オンラインでのサービス担当者会議などを可能にし、医療・介護連携の推進を—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)



 お伝えしているように、19日に中央社会保険医療協議会と社会保障審議会・介護給付費分科会の委員による「医療と介護の連携に関する意見交換」が行われました。今回はリハビリテーションのほかに、「関係者・関係機関の調整・連携」も議題となりました。

 医療・介護連携を進めるためには、連携の「要」となる介護支援専門員(ケアマネジャー)に情報が集約され、そこから関係者に情報発信されることが望ましいと言えますが、ケアマネの負担も考慮し、効率的な情報収集・提供を進める仕組みの構築が重要となります。委員からは、例えばICTを活用した「オンラインによるサービス担当者会議」などを検討してはどうかとの提案がなされています。

4月19日に開催された、「第2回 医療と介護の連携に関する意見交換」
4月19日に開催された、「第2回 医療と介護の連携に関する意見交換」

医療職とケアマネが連携しなければ、末期がん患者などへの迅速な対応が困難

 要介護者、とくに居宅の要介護者は多様な介護サービスを利用するとともに、多くの方は医療サービスも受けています。このため、サービス提供をする介護事業所や医療機関などが、その要介護者の抱える課題(どのような疾病を持っているのか、身体的・精神的な状況はどのようなものか、1人暮らしなのか、経済的に困窮していないかなど)を共有し、適切なサービスを総合的・一体的に提供する必要があります。

 その際、要介護者の状況をアセスメントし、ケアプランを作成・修正していくケアマネジャーには、情報収集・提供を行う司令塔の役割が求められます。

 しかし厚生労働省老健局老人保健課の鈴木健彦課長は、現状には(1)医療職とケアマネとの間の連携・理解不足(2)入退院時におけるケアマネと医療機関との連携の機会確保が困難(3)各医療・介護職種が「どのような情報を求めているのか」が十分に共有されず、多忙なために一堂に会することが困難—といった問題点があると指摘します。

 このうち(1)では、例えば状態が変化しやすい末期がん患者について、適切なサービスが迅速に提供されていないという現実があるといいます。診療側の鈴木邦彦委員(介護給付費分科会委員、日本医師会常任理事)は、こうした問題を解決するために「医師が指示したサービスをまず提供し、あとからケアプラン作成・修正を行うという柔軟な仕組みを構築する必要があるのではないか」と提案。同じく診療側の猪口雄二委員(中医協委員、全日本病院協会副会長)も同旨の提案を行っています。

 この場合、暫定ケアプランを作成し迅速なサービス提供を行うという方法が考えられますが、そもそもケアマネジャーと医療職との連携が不十分であれば、「適切な暫定ケアプラン」を作成することが困難であり、結果として迅速なサービス提供がなされなくなってしまいます。

 この点について東憲太郎委員(介護給付費分科会委員、全国老人保健施設協会会長)は、「医師が『こうした医療的ケアが必要だ』と判断した患者については、自らケアマネに連絡をとればよい。ケアマネも『医師の指示が必要である』と判断した場合には、昼休みに押し掛けるくらいの積極性を持つべきである」と述べ、双方が歩み寄ることで解決できる問題であると指摘します。しかし、巷間「福祉系のケアマネは医療について『垣根が高い』と感じている」と言われており、当事者に任せて解決できる問題ではありません。いかにすれば「ケアマネ側から医師に連絡を取りやすくなるのか」「多忙な医師がケアマネに情報提供しやすくなるのか」を仕組み化する必要があるでしょう。

ICTを活用した「オンラインのサービス担当者会議」などを多くの委員が提案

 この問題は(2)の「連携の機会確保」や(3)の「サービス担当者会議」で、より顕在化します。ケアマネはケアプラン作成に当たり、「ケアプラン原案に位置付けた居宅サービス(医療サービスを含む)の担当者」を招集して、専門的な意見を求めなければいけません(サービス担当者会議)。

 しかしケアマネも含めて多忙なため、メンバーが一堂に会すことが難しいと指摘されます。医師である松本純一委員(中医協委員、日本医師会常任理事)は「午前中にサービス担当者会議が開催されれば、診療中でありなかなか参加できない。医師と訪問介護をはじめとする介護サービス提供者との連携は進むが、ケアマネとの連携が難しい」と自らの体験も含めて実状を説明します。

 また同じく医師である武久洋三委員(介護給付費分科会委員、日本慢性期医療協会会長)も同様の実態があるとし、「地方ではサービス担当者会議に出席するためだけに何時間もかかることがある。そろそろICTを活用した会議(一堂に会した会議だけでなく、ICTによる会議でも算定要件を満たすこととする)などを認めてはどうか。サービスの質も上がり、利用者にも資する」と提案しました。医師である鈴木委員や齋藤訓子委員(介護給付費分科会委員、日本看護協会常任理事)はもとより、ケアマネ代表である鷲見よしみ委員(介護給付費分科会委員、日本介護支援専門員協会会長)もこの提案に賛同しています。

 中医協では「ICTを活用した生活習慣病対策の評価」などが支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)らから提案され、また未来投資会議では塩崎恭久厚生労働大臣から「ICTを活用した遠隔診療などを評価する」方針が示されており、2018年度同時改定においては「ICTの活用」が目玉の1つとなりそうです。

患者の入院当初からラウンドにケアマネを同行させてほしい

 なお鷲見委員は、(2)の「連携の機会確保」に関連し、▼入院当初からケアマネをラウンド(いわば回診)に同行させる▼入院時に患者の介護保険証を確認し、ケアマネに入院した旨を連絡する—という2点を要望しています。

 前者が全国の医療機関で実現すれば、「入院患者の情報を早期に把握し、退院後のケアプラン作成に活かす」ことが可能となり、円滑な在宅移行、つまり早期退院につながることが期待できます。急性期病院として名高い病院では既にこうした取り組みを行い、医療・介護連携を実践しています。大阪府の社会医療法人生長会府中病院もその1つで、ケアマネや転院先・退所先のスタッフを招き、入院患者と顔合わせなどをすることで、患者も安心し、転院先・退院先スタッフも患者状態を確認できるため、円滑な退院支援が実現できているといいます(関連記事はこちら)。前述した「医療職とケアマネとの垣根」をなくすためには、こういった取り組みも極めて重要でしょう。

 また福岡県済生会福岡総合病院では、地域のケアマネを招き症例検討を実施。医療・介護連携を推進することで、急性期を脱した患者の早期退院を可能な仕組みを自ら構築し、7対1入院基本料の施設基準に盛り込まれている「重症度、医療・看護必要度」を満たす患者割合を高めることが可能になっています(関連記事はこちら)。急性期病院にとっても、医療・介護連携は「機能を高める」ために不可欠な要素です。

要介護高齢者の口腔ケアによって全身状態改善などの効果

 ところで医療・介護連携の中では「歯科との連携」も重要です。要介護者の口腔ケアを十分に行うことで、誤嚥性肺炎の減少や全身状態の改善などの効果が生じることが実証されています。

 この点について遠藤秀樹委員(中医協委員、日本歯科医師会常務理事)は、「施設では口腔ケアが必要な患者をスタッフが鑑別できるが、居宅で家族にそれを求めるのは困難である。デイケア(通所リハビリ)やデイサービス(通所介護)の場で、歯科医師らが指導管理をできれば、家族の負担も減り、居宅患者の健康にも資する」と述べ、厚労省に対応を求めました。

 確かに、こうしたサービス提供が可能になれば利用者や家族の利便性も増すため、望ましいようにも思われます。しかし、利用者の居宅を訪問するサービスは歯科の居宅療養管理指導にとどまりません。これを認めれば「デイケアの利用者に対する訪問サービスをすべて認める」ことにもつながりかねず、介護保険制度が大きく混乱してしまうでしょう。やはりケアマネや訪問スタッフらが、居宅利用者の口腔状態も把握し、必要があれば歯科医師らの訪問をケアプランに盛り込むといった取り組みを進めることが先決と考えられそうです。

 なお、デイサービス事業所が、自ら「歯科衛生士や言語聴覚士を配置」し、利用者の口腔清掃の指導などを行う場合には、【口腔機能向上加算】を算定できます。

  

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