臨個票の簡素化」を求める声も

なお、「この患者は指定難病に該当する」と医師が判断した場合、厚労省に新規指定(あるいは更新指定)に必要な診断書(臨床調査個人票、通称【臨個票】)を提出することが必要です。臨個票には、該当疾患名と告示番号のほか、▽基本情報(患者の生年月日や住所、性別など)▽症状▽検査所見▽鑑別診断▽遺伝学的検査▽診断カテゴリー(DefiniteかProbableかなど▽症状の概要・経過▽重症度部類▽画像所見—などを記載することが求められ、『指定難病患者データベース』に組み込まれます。我が国に数十人程度しか患者がいないような、極めて希な疾患の治療研究にも役立つものです。

しかし、指定難病の中には比較的患者数が多い(例えば1万人超など)疾患もあり、ここでは「医師の臨個票記載負担が問題になっている」と指摘されます。

このため「臨個票全体の記載事項の簡素化」や、「疾患数の多い疾患に着目した臨個票の簡素化」を求める声もありますが(千葉勉委員:関西電力病院院長、宮坂信之委員:東京医科歯科大学名誉教授ら)、前者では「極めて希少な疾患のデータが十分に集まらない」、後者には「統一性が失われ、データベース構築に弊害が出る可能性がある」といった課題があります。厚労省健康局難病対策課の担当者は「今年(2017年)4月に臨個票の記載内容を見直したばかりである」点も説明し、「どのような簡素化などが可能か、検討する」と述べるにとどめています。

 

 

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