入院時によく使用されている軟膏は? GHCが581病院の退院症例をデータ分析



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 先日、「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究III」(健康保険組合連合会 10月6日)で公表された外来レセプトデータ分析の結果で、アトピー性皮膚炎患者に対して保湿剤として処方されるヘパリン類似物質(ヒルドイドソフトほか)などが「必要性の低い患者」(皮膚乾燥症のみの患者など)にも投与されていることが指摘されました(関連記事『皮膚乾燥症にヒルドイドやワセリンのみ処方する場合、保険給付から除外せよ―健保連』)。

 弊社が保有する581病院2016年4月~17年9月退院症例のデータを使い、入院時に使用されている軟膏について分析を行いました。

 病院のケースミックスによっても異なりますが、症例別に使用されている軟膏の種類では1~2.8種類まで病院間で差がありました。

病院別軟膏使用数

 では、どのような疾患で使用されているのでしょうか。健康保険組合連合会の分析では皮膚乾燥症に焦点を絞っていましたが、入院ではどのような疾患にどのように使用されることが多いのでしょうか。入院時の処方が外来処方につながっている部分はあるのでしょうか。

 疾患別(DPC別)に見ると、脳梗塞、SLE(全身性エリテマトーデス)、閉塞性動脈疾患、悪性黒色腫、頭頸部悪性腫瘍などで軟膏の使用が多いことがわかります。

※疾患名に■がついているDPC名は出来高コード
※疾患名に■がついているDPC名は出来高コード

 では、具体的にどのような軟膏が使用されているのでしょうか。抗炎症作用、抗アレルギー作用などを持つアズノール軟膏が非常に多いことがわかります。臨床的な使用の容易さ、効果の範囲などが選ばれている理由でしょうか。

軟膏種類別使用症例数

 最も使用症例数が多かった脳梗塞で使用されている軟膏を見ると、アンテベードからリンデロンまで幅広く使用されており、脳神経障害による手術、その前後の安静時間の長さから褥瘡などの皮膚トラブルを起こす可能性が高いことも一因と考えることができそうです。

脳梗塞 使用軟膏数

 皮膚疾患が軟膏の使用要因となっている場合を除き、最も患者及び病院に取って望ましいのは、予防により皮膚トラブルの原因を作らないことであり、栄養管理、リハビリによって予防ができるならば、使用外用薬(軟膏)を減らすこともできます。軟膏を使用する際には、ガーゼ交換、清潔処理を伴うことが多く、看護師の手間がかかることになります。感染症を起こす可能性も高くなるため、予防的な介入の重要性が高いといえます。

 18年度診療報酬改定において、予防的介入及び自立支援につながる効率的な医療が評価されることを期待しています。

解説を担当したコンサルタント 湯原 淳平(ゆはら・じゅんぺい)

yuhara 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。看護師、保健師。
神戸市看護大学卒業。聖路加国際病院看護師、衆議院議員秘書を経て、入社。社会保障制度全般解説、看護必要度分析、病床戦略支援、地域包括ケア病棟・回リハ病棟運用支援などを得意とする。長崎原爆病院(事例紹介はこちら)、新潟県立新発田病院(事例紹介はこちら)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「週刊ダイヤモンド」(掲載報告はこちらこちら)、「日本経済新聞」(掲載報告はこちら)などへのコメント、取材協力多数。
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