新専門医制度、見直しで何が変わったのか、地域医療にどう配慮するのかを分かりやすく示す―日本専門医機構



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 新専門医制度への誤解が依然としてある。これを解くために、新専門医制度では何が変わるのか、地域医療へどのように配慮するのかを分かりやすく「Q&A」形式でまとめて公表する—。

 日本専門医機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)が、14日の記者会見でこのような考えを示しました。

専門医機構の活用に十分な理解を得るためのQ&Aを作成

 新たな専門医制度の2018年度スタートに向けて、日本専門医機構では、いわば制度の憲法にあたる「新整備指針」を昨年(2016年)12月に制定(関連記事はこちらこちら)。さらに、これをかみ砕いた「運用細則」の暫定版も3月に固めています(関連記事はこちらこちら)。

 しかし、専門医を目指す若手医師や、地域医療の現場からは「地域医療を崩壊させるのではないか」「専門医制度など不要ではないか」「専門医機構が何をしているのか分からない」といった厳しい指摘が依然として出されています。こうした指摘を踏まえ吉村理事長は「機構の活動が十分に理解されていない」とはんだん、今般、新専門医に関する分かりやすい「Q&A」を作成することを決定しました。

 Q&Aには、▼専門医とはどのような医師か▼なぜ専門医が必要なのか▼これまでの(かつての)専門医制度はどのような仕組みであってか▼新しい専門医制度はどのような仕組みで、従来と何が異なるのか―などが、詳細に、かつ分かりやすく解説されます。

 とくに新たな専門医制度については、関係者の不安を払拭するために、▼プログラム制とは何か▼地域の医療偏在を助長しないための「都道府県協議会」とは何か▼専攻医(専門医を目指す医師)の身分保障はどうなるのか▼専攻医を受け入れる施設になるための基準や手続きはどのようなものか▼専攻医として登録されるためにはどのような手続きを踏めばよいのか▼指導医が常勤していない施設の扱いはどうなるのか―などを詳細に解説します。

 吉村理事長は「大枠はできているが、14日の理事会などでさまざまな意見が出されており、近く完成させ、公表する」考えを示しています。

2018年度の新専門医制度スタートの方針に変更なし、と松原副理事長

 ところで「運用細則」について、機構がホームページ上でパブリックコメントを募集したところ、50-60件の意見が寄せられたといいます。機構の松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、「この部分を修正すべきという意見、逆に修正すべきでない意見など、さまざま寄せられたが、今のところ修正する必要はないと判断した」と説明。ただし、運用細則をベースに各基本領域学会で専門医養成プログラムの整備基準などを作成しますが、その作成過程で「細則のこの部分は修正する必要があるのではないか」との意見が出される可能性があることを踏まえ、松原副理事長は「柔軟に修正してく」考えも表明。当面は、暫定版という扱いになります。

 

 また、新専門医制度について「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書が▼専門医認定の基準づくり▼枠組みの整備―などを行っていくべきと提言するなど、2018年度からの専攻医養成スタートに向けて雲行きが怪しくなってきているとの指摘もあります。こうした点について松原副理事長は「2018年度の養成開始の方針に変更はない」「ビジョン検討会はあくまで1委員会に過ぎず、報告書がすべてではない」と述べ、厚生労働省と意見をすり合わせしながら、2018年度スタートに向けて努力していくことを強調しました。

  

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