成功するパス改善8つのポイント、GHC病院経営データ分析塾(3)



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 グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は7月18日、「病院ダッシュボードで学ぶ、GHC病院経営データ分析塾~パス改善編~」を開催しました(申し込みページはこちら)。

 今回は、病院の経営課題を知る分析の基礎を学ぶためのテーマ別勉強会の3つ目。「パス改善」をテーマに、GHCアソシエイトマネジャーの八木保が、必要な基礎知識を解説するとともに、次世代型経営支援ツール「病院ダッシュボード」を用いて、参加者が自病院の実際のデータを用いて分析するワークショップなどを行いました。

 八木は、症例数の多い疾患を選択するなどの基本を押さえた上で、パス改善の成功に向けて必要な8つのポイントなどについて解説しました。

GHCの八木
GHCの八木

入職・異動間もない病院職員向け勉強会

 「病院ダッシュボードで学ぶ、GHC病院経営データ分析塾」は、入職・異動間もない医事課、経営企画(戦略室)、診療情報管理室、診療部門・技術部門で実際にデータを扱う病院職員に向けて、医療情報分析の基礎を学ぶための勉強会。約半年で、経営改善に欠かせない知識を身に付け、使えるデータ分析資料を作成できるようになることが目的です(開催予定は以下の通り)。12月開催の最終回でわずかな席数を残す以外、満員御礼となっている非常に注目度の高い勉強会です。

【日程・テーマ】

<前半>
 5月26日(金)DPC基礎(満員御礼)
 6月20日(火)看護必要度精度向上(満員御礼)
 6月27日(火)DPC基礎(満員御礼)
 7月18日(火)パス改善(満員御礼)

<後半>
 8月22日(火)パス改善
 10月17日(火)集患(満員御礼)
 11月28日(火)チーム医療(満員御礼)
 12月19日(火)外来・手術室改善
  ※講師は変更になる可能性がございます

 今回の「パス改善編」では、以下の5つに目的を設定し、八木の講演と参加者のワークショップを交えながら進めました。

  1. パスの重要性を理解する
  2. DPCに対応したパス作成の論点を理解する
  3. ダッシュボードを使って自病院のパスを分析する
  4. 自病院のパス改善点をまとめる
  5. 他病院の取組みを知る

多様な課題解決の万能ツール

 日本クリニカルパス学会では、パスについて以下の通り定義しています。

患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準診療計画であり、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法

 具体的なパス改善のメリットは、以下の通りです。

  1. 医療が標準化(質の保証)される
  2. 新人職員や患者への教育ツールとして使用できる
  3. 入院中の経過や治療内容を患者に分かり易く伝えられ、安心感につながる
  4. 適正な在院日数、医療資源のコントロールができる
  5. 分析と改善によって、医療の質・経営の質を継続的に高めることができる

 医療の質、人材教育、患者の安心、経営改善といいことづくめのパス改善。加えて八木は、「パス改善で加算の算定漏れも防げる。看護師の負担になっている記録時間を短縮する効果も期待できるので、業務改善にもつながる」と付け加えます。まさに、病院の多様な経営課題を幅広く解決できる万能ツールとも言えそうです。

 それでは、具体的にどのようにパス改善を進めていけばいいのでしょうか。八木はまず、パスを作成あるいは改善すべき疾患の優先順位をつけることがファーストステップとします。その選定のポイントは、▼一定の症例数がある▼平均在院日数が長いorあまりに短い▼期間II超率が高い▼対出来高増減収金額がマイナス▼医療資源投入金額が大きい▼緊急入院率が低い▼救急搬送率が低い―などで、八木は、「予定手術、検査入院、化学療法など、パス化しやすい疾患があることも念頭に入れておくと良い」とも付け加えます。

パスに組み込めば抜け漏れ解消に効果

 ターゲットとなる疾患が決まったら、改善の切り口をどう発見するかというステップに移ります。

 まずは在院日数です(1)。病院ダッシュボードを用いれば、自病院の該当疾患における在院日数が長いか短いか、瞬時に把握することができます。

 続いて、標準偏差と在院日数分布(2)。平均在院日数は適正でも、症例によって在院日数のばらつきが大きい(在院日数の標準偏差が大きい)場合には、パスが遵守できているとは言えません。

 続いて医療資源(3)。投与する抗生剤の量や日数、画像診断の有無や回数を他病院と比較することで、最適な医療資源コントロールへの道筋が見えてきます。

 リハビリも重要(4)です。特に、パスの視点では実施率と開始日は必ずベンチマークしてチェックし、早期リハや多介入によって、在院日数の短縮につながれば、経営の質はもちろん、退院後のADL向上などで医療の質向上にも直結していきます。

 入院後の術前検査実施率(5)も確認しましょう。可能な検査は入院ではなく、外来で行うべきです。

 特別食の提供率(6)も盲点の一つ。医療資源病名が対象の場合は、パスに組み込む(栄養指導とセット)ことで算定漏れを防げます。

 薬剤管理指導料・栄養指導等(7)の実施率、退院調整関係(8)も同様に、パスに組み込むことで必要不可欠です。

◆成功するパス改善8つのポイント

  1. 在院日数
  2. 標準偏差と在院日数分布
  3. 医療資源
  4. リハビリ
  5. 入院後の術前検査実施率
  6. 特別食の提供率
  7. 薬剤管理指導料・栄養指導等の実施率
  8. 退院調整関係

「入外パス」「部分パス」なども検討を

 ワークショップは、上記の講演内容の理解を深めるために用意されたもの。例えば、以下のようなシートを用いて、実際に病院ダッシュボードを使ってデータ分析することで、課題の可視化と、それぞれの対策について考え、参加病院同士で議論を深める少人数のグループワークを実施しました。

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 八木は「パスを拡大解釈して、外来まで含めた入外パスや、救急疾患に対する初療を標準化するための『部分パス』も検討して欲しい」として、パス改善はさまざまな角度で、幅広く、一方で深く改善活動を推進できることを改めて強調し、講演を締めくくりました。

会場の様子
会場の様子

連載◆GHC病院経営データ分析塾
(1)「森を見て木を見る」が経営を改善する分析の基本
(2)看護必要度のデータ精度向上は、基本押さえ多職種連携で
(3)成功するパス改善8つのポイント
(4)失敗しない「集患戦略」に欠かせないシンプルな視点とは
(5)チーム医療(加算算定率アップ)を学ぶ(11月公開予定)
(6)外来・手術室の改善学ぶ(12月公開予定)

解説を担当したコンサルタント 八木 保(やぎ・たもつ)

yagi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。理学療法士、中小企業診断士。
名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業。大手商社にてヘルスケア業界におけるマーケティング商品開発、中小企業のコンサルティングを経て、入社。リハビリの質と生産性向上、コスト削減、財務分析、DPC分析などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うとともに、社内のCS向上チームや社外のCQI(Cancer Quality Initiative)研究会のサポートなどでも精力的に活動する(諏訪中央病院の事例紹介はこちら、津島市民病院の事例紹介はこちら)。
解説を担当したコンサルタント 小林 麗有(こばやし・れあ)

snakamura 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。看護師。
東京慈恵医科大学付属病院で心臓血管外科、第三病院でがん看護を経験後、特定介護施設の企画運営サポート業務を経てGHC入社。医療材料に関する企画、調査、分析などを得意とし、公的病院(東海地方800床台)の医療材料の適正価格分析などを担当する。
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