2016年以降も平均在院日数の短縮は続いているが、病床利用率は不安定な動き―病院報告、2017年6月分



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 ここ5年における「6月分」の平均在院日数・病床利用率を見ると、「平均在院日数」は2016年以降も短縮を続けられている一方で、病床利用率は不安定な動きを見せている—。

 このような状況が、厚生労働省が10月10日に公表した2017年6月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。利用率の不安定さを踏まえ、病院が「在院日数」を長めにコントロールしているとすれば、大きな問題も孕んでいます。

在院日数短縮が限界を迎えているのか、マクロ視点での分析が必要

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を集計し、「病院報告」として公表しています(2017年5月分の状況はこちら、4月分の状況はこちら)。

 今年(2017年)6月における(1)の1日平均患者数は、病院全体で入院124万6961人(前月比7747人・0.6%増)、外来140万5298人(同10万1272人・7.8%増)となり、入院は微増、外来は大幅増という状況です。病床の種類別(医療法)に入院患者数の動向を見ると、▼一般病床:67万656人(同6495人・1.0%増)▼療養病床:28万7644人(同270人・0.1%増)―などとなっています。

2017年6月、病院の1日平均患者数は入院では微増、外来では大幅増となった
2017年6月、病院の1日平均患者数は入院では微増、外来では大幅増となった
 
 (2)の平均在院日数を見ると、病院全体では27.5日で前月から1.3日短縮となりました。病院の病床種別に見ると、▼一般病床15.7日(前月比0.7日短縮)▼療養病床145.5日(同3.5日短縮)▼介護療養病床308.2日(同8.5日短縮)▼精神病床256.4日(同7.1日短縮)▼結核病床62.2日(同7.9日短縮)―となり、ほとんどの病床種別で短縮しています。
一般病床の平均在院日数は、今年(2017年)5月から6月にかけて0.7日と短縮した
一般病床の平均在院日数は、今年(2017年)5月から6月にかけて0.7日と短縮した
 
 (3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では78.8%で、前月に比べて1.0ポイント低下してしまいした。病院の病床種別に見ると、▼一般病床73.3%(前月から1.8ポイント減少)▼療養病床87.8%(同0.1ポイント上昇)▼介護療養病床90.8%(同0.4ポイント上昇)▼精神病床86.0%(同0.2ポイント上昇)▼結核病床33.9%(同0.6ポイント上昇)―という状況です。病床種別で異なりますが、一般病床において「1.8ポイント減」という大幅減少になった点が気になります。前月(2017年5月)の状況について「利用率低下に歯止めがかかったか」とも思われましたが、単なる減少の「小休止」であった可能性が高いようです。今後の状況を見守る必要があります。
一般病床の病床利用率は、今年(2017年)5月から6月にかけて1.8ポイントの減少。今年に入ってから緩やかに減少しているように見える
一般病床の病床利用率は、今年(2017年)5月から6月にかけて1.8ポイントの減少。今年に入ってから緩やかに減少しているように見える

 
 次に一般病床における「6月末分」の平均在院日数を5年前から見てみると、▼2012年:17.3日→(0.1日短縮)→▼2013年:17.2日→(0.7日短縮)→▼2014年:16.5日→(0.7日短縮)→▼2015年:15.6日→(1.3日延伸)→▼2016年:16.9日→(1.2日短縮→▼2017年:15.7日―と推移しています(厚労省のサイトはこちら、下にスクロールすると毎月の状況が示されています)。より長期的に見る必要がありますが、「2016年以降も在院日数の短縮」が進んでいることが確認できます。

 一方、病床利用率は、▼2012年:71.0%→(0.1ポイント低下)→▼2013年:70.9%→(1.5ポイント上昇)→▼2014:72.4%→(0.9ポイント上昇)→▼2015年:73.3%→(0.8ポイント上昇)→▼2016年:74.1%→(0.8ポイント低下)→▼2017年:73.3%―という状況です(厚労省のサイトはこちら、下にスクロールすると毎月の状況が示されています)。こちらは「5月分」と同様に変動が大きく、一貫した傾向は見て取れません。

 メディ・ウォッチでも何度もお伝えしていますが、「平均在院日数の短縮」は、▼7対1や10対1病院における重症患者割合の向上▼DPCのII群要件の1つである「診療密度」向上―などに大きく寄与するなど、経営面では極めて重要なテーマの1つとなります。それに加え、院内感染やADL低下のリスクを低減させるなど、「医療の質向上」にも極めて密接に関係します。在院日数短縮の努力はすべての医療機関で進めていくことが重要です。さらに、患者は「職場復帰などのために、1日でも早い退院」を切実に望んでいます。

 ただし単純な在院日数短縮は病床利用率の低下(空床の発生)につながり、経営面ではマイナスの要素も含んでいることは事実です。そのため「利用率を維持しなければならないので、在院日数の短縮はこの程度にしておこう」という在院日数短縮コントロールをしがちですが、これは「医療の質向上」「患者満足度の向上」に向けた正しい姿とは言えません。在院日数の短縮は進めながら、併せて「新規入院患者の獲得」などの対策、近隣のクリニックや中小病院との連携強化による「重症新患の紹介」増や、救急搬送患者の積極的受け入れなどが肝要です。この点、「2016年6月と2017年6月」というミクロ比較では、在院日数は短縮したものの、利用率は低下してしまい「両立」はできていません。

 なお、人口減少社会に入った我が国では、地域の患者数そのものが減少していきます。今後は、▼地域医療構想▼病床機能報告の結果(他院の動き)▼自院の機能▼地域の医療ニーズ(人口動態や疾病構造など)―などを十分に踏まえた上で、「ダウンサイジング」(病床の削減)や「近隣病院との再編・統合」なども考慮していく必要があります(関連記事はこちらこちらこちら)。

  

 

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