医師への時間外労働規制適用に向けて検討開始、診療報酬での対応も視野に—厚労省



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 医師の働き方改革に向けた本格的な検討が始まります。2日には「医師の働き方改革に関する検討会」が立ち上げられる予定で、これに合わせて7月31日には厚生労働省内に「医師の働き方改革推進本部」が設置されました。

 医師にも「罰則付きの時間外労働の上限規制」が適用されますが、応召義務が課せられた中で、具体的にどう規制を適用していくのかを検討会と推進本部で詰めていくことになります。推進本部では「新たな医師の働き方を踏まえた診療報酬上の対応の方向性」についても検討するとされている点が注目されます。

有識者による検討会と、厚労省内の推進本部とで、具体的な対応策を検討

 安倍晋三内閣総理大臣が議長を務める働き方改革実現会議は3月28日に「働き方改革実行計画」を決定。そこでは、以下のような「罰則付きの時間外労働の上限規制」を導入し(労働基準法改正)、医師も規制の対象となることが明確にされました(関連記事はこちら)。

▼時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」(時間外労働の限度の原則)とし、違反した場合には、特例の場合を除いて罰則を課す

▼労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける

▼上限について、▽2か月・3か月・4か月・5か月・6か月の平均で、いずれも80時間以内▽単月では100時間未満―を満たさなければならないとし、原則を上回る特例の適用は年6回を上限とする

 もっとも医師には応召義務があるため、▼医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととされています。

医師も罰則付き時間外労働の上限規制の対象となるが、適用を遅らせるとともに、医療現場の意見を聞き具体的な規制の在り方を検討する
医師も罰則付き時間外労働の上限規制の対象となるが、適用を遅らせるとともに、医療現場の意見を聞き具体的な規制の在り方を検討する
 
 前者の「検討の場」が2日開催予定の「医師の働き方改革に関する検討会」で、有識者による議論が行われます。厚労省はさらに、検討会の議論を踏まえた上で、省内で関係局(医政局、労働基準局、保険局)による検討を行う必要があるとし、7月31日に「医師の働き方改革推進本部」を設置しました。

 推進本部のトップは鈴木康裕医務技監。副本部長に医政・労働条件政策・医療介護連携担当の各審議官が配置されました。

 7月31日の推進本部初会合では、鈴木医務技監からは「医師の長時間労働を是正し、医師が疲弊しないシステムを確立する必要がある。女性医師が増え、また若い研修医の働き方も昔とは変わってきており、『働き方改革実行計画』に則り、一方で医師の応召義務などの特殊性も踏まえて検討する必要がある」との考えが示されました。主に検討会で議論を行い、必要に応じて推進本部で事務的・技術的な事項を検討するという進め方が予定されています。

 なお推進本部の業務には、▼新たな医師の働き方を踏まえた医師に対する時間外労働規制の具体的な在り方▼医師の勤務環境改善策—のほか、「新たな医師の働き方を踏まえた診療報酬上の対応の方向性」を検討することも含まれています。検討会で診療報酬の議論も行うのか、中央社会保険医療協議会との関係はどうなるのかなどは未定で、今後、どのような舵取りが行われるのか注目されます。

 医師の働き方に関する診療報酬としては、現在、例えばA200【総合入院体制加算】では、施設基準の中に「病院勤務医の負担軽減・処遇改善に資する体制の整備」が盛り込まれ、具体的には▼医師の勤務状況を把握し、改善提言を行う責任者の配置▼多職種からなる役割分担推進委員会・会議の設置・開催▼勤務医の夜間も含めた勤務状況を把握した上での、特定人に業務が集中しない勤務体系の策定▼「当直日翌日は休日とする」「予定手術の術者は是実の当直・夜勤を行わない」などの配慮▼負担軽減・処遇改善計画の策定と職員への周知徹底—などを行うことが求められます。

こうした規定の厳格化や、勤務員負担軽減規定を盛り込んだ加算の拡充などが思い浮かびますが、具体的どのような報酬での対応を行うのか、またいつの診療報酬改定を射程に入れているのか(2018年度か、2020年度か)など、今後の動きに要注目です。

 

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