8月から70歳以上の高額療養費を引き上げ、併せてレセプト記載要領を一部改正—厚労省



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 今年8月から70歳以上の高齢者において高額療養費の基準額(暦月の自己負担上限額)が一部引き上げられ、あわせて多数回該当の仕組みが導入される。これに伴い、医療機関では難病法による特定医療などにおいて自院における高額療養費の支給が直近12か月で4月目以上である場合には、特記事項欄に「34多エ」を記載する—。

厚生労働省は7月31日に発出した通知「『診療報酬請求書等の記載要領等について』の一部改正について」の中で、このような見直しを行いました(厚労省のサイトはこちら)。

一般所得者の自己負担上限引き上げにあわせて、多数回該当を創設

医療保険財政が厳しくなる中で、保険制度を維持し、公平感を担保するために「比較的所得の高い高齢者にも応分の負担をお願いする」必要が生じました。社会保障審議会・医療保険部会ではこうした観点に立って議論が進められ、厚労省はこの意見などを踏まえて、70歳以上の高齢者における高額療養費の基準額(暦月の上限額)を次のように一部見直すことを決定しました(関連記事はこちらこちら)。

▼現役並み所得者(年収約370万円以上:標準報酬28万円以上、課税所得145万円以上)では、外来における自己負担上限額を従前の4万4400円から「5万7600円」に引き上げる

▼一般所得者(年収約156万円-約370万円:標準報酬26暗円以下、課税所得145万円未満)では、外来における自己負担上限額を従前の1万2000円から「1万4000円」に引き上げる(あわせて年間14万4000円の上限額を設ける)とともに、1か月ごとの上限額を従前の4万4400円から「5万7600円」に引き上げる

▼一般所得者では、1か月ごとの上限額引き上げに伴い、「直近12か月以内に3回以上、自己負担額が5万7600円に達した場合には、4回目から上限額を『4万4400円』とする」という多数回該当の仕組みを導入する

▼低所得者(住民税非課税世帯)では、従前からの引き上げなし

今年(2017年)8月から70歳以上高齢者の高額療養費制度が一部見直される(第1段階見直し)
今年(2017年)8月から70歳以上高齢者の高額療養費制度が一部見直される(第1段階見直し)

 
 こうした見直しを踏まえ、厚労省は今年(2017年)8月1日以降、▼難病法による特定医療▼特定疾患治療研究事業に係る公費負担医療―において、自院における高額療養費の支給が直近12か月間において4月目以上である場合(つまり上記の多数回該当となる場合)は、レセプトの特記事項欄に「34多エ」を記載する、こととしました。「直近12か月間で4回目」からが多数回該当の対象なので、制度改正前に上限額に達している場合も「直近12か月」に含まれれば、カウントの対象になります。

今般の記載要領通知見直しの概要(指定難病患者などで、多数回該当になる患者も34多エをレセに記載する)
今般の記載要領通知見直しの概要(指定難病患者などで、多数回該当になる患者も34多エをレセに記載する)
 
 なお来年(2018年)8月にも70歳以上の高齢者について高額療養費の基準額が再度見直され(現役並み所得者を3区分し外来上限を廃止する。一般所得者の外来上限を1万8000円に引き上げる)ますが、その際、改めてレセプトの記載要領が見直されます。
来年(2018年)8月から70歳以上高齢者の高額療養費制度が一部見直される(第2段階見直し)
来年(2018年)8月から70歳以上高齢者の高額療養費制度が一部見直される(第2段階見直し)

  

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