無届けで第二種再生医療等である「自己由来幹細胞の静脈内投与」を実施した医療機関に停止命令―厚労省



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 健康リスクの可能性がある「第二種再生医療等」を無届けで実施していたとして、厚生労働省は12日、スタークリニック(東京都港区)に対して「再生医療等の提供の一時停止」を命じました。

「自己由来の幹細胞」であっても、第二種再生医療等として提供計画届け出が必要

 ヒト由来の組織などを用いて、傷病で機能不全になった組織・臓器を再生する「再生医療」の研究が進めされ、実用化も進んでいます。しかし、リスクが不明な部分もあり、国は2013年に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、法)を制定するなどし、「迅速な提供」と「安全性の確保」との両立を目指しています。

 具体的には、リスクの程度に応じて再生医療技術を3つに分類し、それぞれについて提供に係る手続きを定めています(関係する厚労省令はこちら)。

▼第一種再生医療等(ヒトに未実施であるなど「高リスク」の技術):▽人の胚性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞など)または人工多能性幹細胞様細胞(皮膚の線維芽細胞からiPS細胞を経ずに直接作製された神経幹細胞など)に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術▽遺伝子を導入する操作を行った細胞または当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術(悪性腫瘍に対するリンパ球活性化療法のうちリン パ球に遺伝子を導入するような技術など)▽動物の細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術▽投与を受ける者以外の人の細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術

▼第二種再生医療等(現在実施中であるなど「中リスク」の技術):▽培養した幹細胞(造血幹細胞、 神経幹細胞、間葉系幹細胞といったヒト体性幹細胞)または当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術▽培養した細胞または当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術のうち人の身体の構造または機能の再建、修復または形成を目的とする医療技術▽細胞の相同利用ではない医療技術(腹部から脂肪細胞を採取し、当該細胞から脂肪組織由来幹細胞を分離して、乳がんの術後の患部に乳房再建目的で投与する技術など)

▼第三種再生医療等(リスクの低い技術):活性化リンパ球を用いた従来の各種がん治療など

再生医療等はリスクによって第一種・第二種・第三種に区分され、それぞれについて提供のための手続きが定められている
再生医療等はリスクによって第一種・第二種・第三種に区分され、それぞれについて提供のための手続きが定められている

  

 このうち、第二種再生医療等を実施する場合には、再生医療等提供計画を厚生労働大臣に届け出る(特定認定再生医療等委員会の意見を聴くことが必要)ことが義務付けられています。

 今般、厚労省がスタークリニックに立入検査(法第24条)を行ったところ、無届けで第二種再生医療等に該当する「自己皮膚脂肪組織由来間葉系幹細胞の静脈内投与によるサルコペニアの治療」を実施していることが判明。厚生労働大臣は「保健衛生上の危害の発生・拡大を防止する必要がある」とし、同院に対して当該医療技術の提供を一時停止する緊急命令(法第22条)を行いました。

 サルコペニアは、加齢や疾患による筋肉量の減少によって、全身の筋力・身体機能の低下が生じる状態で、一般に▼運動療法▼栄養療法▼薬物療法—が行われます。ところで、サルコペニアが生じる原因として、「筋再生に重要な役割を果たす細胞が、加齢などによって機能低下を起こし、筋繊維が減少する」という説があり、患者由来の幹細胞を自己移植技術(幹細胞が、筋再生に重要な役割を果たす細胞に変化することで機能再生を狙う)が行われているようです。しかし、この説そのものへの異論もあり、また法に則らない再生医療の実施は、重大な健康被害につながる可能性も大きなことから、早急な是正が求められます。

 

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