AIを活用したがん治療や、オンライン遠隔診療など「医療・介護革命」を進めよ—自民党



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 人工知能(AI)を活用し、最も効果的ながんや難病治療方法の開発を進めるとともに、ICT技術を活用した遠隔医療を実現するために、「サンドボックス型特区制度」を創設し実証実験を行う—。

 自由民主党の「経済構造改革に関する特命委員会」は4月28日、このような最終報告を取りまとめました(自民党のサイトはこちら)。

ICT活用したオンラインの遠隔診療、2020年度改定までに診療報酬の整備を

 最終報告では、我が国の「強み」を最大化する経済構造改革を強力かつ迅速に推進する必要があり、そのためには「第4次産業革命」の社会的実装を図り、新たな成長エンジンの創出による潜在成長力の向上を図ることが必要と強調。

 その一環として最先端技術を活用した「医療・介護革命」を行う必要があるとし、具体的に(1)AIを活用したがん・難病治療の実現(2)遠隔医療の社会実装(3)革新的創薬の支援(4)患者の病歴などを瞬時に把握できるデータ利用システムの構築(5)介護革命の実現(6)サンドボックス型特区制度の活用―の6項目を提言しています。

 このうち(1)では、ゲノム解析にAIを活用し、最も効果的ながん治療方法の探索・提示の大幅なスピードアップなどを目指し、「医療・医学分野とAI技術・データサイエンス分野の産学共同の取り組み」の重点支援を検討するほか、医療の地域間格差解消や、AI治療導入に伴う個人情報の保護や費用などの課題に関する検討を進めよと求めています(関連記事はこちらこちら)。

 また(2)の遠隔医療については、離島や中山間地域にとどまらず、都市部においても通院などに係る負担軽減を目指し、ICT技術を活用した「オンラインによる遠隔診療」(=ホスピタル・アット・ホーム)を実現する方針を明確化。ICT設備・機器の導入支援や運用補助などを実施するとともに、「サンドボックス型特区制度」を創設し、遠隔医療の実証実験を行うよう指示しました。

 「サンドボックス型特区制度」とは、遠隔医療にとどまらず、自動運転やドローンなどの新技術の社会実装に向けた「実証実験」を行う新たな特区です。最終報告では、現行の法規制による事前規制を「大幅に緩和、ないし撤廃」するとともに、事後チェックを十分に行えるよう、情報公開や業績評価、万一の損害発生に備えた補償などを備えることとしています。

 さらに最終報告では遠隔医療の診療報酬について、2020年度(次々期改定)までに制度整備できるように検討を進めるよう指示しています(関連記事はこちら)。

 

 また(4)は、いわゆる医療のビッグデータ(レセプトや健診データなど)を適切に利活用することが、国民の健康に結びつく点を強調し、「患者と医師の間の厳格な本人確認と意思疎通の担保」を前提としたビッグデータ利活用システムの構築に向けた、速やかな検討を行うよう提言するものです。

 

 さらに(5)では、▼介護支援ロボット▼見守りのための高度センサー—などを活用する先駆的な取り組みを後押しするために、前述の「サンドボックス型特区制度」などで実証実験を行い、その成果を踏まえて2020年度までに報酬体系の見直しを含めた制度整備を行うよう指示しました(関連記事はこちら)。

 

 こうした提言内容は、安倍晋三内閣総理大臣や塩崎恭久厚生労働大臣が示した方針と方向性を同じくしており、政府と与党が一体となって強力に進められるものと考えられます。(2)のICTを活用した遠隔診療については、塩崎厚労相が「2018年度の次期診療報酬改定で、▼オンライン診察を組み合わせた糖尿病などの生活習慣病患者に対する効果的な指導・管理▼血圧、血糖などの遠隔モニタリングを活用した早期の重症化予防―などについて診療報酬上の評価を行う」考えを明確にしており、2018年度改定で一部導入、20年度で本格導入という下書きが描かれていると言えそうです(関連記事はこちら)。

 

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