前回診療報酬改定の効果・影響を社保審でも確認すべき—社保審・医療部会



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 2018年度の診療報酬改定に向け、基本方針策定論議が社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で続いていますが、10月5日に開催された医療部会では荒井正吾委員(全国知事会、奈良県知事)から「2016年度前回診療報酬改定の効果・影響を医療部会の場でも検証すべき」との強い要請が行われました。

 診療報酬改定の結果検証は、具体的な点数設計を行う中央社会保険医療協議会で詳細に行われますが、荒井委員は「基本方針で託された願いがどのように診療報酬に反映され、どの程度実現しているのか示してほしい」と要望しています。

10月5日に開催された、「第54回 社会保障審議会 医療部会」
10月5日に開催された、「第54回 社会保障審議会 医療部会」

社保審の願いが、点数にどう反映され、どのような効果が出ているのか

かつての中医協を舞台にした汚職事件の反省を踏まえ、2006年度の診療報酬改定から、▼基本方針を社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で策定する▼改定率は内閣が予算編成過程で決定する▼基本方針と改定率に沿って、具体的な点数設計を中央社会保険医療協議会で行う—という役割分担が行われています。

医療保険部会・医療部会ともにすでに基本方針策定論議を開始しており(関連記事はこちらこちらこちら)、10月5日の医療部会では、2018年度改定に向けた【基本認識】【視点】【方向性】について意見交換が行われました。

厚生労働省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長からは、これまでの議論を踏まえて「人生100年時代(超高齢社会)を⾒据え、予防・健康づくり意識の涵養、健康寿命の延伸、国民皆保険の持続可能性確保しながら、効率的・効果的な質の高い医療を受けられるようにする」「地域包括ケアシステムを構築し、医療機能の分化・強化・連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を着実に進める」「骨太方針などを踏まえつつ、国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国家財政に留意するとともに、無駄の排除、医療資源の効率的な配分を図る」「医療ニーズの変化や生産年齢人口の減少、医療技術の進歩なども踏まえ、医療現場の人材確保や働き方改革を推進する」といった基本認識で次期改定に臨んではどうかといった提案が行われています。

2018年度診療報酬改定に向けた基本認識案
2018年度診療報酬改定に向けた基本認識案
 
さらに改定の視点としては(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進【重点課題】(2)新しいニーズにも対応できる安⼼・安全で質の⾼い医療の実現・充実(3)医療従事者の負担軽減、働き⽅改⾰の推進(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4本を柱に据え、例えば(1)では入退院支援や医療介護連携、多職種連携の推進などといった具体的な方向性も示されています。

こうした内容への異論は出ていませんが、荒井委員は「(基本方針を策定した)社保審の願いがどう診療報酬に反映され、どのように実現しているのか、例えば『地域包括ケア病棟がどれだけ増加しているのか』などを示してほしい」と強く要望しています。この点、中医協では前回改定の結果検証を詳細に行っていますが、改定の効果・影響に関する大枠での検証・議論が、今後、社保審でも行われる可能性もあります。

 
 このほか次期改定に向けて、「病院勤務医の働き方改革・負担軽減を進めるためには、他職種に業務を移譲する『タスクシフト』を検討する前に、同職種(医師間)での業務分担となる『タスクシェア』をまず進めるべきである。例えば、短時間勤務枠の活用などが考えられる」(木戸道子委員:日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長)、「好景気の中で人件費が高騰し、病院経営は限界に近い。診療報酬の評価軸を『もの』から『人』へシフトすべき」(猪口雄二委員:全日本病院協会会長)、「税収が増えずに医療費を初めとする社会保障費が高騰する中で、医療保険制度が継続できるわけがない。給付範囲の抜本改革などを議論すべき」(山崎學委員:日本精神科病院協会会長)、「消費税財源の充当対象などを見直すよう、厚労省から財務省に要望すべき。応援している」(中川俊男委員:日本医師会副会長)といった意見が出されています。

  

 

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