診療実態や患者動向を十分に踏まえ、「回復期」への機能分化進めてほしい―厚労省



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 回復期機能は、病床機能報告制度で「回復期」を選択した病棟以外でも提供されている。今後は、各医療機関において「診療実態に即した適切な医療機能を報告する」「回復期の医療需要などが見込まれる地域では、各医療機関の診療実績や医療需要の動向を分析した上で、機能分化・連携を進める」ことが重要である—。

厚生労働省は9月29日に事務連絡「地域医療構想・病床機能報告における回復期機能について」を発出し、こうした点を強調しました。

「回復期」病棟が回復期リハビリ病棟入院料などしか届け出できないわけではない

2025年にあるべき医療提供体制の姿として、各都道府県が「地域医療構想」を策定しています。あわせて一般病床・療養病床をもつすべての病院・有床診療所は毎年、自院の各病棟が現時点および将来において、どういった機能を持つのかを報告「病床機能報告」し、両者(地域医療構想と病床機能報告結果)の隔たりを地域医療構想調整会議で段階的に埋めていく議論が進められています。

ところで、前者の地域医療構想では「将来の予想患者数」をもとに2025年の必要病床数を推計しています。一方、後者の病床機能報告では「自院の各病棟が、主にどういった機能を担っているか」を基本に報告します。したがって、両者の数字は必ずしも一致しません。厚労省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(医療企画の見直し等に関する検討会の下部組織)などで中川俊男構成員(日本医師会副会長)らが指摘するように、病床機能報告で『急性期』と報告した病棟にも、地域医療構想で『回復期』と判断される状態の患者が入院しているのは当然だからです(関連記事はこちら)。

また、病床機能報告における「回復期」の基準が必ずしも十分に明確化されていないため、「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能」を有する病棟であっても、回復期リハビリテーション病棟入院料などを届け出ていないために急性期・慢性期機能として報告されている病棟もあると考えられます。

このため、現状をみると地域医療構想における「回復期病床の必要量」と、病床機能報告で「回復期と報告された病棟のベッド数」とに乖離があるものの、厚労省は「回復期医療を受けられない患者が多数生じている状況ではない」「各構想区域で大幅に回復期が不足しているとの誤解が生じている可能性がある」と考えていることを明らかにしました。

もっとも両者にあまりに大きな齟齬があることは今後の医療提供体制再構築に向けて支障が出ることも考えられます。厚労省は、▼各医療機関が、各病棟の診療実態に即した適切な医療機能を報告する▼回復期の医療需要増が見込まれる地域では、地域医療構想調整会議で地域医療機関の診療実績・将来の医療需要動向を十分に分析し、機能分化・連携を進める—ことが重要と強調しています。

専ら「急性期を経過した患者」への「在宅復帰に向けた医療」「リハビリテーション」を提供する病棟では、【回復期】として報告することに変わりはありませんし、回復期患者の増加が見込まれ、現状で不足していると考えられる地域では【回復期機能への転換】が求められる点にも何ら変更はありません。

 
なお、今般の事務連絡では、「いずれの医療機能を選択した場合であっても、診療報酬の選択に影響を与えるものではない」(回復期機能を選択した場合には、回復期リハビリ病棟入院料や地域包括ケア病棟入院料しか算定できない、ということはない)点、さらに「公的医療機関等2025プランの策定対象となる公的医療機関などが、回復期機能を担わなければならないわけではない」点などを再確認しています。

  

 

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