社会福祉法人、2019年度以降も低所得者への介護サービス利用者負担減額が可能—厚労省



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 低所得者が介護保険サービスを利用するに当たり、社会福祉法人が自らの役割や財務状況に鑑みて、利用者負担を軽減することが2015・16年度に可能とされていたが、これを本年度(2017年度)以降も継続することを認める—。

 厚生労働省は8日、このような点を通知「『低所得者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額の軽減制度の実施について』の一部改正について」の中で明らかにしました。4月1日に遡って適用されます。

軽減の対象者や内容、手続きに変更なし

 介護保険制度は社会保険制度の1つであり、不適切な利用を避けるなどの意味で法定の「利用者負担」が設けられています(関連記事はこちらこちら)。したがって、介護サービス事業所が自らのは判断で、「利用者負担を減免する」ことは認められていません。例えば、「弊社のホームヘルプサービスは利用料がゼロ円ですなどとして、多くの利用者を確保する」ようなことはできないのです。しかし、社会福祉法人については、その社会的な役割に鑑みて「低所得で生計が困難な人」について介護保険サービスの利用者負担を軽減することが認められています。

 厚労省は2015・16年度において、「自らの財務状況を踏まえて自主的に事業実施が可能である旨を申し出た社会福祉法人については、助成措置を受けることなく本事業を実施することができる」としてきました。

 この点、社会福祉法人については「収益を内部に留保するだけでなく、これまで以上に地域貢献に向けた資本投下をしていくべき」との指摘などを受け、ガバナンスの強化などを柱とする制度改革(改正社会福祉法)が行われたことを踏まえ(関連記事はこちらこちらこちらこちら)、厚労省は本年度(2017年度)以降も、「自らの財務状況を踏まえて自主的に事業実施が可能である旨を申し出た社会福祉法人については、助成措置を受けることなく本事業を実施することができる」ことを明確にしました。低所得者が馴染みの社会福祉法人から、介護保険サービスを継続して受けられることが期待されます。

 なお軽減の手続きや内容、対象者などについて変更はありません。軽減制度の大枠は以下のとおりです。

【軽減対象者】

(1)市町村民税世帯非課税で、▼年間収入が150万円(単身世帯、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算)以下▼預貯金などが350万円(単身世帯、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算)以下▼介護保険料の滞納なし―などの要件を満たし、市町村が「生計が困難」と総合的に判断した者

(2)生活保護受給者

【手続き】

▼市町村が利用者の申請に基づいて対象者かどうかを判断し「確認証」を交付する

▼軽減を行う社会福祉法人は市町村に申出を行い、確認証を提示した利用者には利用料の軽減を行う

【軽減の程度】

(1)では、利用者負担の4分の1を原則として、市町村が収入などを総合的に勘案して、個別に決定する(確認証に記載)

(2)では、全額

 

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