2018年度診療報酬改定で入院基本料の報酬水準や要件など検討せよ—経済財政諮問会議で骨太方針2017素案



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 2018年度の診療報酬・介護報酬改定では、病床の機能分化・連携を進めるため「入院基本料の報酬水準・算定要件」「新設予定の介護医療院の報酬・施設基準」の在り方などを検討せよ。また、地域医療構想の実現に向け「個別病院名」「転換すべき病床数」などの対応方針を策定するために、2年間程度で集中的に検討を進めよ—。

 2日に開催された経済財政諮問会議で、こういった内容を盛り込んで「経済財政運営と改革の基本方針2017(仮称)」(いわゆる骨太方針2017)の素案が提示されました(内閣府のサイトはこちら)。

2018年度診療報酬改定での「プラス改定」論議を牽制か

 骨太方針は、経済・財政を同時に再建するための政府の基本方針です。歳出(政府の1年間の支出)の無駄をカットするとともに、効果的な配分を行うことを目指し、各分野で取り組む施策の拠り所(上位指針)となります。医療・介護に関連する項目を見てみましょう。

 まず来年度(2018年度)に控える診療報酬改定については、「▼高齢化要因を上回る医療費の伸びが大きい▼国民負担▼物価・賃金動向▼医療費増に伴う医療機関の経営動向▼保険財政・国の財政—の状況を踏まえて検討する」と述べており、ここからは「プラス改定論議」を牽制する姿勢が見えてくると言えるでしょう(関連記事はこちら)。

 具体的な改定内容として、▼医療機関の地域連携強化に向けたこれまでの改定内容の検証▼病床の機能分化・連携を更に後押しするため、患者の状態像に即した適切な医療・介護を提供する観点から、入院基本料の在り方(報酬水準、算定要件など)の検討▼医療・介護連携の強化に向けた対応―などを掲げました。入院基本料について焦点を合わせた言及をしており、今後の中央社会保険医療協議会などの議論に注目が集まります(関連記事はこちら)。

 また来年度(2018年度)には介護報酬改定も行われますが、骨太方針2017では、▼新設予定の介護医療院の介護報酬・施設基準の在り方▼医療・介護連携の強化に向けた対応▼自立支援に向けた介護サービス事業者に対するインセンティブ付与のためのアウトカム等に応じた介護報酬のメリハリ付け▼生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和と、それに応じた報酬設定▼通所介護などその他の給付の適正化―など具体的な項目について言及する考えです(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

個別病院名など盛り込んだ具体的な地域医療構想実現方針を2年で策定

医療提供体制改革に関しては、「地域医療構想の実現」を最重要課題に位置付け、具体的な提言・指示を行っています。

まず、「地域医療構想調整会議」での具体的議論を促進するために、病床の役割分担を進めるためデータを国から提供し、「個別の病院名」や「転換する病床数」などの具体的対応方針を速やかに策定するために「2年間程度で集中的な検討を行う」よう要望(関連記事はこちらこちら)。

さらに、▼介護施設や在宅医療などの整備と整合的な慢性期機能の再編のための地域における議論の進め方を速やかに検討する▼基準病床制度の取扱いを参考に、自主的な取り組みによる病床の機能分化・連携が進まない場合における「都道府県知事の権限の在り方」について検討を進める▼具体的な事業計画を策定した都道府県への地域医療介護総合確保基金の重点的な配分を行う—ことなどを求めています。

このほか、かかりつけ医の普及に向けた「病院への外来受診時の定額負担に関し、定額負担の対象の見直し」(本年(2017年)末までに結論)、国保の都道府県化を踏まえた「都道府県のガバナンス強化、アウトカム指標などによる保険者努力支援制度・特別調整交付金などの配分によるインセンティブ強化、普通調整交付金における医療費適正化インセンティブの観点からの見直し」などを行うよう指示。

さらに、▼医学部定員について、医師需給の見通しを踏まえた精査を行う▼医師に負担軽減に向けた、看護師の行う特定行為の範囲拡大などタスクシフティング、タスクシェアリングを進める▼複数医師によるグループ診療や遠隔診療支援、へき地などに勤務する医師の柔軟な働き方を支援するなど抜本的な地域偏在・診療科偏在対策を検討する—ことも求めました(関連記事はこちら)。関連して、「働き方改革」について、医師についても「罰則付き時間外労働の限度設定」(労働基準法などの改正)の対象とし、▼改正法施行から5年後を目途に規制を適用する▼2年後を目途に規制の具体的な在り方を検討し、結論を得る—ことを改めて明確にしています(関連記事はこちら)。

医療・介護のデータを連結した保健医療データプラットフォームを2020年度から運用

 このほか、医療費適正化に向けて▼都道府県・市町村・保険者・医療関係者などが参加する協議体で、診療行為の地域差を含めたデータの「見える化」を行い、市民や医療機関医提供する▼必要な場合に備えて、都道府県別の診療報酬(高齢者医療確保法第14条)に関する検討を本年度(2017年度)中に検討する▼社会保険診療報酬支払基金改革を進める—ことや、健康増進・予防推進に向けて▼保健医療データプラットフォーム(健康・医療・介護のビッグデータを連結し、医療機関や保険者、研究者、民間などが活用可能とする)を2020年度から本格運用する▼がんゲノム医療を提供する体制(がんゲノム医療推進コンソーシアム)を構築する—ことなどにも言及しています(関連記事はこちらこちら)。

 さらに、経済財政諮問会議自らが指示した薬価制度抜本改革について「基本方針」に基づいた見直しを進めることに加え、▼リフィル処方の推進検討▼高齢者向けの医薬品(生活習慣病治療薬など)のガイドライン作成▼後発品使用割合80%を2020年9月までに達成する(明確化)▼2020年度末までにバイオシミラー(バイオ後発品)の成分数ベースでの品目数倍増を目指す―ことなどを打ち出しました。また、いわゆる参照価格制などについても「本年(2017年)末までに検討し、結論を得る」よう指示しています(関連記事はこちら)。

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