病床機能の転換方策などをスピーディに実施し、地域医療構想実現を—諮問会議で安倍首相



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 1人当たり医療費の高い地域では、1人当たり介護費も高くなる傾向がある。医療・介護を一体的に改革していく必要がある―。

 12日に開かれた経済財政諮問会議で、民間議員からこのような指摘がありました。これを受け、塩崎恭久厚生労働大臣は「データの活用やインセンティブ改革を通じて、保険者機能や都道府県のガバナンスを抜本的に強化する」考えを示しています。

 また安倍晋三内閣総理大臣は、地域医療構想の実現に向けて▼最大限にデータを活用する▼中長期的に持続可能かつ効率的なものとする▼アジア諸国の模範となるようにする—との視点に立つ必要があると指摘するとともに、塩崎厚労相らに▼自治体の先進事例の横展開▼病床のスムーズな転換方策―などを、スピード感を持って検討・実施するよう指示しています。

1人当たりの医療費と介護費は相関、両者一体の改革を

 12日の経済財政諮問会議で民間議員は、高齢者1人当たりの「入院医療費」と「介護費」が地域的に相関していることを指摘。例えば、1人当たり医療費の高い▼高知県▼福岡県▼鹿児島県—などでは、介護費も高い状況が分かります。このため民間議員は「医療と介護の一体的改革が不可欠である」と強調。

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 そのうえで解決、つまり医療・介護費の効率化の方向として、次のような考え方を提示しています。

(1)各種計画等の推進・実行と医療・介護の連携強化

▼都道府県のガバナンス強化:医療・介護提供体制、医療費・介護費および健康・予防に係るガバナンスを、制度・財政・データなどを利活用し、強化する

▼医療・介護提供体制の一体的運用:地域医療構想における30万人の在宅医療などの受け皿整備について、国が今夏までに推計方法などの指針を示し、都道府県・市町村は本年度末までに医療計画・介護保険事業(支援)計画を整合的に策定する

▼専門職の業務範囲拡大による幅広いサービスへの対応:在宅医療などに係る業務の一部を看護師・介護人材等にシフトしていく

(2)保険者などのガバナンス強化

▼インセンティブ改革:後期高齢者支援金の加減算率を現在の0.23%から、法定上限の10%まで引き上げ、取組状況や効果を見える化する。介護保険における保険者への財政インセンティブを早期に具体化する(大分・和光方式の横展開)。要介護度の改善などに応じて加算する介護報酬の仕組みを導入する

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▼1人当たり医療・介護費の地域差縮減に向けた取組の明確化:外来医療費の適正化に向けた追加の取組の早期具体化などを図る。診療行為の地域差を本年度中に見える化し、各都道府県において、自治体・保険者・医療関係者などの協議の場で「住民の受療行動や医療機関の診療行為の変化を促す体制」を構築する。国は、医療サービスの標準化と報酬体系の見直しを段階的に進める

(3)生涯現役社会の構築と健康増進・予防の推進

▼高齢者の働き方改革などを通じて、年齢に関わりなく、健康で、働くことを選べる生涯現役社会を構築する

▼次世代型保健医療システムの構築を通じ、マイナンバーで過去の受診・検査・服薬情報を一元的に知ることができるようにする

▼人生の最終段階のQOL充実に向け、在宅医療の見える化や本人の意向確認、参考事例の横展開を、日本医師会と協力し、関係府省が連携して推進する

▼コンパクト・プラス・ネットワークと地域包括ケアの連携強化に向け、医療介護総合確保基金を重点配分する

 

 これら提言項目の中には、診療報酬・介護報酬に言及するものもあり、また、ある民間議員からは、2018年度の診療報酬・介護報酬改定に向けて、「これまで残念ながら適正価格になっていない。適切な対応が必要」との見解が、菅義偉内閣官房長官からは「薬価や医療費を決める委員会を強くするために、第三者の目を入れていくことが大切」との見解が示されています。何をもって「適正価格」とするのか、また「第三者の目」とは何を意味するのかは明らかにされていませんが、改定率や改定内容に、経済財政諮問会議がこれまで以上に干渉する可能性は否定できません。

 安倍首相も塩崎厚労相に対して、「民間議員の意見も踏まえ、自治体の先進事例の横展開や、病床のスムーズな転換方策などを、スピード感を持って検討・実施する」よう指示しており、今後、これまでにないスピードで改革論議が進められそうです。

  

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