2016年度、1か月当たりの医療費最高額は1億694万円―健保連



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 昨年度(2016年度)において、1か月当たり医療費が1000万円以上となった高額レセプトは484件あり、1か月当たり医療費の最高額はフォンウィルブランド病患者で1億694万であった―。

 健康保険組合連合会が9月8日に公表した2016年度の「高額レセプト上位の概要」から、こういった状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

1000万円以上の高額レセプトは2012年度から大きく増加しているが、1億円を超える超高額レセプトは2011年度以来である
1000万円以上の高額レセプトは2012年度から大きく増加しているが、1億円を超える超高額レセプトは2011年度以来である

1000万円を超える高額レセプトの増加が著しく、2016年度は484件発生

 健康保険組合は、主に大企業の従業員とその家族が加入する公的医療保険です。健保連では、昨年度(2016年度)におけるレセプトの中から、1000万円以上の高額レセプトを抽出・分析しています。

 高額レセプトは2016年度には484件発生。直近5年度の状況を見ると、▼2012年度:254件→(82件増)→▼2013年度:336件→(36件減)→▼2014年度:300件→(61件増)→▼2015年度:361件→(123件増)→▼2016年度:484件―となっており、概ね増加傾向にあることが分かります。

 また40万円以上のレセプトについて経年変化を見ると、▼1000万円以上2000万円未満▼2000万円以上―のレセプトの増加率が大きなことも分かりました。健保連では、例えば2015年11月には、造血幹細胞移植後の急性GVHD(移植片対宿主病)に対する治療薬「テムセルHS注」(収載時の薬価は1バッグ当たり86万8680円)が、2016年5月にはライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病)に対する治療薬「カヌマ点滴静注液20㎎」(同10ml1瓶当たり127万7853円)が保険収載されていることを紹介しており、高額な医薬品の保険収載が高額レセプト増加の大きな要因になっていると考えているようです。

1000万円以上の、中でも2000万円以上の高額レセプトの増加が著しい
1000万円以上の、中でも2000万円以上の高額レセプトの増加が著しい
高額レセプト増加の背景には、高額な医薬品の保険収載という要因もある
高額レセプト増加の背景には、高額な医薬品の保険収載という要因もある

 
 2016年度における最高額のレセプトは、フォンウィルブランド病(止血に必要なタンパク質の1つフォン・ヴィレブランド因子が少ない、あるいはうまく働かない小児慢性特定疾病)の患者で1億694万1690円でした。また2位から10位までは血友病Aの患者で、1億237万9460円(2位)から3818万6380円(10位)となっています。最高額が1億円を超えたのは、2011年度以来です。

 上位100件の高額レセプトを疾病別に見てみると、循環器系疾患がもっとも多く41件、次いで血液疾患34件、先天性疾患8件と続いています。

2016年度における健保組合の高額レセプト上位100件の状況
2016年度における健保組合の高額レセプト上位100件の状況

 
 なお、こうした高額レセプトが発生した場合に備えて、健保組合では、いわば再保険とも言える仕組みを用意しています、具体的には保険料の一部をプールし、高額レセプト(2016年度は一般疾病では120万円超、血友病などの特殊疾病では40万円超)が発生した場合に、基準額(同)を超過した分が当該健保組合に交付されます(高額医療交付金交付事業)。

一般疾病では120万円超、血友病などの特定疾病では40万円超の高額レセプトが発生した場合に備えて、健保組合間で「保険料をプールして、高額レセに基準額超過部分を交付」する仕組みが用意されている
一般疾病では120万円超、血友病などの特定疾病では40万円超の高額レセプトが発生した場合に備えて、健保組合間で「保険料をプールして、高額レセに基準額超過部分を交付」する仕組みが用意されている

  

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