介護医療院、一部転換の場合には現在の病院名をそのままを表記可—社保審・医療部会(1)



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 既存の病院・診療所が介護医療院へ転換した場合、都道府県への開設届出を行う際には「介護医療院」の文字を含めた名称を用いることが必要です。一方、看板など「表記名称」については、一部転換では「既存の医療機関名」をそのまま用いることができ、全部転換では「新たな介護医療院名」を用いることになる—。

 10月5日に開催された社会保障審議会・医療部会で、こういった整理を行うことが了承されました。来年度(2018年度)からの介護医療院スタートに向けて、今後、関係省令や解釈通知などが発出されます。

10月5日に開催された、「第54回 社会保障審議会 医療部会」
10月5日に開催された、「第54回 社会保障審議会 医療部会」

全部転換の場合には病院機能がなくなるため、正式・表記名称のいずれも変更を

 2017年度末で設置根拠が消滅する「介護療養病床」や「医療法上の看護配置4対1などを満たさない医療療養病床」の新たな転換先として、▼医療▼介護▼生活—の3機能を併せ持つ【介護医療院】が来年度(2018年度)からスタートします。

介護医療院の概要、医療・介護・生活機能を一体的に1つの施設で内包する
介護医療院の概要、医療・介護・生活機能を一体的に1つの施設で内包する
 
改正介護保険法では、介護療養などから介護医療院への円滑な転換を促すために、「既存の病院・診療所の一部または全部を廃止し、介護医療院に転換する場合には、既存の医療機関名(●●病院、●●クリニックなど)を継続使用できる」旨を規定しました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

しかし、すべての病院機能を介護医療院へ転換する場合に「●●病院」という名称のままでは、患者・利用者・地域住民が「ここは病院である」と誤解する可能性もあり、「名称」をどのように考えていくのかを明確にする必要があります。医療部会では9月15日の前回会合でもこの点を議論しましたが、「都道府県に届け出る際の名称」と「看板など表記する名称」との議論が混在していました。そこで今回、厚労省医政局総務課の榎本健太郎課長はこれらを整理し、次のような考え方をとってはどうかと提案。医療部会として了承されています。

【一部を介護医療院に転換する場合】

▼都道府県への届け出る介護医療院の名称(正式名称):●●病院介護医療院など

▼看板などに表示する名称:既存の「●●病院」の継続使用が可能。ただし、▽院内のフロアマップ▽看板▽張り紙—などで「介護医療院部分を可能な限り明確にする」ことが必要

 既存の病院機能を維持し、その一部が介護医療院に転換される場合には、病院部分について「機能と名称との乖離」が生じません。また新たな開設許可申請も不要です(病床数変更などの届け出は別途必要)。したがって、正式名称・表示名称のいずれについても「既存の(現在の)病院名」などの継続使用が可能になります。ただし、転換した介護医療院部分については、「介護保険施設である」旨を明確に表示することが求められるのです。

 もっとも一部転換によって本体病院の機能が変わってしまう場合には、当然、その機能を表す名称の継続は認められないでしょう(例えば、ベッド数の縮小により特定機能病院や地域医療支援病院の基準を満たさなくなった場合には、当該機能の表示は不可能。後述の榎本総務課長の3項目の整理を参照)。

 
【全部を介護医療院に転換する場合】

▼都道府県への届け出る介護医療院の名称(正式名称):●●病院介護医療院など

▼看板などに表示する名称:既存の「●●病院」の継続使用は不可能(病院ではないため)となり、「●●病院介護医療院」などと表示することが必要

全部転換によって病院機能は消滅するため、正式名称・表記名称のいずれにおいても「既存の(現在の)病院名」をそのまま継続使用することはできません。ただし、住民や職員に馴染みの深い現在名を全く消滅させることは円滑転換の妨げとなります。そこで、「●●病院介護医療院」などの表記をとることになります。

もっとも、例えば既存の(現在の病院名)が「A整形外科病院」である場合、介護医療院に全部転換した後に「A整形外科病院介護医療院」という名称を用いることができるのでしょうか。この点、厚労省医政局総務課の担当者は「整形外科病院としての機能を果たさないため、『A整形外科病院介護医療院』と言う名称の使用は認められない」と説明。例えば『A病院介護医療院』などと表記することになるでしょう。

この点については、前回会合で榎本総務課長が次のような整理を行っています。

(1)法令に基づいて一定機能を担う旨を示す呼称を継続することはできない(例、地域医療支援病院●●病院介護医療院などは不可、単に「●●病院介護医療院」であれば可)

(2)予算事業に基づき一定機能を担う旨を示す呼称を継続することはできない(例、休日夜間急患センター●●病院介護医療院などは不可)

(3)ほか実態に合わない呼称、患者が誤認するおそれのある文字を含む呼称を用いることはできない(例、マタニティクリニック●●クリニック介護医療院、こども病院●●病院介護医療院などは不可)

法令や予算で一定の機能を担うこととされている呼称については、全部転換の場合などには、その名称を継続使用することはできない
法令や予算で一定の機能を担うこととされている呼称については、全部転換の場合などには、その名称を継続使用することはできない
 
 また先ほどの例にあげた「A整形外科病院」が、介護医療院に全部転換するが、外来の整形外科機能(無床診療所として)だけを維持する場合には、『A病院介護医療院』と『A整形外科クリニック』をそれぞれ表記するといったことなどが考えられます。

 
なお本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は「患者・利用者・住民は表記をみて医療機関を受診する。誤解のないよう表記についても検討する必要があるのではないか」とコメントしており、将来的な検討課題となる可能性もあります。

 

 

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