病床利用率維持のために在院日数短縮の努力を放棄することは好ましくない―病院報告、2017年5月分



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 ここ5年における「5月分」だけの平均在院日数・病床利用率を見ると、「平均在院日数」は短縮を続けている。3月分や4月分からは「在院日数短縮が限界を迎えている」ようにも見えるが、よりマクロな視点で分析をしていく必要がある—。

 このような状況が、厚生労働省が6日に公表した2017年5月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

在院日数短縮が限界を迎えているのか、マクロ視点での分析が必要

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―について集計した「病院報告」を公表しています(2017年4月分の状況はこちらと、3月分の状況はこちらと、2月分の状況はこちら)。

 今年(2017年)4月における(1)の1日平均患者数は、病院全体で入院123万9124人(前月比1万3908人・1.1%減)、外来130万4026人(同2063人・0.2%増)で、入院は減少、外来は横ばいという状況です。病院種別にみると、一般病床の入院患者数は66万4161人で、前月に比べて1万2047人・1.8%減少しました。また療養病床における入院患者数は28万7374人で、前月に比べて2046人・0.7%の微減となっています。

2017年5月、病院の1日平均患者数は入院では減少、外来では横ばいという状況
2017年5月、病院の1日平均患者数は入院では減少、外来では横ばいという状況
 
 (2)の平均在院日数を見ると、病院全体では28.8日で、前月から変化ありません。病院の病床種別に見ると、▼一般病床16.4日(前月比0.1日短縮)▼療養病床149.0日(同2.5日延伸)▼介護療養病床316.7日(同23.1日延伸)▼精神病床263.5日(同8.5日短縮)▼結核病床70.1日(同1.6日延伸)―となり、一般病床でわずかながら短縮しています。
一般病床の平均在院日数は、今年(2017年)4月から5月にかけて0.1日とわずかではあるが短縮した
一般病床の平均在院日数は、今年(2017年)4月から5月にかけて0.1日とわずかではあるが短縮した
 
 (3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では79.8%で、前月に比べて2.2ポイント上昇しました。病院の病床種別に見ると、▼一般病床75.1%(前月から3.8ポイント上昇)▼療養病床87.7%(同0.3ポイント低下)▼介護療養病床90.4%(同0.5ポイント低下)▼精神病床85.8%(同0.3ポイント上昇)▼結核病床33.3%(同0.3ポイント上昇)―という状況です。病床種別で異なりますが、これまで大幅な病床利用率の低下が続いていた一般病床では、わずかながら上昇に転じましたが、「小休止」状態なのか、「歯止めがかかった」のか、今後の状況を見守る必要があります。
一般病床の病床利用率は、今年(2017年)4月から5月にかけて3.8ポイント増加、前月までの減少傾向にストップがかかったようだ
一般病床の病床利用率は、今年(2017年)4月から5月にかけて3.8ポイント増加、前月までの減少傾向にストップがかかったようだ

 
 次に一般病床における「5月末分」の平均在院日数を5年前から見てみると、▼2012年:17.6日→(0.3日短縮)→▼2013年:17.3日→(0.2日短縮)→▼2014年:17.1日→(0.3日延伸)→▼2015年:17.4日→(0.5日短縮)→▼2016年:16.9日→(0.5日短縮)→▼2017年:16.4日―と推移しています(厚労省のサイトはこちら、下にスクロールすると毎月の状況が示されています)。3月分や4月分の推移(5年間の推移)からは「2016年まで在院日数は短縮傾向にあったが、2017年にストップしており、限界が来ている可能性がある」とも読み取れました。しかし、5月分の推移(5年間の推移)からは2017年になっても短縮が進んでいる状況が伺えます。6月、7月以降も踏まえた、マクロ視点で「在院日数」の状況に注視する必要があります。

 一方、病床利用率は、▼2012年:74.8%→(0.9ポイント低下)→▼2013年:73.9%→(3.4ポイント低下)→▼2014:70.5%→(0.9ポイント低下)→▼2015年:69.6%→(3.7ポイント上昇)→▼2016年:73.3%→(1.8ポイント上昇)→▼2017年:75.1%―という状況です(厚労省のサイトはこちら、下にスクロールすると毎月の状況が示されています)。こちらは変動が大きく、一貫した傾向は見て取れません。

 メディ・ウォッチでも毎回お伝えしていますが、「平均在院日数の短縮」は、7対1病院では重症度、医療・看護必要度該当患者割合の上昇と大きく関係するほか、DPCのII群要件の1つである「診療密度」向上に大きく寄与するなど、経営面では極めて重要なテーマです。さらに院内感染やADL低下のリスクを低く抑えるなど、医療の質向上にも密接に関係します。

 もっとも単純な在院日数短縮は病床利用率の低下(空床の発生)につながり、経営面ではマイナスの要素も含んでいます。そのため、利用率維持のために在院日数の短縮を控える(施設基準を維持できる範囲でコントロールする)ことが行われがちですが、これは正しい姿とはいえません。在院日数の短縮と同時に「新規入院患者の獲得」などの対策、近隣のクリニックや中小病院との連携強化による重症新患の紹介増や、救急搬送患者の積極的受け入れなどが肝要です。この点、「2016年5月と2017年5月」というミクロの比較では、在院日数短縮と利用率上昇とを両立できているようにも見えますが、より大きな比較をすると両者の実現は十分にできている状況は見えてきません。

 人口減少社会に入った我が国では、地域の患者数そのものが減少していきます。そのため「空床」対策の効果が出にくくなっており、▼地域医療構想▼病床機能報告の結果(他院の動き)▼自院の機能▼地域の医療ニーズ(人口動態や疾病構造など)―などを十分に踏まえて、「ダウンサイジング」(病床の削減)や「近隣病院との再編・統合」を考慮していく必要があります(関連記事はこちらこちらこちら)。

 

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