無産科地区解消に向けた産科への財政支援や、要介護度改善に応じた介護報酬の検討を—自民党



Pocket

 一億総活躍社会の構築に向け、▼財政支援の拡充による無産科2次医療圏の解消▼医学部入学時の産科医枠・小児科医枠の導入推進▼初期臨床研修での産科・小児科の必修化▼一定期間の医師不足地域におけるローテーションなどの専門医制度の改善▼かかりつけ医などの受診勧奨▼診療における検査データを特定健診データとして活用するルールの整備▼科学的介護の確立▼要介護度の維持改善に応じた介護報酬の検討―などを進める必要がある。

 自由民主党の一億総活躍推進本部が10日、このような内容の提言「一億総活躍社会の構築に向けた提言」をまとめ公表しました(自民党のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

新専門医制度では、都道府県の定める医師不足地域で一定期間の研修を

 安倍晋三内閣は、「三本の矢」(大胆な金融政策、機動的な財政支援、民間投資を喚起する成長戦略)および「新三本の矢」(希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障)を打ち立て、経済・財政の再建を進めています。うち後者の新三本の矢を実現するために、昨年(2016年)6月に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定し、新たな三本の矢の好循環を目指す方針です。

 自民党は、「ニッポン一億総活躍プランの描いた経済の好循環が生まれている」としながらも、「力強さに欠ける」と指摘。一億総活躍推進本部の下に▼女性活躍・子育て・幼児教育▼産婦人科・小児科医師不足偏在問題対策▼65歳以上のシニアの働き方・選択の自由度改革▼IOHH活用・健康寿命革命▼若者の雇用安定・活躍加速▼誰もが活躍する社会を創る—という6つのプロジェクトチームを設け、一億総活躍社会の構築に向けて、さらにどのような取り組みをなすべきかを検討。今般、それらを総合した提言をまとめたものです。

 このうち、「産婦人科・小児科医師不足偏在問題対策」に関しては、新三本の矢の1つである「夢を紡ぐ子育て支援」で打ち出した『希望出生率1.8』を実現するために、産科医・小児科医の不足・偏在問題を解消する必要があると強調。次のような取り組みを強力に推進する必要があると訴えています。

(1)無産科2次医療圏(産科医がおらず分娩取扱医療機関がない2次医療圏)を解消するために、産科医療機関へのソフト・ハード両面への財政支援を拡充する。

(2)産科医や小児科医を目指す学生に対し、医学部入学時の産科医枠・小児科医枠の導入を推進する。とくに大学と出身地が同じ都道府県である者は地元に残る割合が高いことから、地域枠において『地元枠』を推進する(関連記事はこちら)。

(3)初期臨床研修での産科・小児科を改めて必修化する。

(4)新専門医制度において、大学病院や都市部の大病院でのみでなく、一定期間「医師が不足している都市部以外の地域にローテーションする」よう抜本的な改善を行う。医師不足地域をどう考えるかについては、都道府県ごとに、地域医療の関係者が入った場で議論し決定する(関連記事はこちらこちら)。

電子カルテの標準規格普及や、科学的介護の確立、状態改善に応じた介護報酬を

 また、「IOHH(Internet of Human Health、高頻度で簡単に検知可能なデータヘルス関連技術)活用・健康寿命革命」PTでは、平均寿命といわゆる健康寿命との間に「10年間」というタイムラグがあることに注目。2025年における日本人の健康寿命を2010年時点よりも2年延伸し、▼男性70.42歳(2010年)→72.42歳▼女性73.62歳(2010年)→75.62歳―とする目標値を設定。現高齢者の自立支援はもとより、若い世代から健康を意識した生活を送ることを目指し、次のような取り組みを推進するよう強く求めています。

(1)特定健診受診率(目標70%に対し、2014年度実績は49%)の向上を図るため、▼保険者インセンティブ(特定健診に力を入れる医療保険者への財政的支援)の強化▼保険者間再委託の可能化▼かかりつけ医・かかりつけ歯科医による受診勧奨▼診療における検査データを特定健診データとして活用するルール整備―を進める。また、生活習慣病・認知症のバイオマーカー・リスクマーカー等の研究・開発、ウェアラブル(身に着ける検査機器)を活用した健康データ利用促進を図る(関連記事はこちら)。

(2)データヘルスの充実、地域包括ケアのための医療・介護連携強化・ICT化に向けて、▼電子カルテ利用率向上▼標準規格普及による電子カルテの互換性向上▼医療・介護情報の標準化▼データ分析に基づく科学的介護手法の確立―を推進する。また、事業者の介護データ提出や利用者の状態維持改善に応じた介護報酬上の評価(クリームスキミングには留意)の検討や(関連記事はこちら)、AI(人工知能)の医薬品医療機器法上の取扱い明確化などを通じて、「AIとデータヘルスの融合」を推進する(関連記事はこちらこちらこちら)。

(3)地域住民による通いの場づくり等の推進・普及に向けて、▽コミュニティナース(病院の外に出て、地域で活動する看護師)▽薬剤師▽理学療法士―などの多職種フル活用で取り組む。またフレイル(虚弱)対策として、地域包括ケアシステムの強化、口腔機能低下予防の検査・技術開発などに取り組む。

(4)食・スポーツなどの分野における「未病」に関する研究・開発・普及を推進する。

 

MW_GHC_logo

【関連記事】
AIを活用したがん治療や、オンライン遠隔診療など「医療・介護革命」を進めよ—自民党
塩崎厚労相が「介護サービスの確保」「生涯現役社会の実現」を強調―一億総活躍国民会議
2018年度診療報酬改定で、オンライン診療を組み合わせた生活習慣病対策などを評価—未来投資会議

「一億総活躍社会」の実現こそ我々の使命、有賀・労災機構理事長に聞く(1)

専門医取得が義務でないことやカリキュラム制の設置、新整備指針の中で対応—日本専門医機構
新専門医制度、整備指針を再度見直し「専門医取得は義務でない」ことなど明記へ―厚労省検討会
医学部入学定員の「地域枠」、運用厳格化で医師偏在是正を―医師需給分科会で一戸構成員
2018年度からの第3期医療費適正化計画、保険者・自治体・医療関係者・企業の連携が必要—社保審・医療保険部会
AI(人工知能)活用した診断・治療、最終責任は医師が負うべき―厚労省・AI活用推進懇談会
診療支援やゲノム医療、創薬などの保健医療分野でAI活用へ—厚労省・AI活用懇談会

Pocket