小児医療や回復期の課題をデータ分析、GHCが国内の学術研究活動を強化



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 グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は、国内の学術研究活動を強化します。これまで、がんや自治体病院、看護必要度などをテーマに活動してきましたが、さらに2016年末に小児医療、17年6月には回復期医療にテーマを拡大。医療ビッグデータ分析を通じて、さらなる医療と病院経営の質向上を目指しています。

当日の会の様子
当日の会の様子

55回の勉強会のデータ分析を支援

 GHCはこれまでにも、メイヨークリニックやスタンフォード大学など海外の医療機関との共同研究を軸に学術研究活動を行ってきました。2007年から日本国内の学術研究活動を本格展開。参加病院間でデータを実名公開して議論するスタイルを基本として、国内では計55回の勉強会の開催をデータ分析の側面から支援してきました(CQIの関連記事一覧はこちら、自治体病院勉強会の関連記事一覧はこちら)。

 このほど、テーマを小児医療と回復期にも拡大。医療政策は高齢者対策に寄りがちであるため、小児分野の有志によりさらなる研究活動が必要なことに加えて、今後の地域医療構想実現に向けた動きの中で回復期病床が急激に増加し、回復期領域におけるデータ分析も欠かせないためです。以下では、12月13日に開催された「こども病院の将来と経営を考える勉強会」の内容についてご紹介します。

データで経営改善、千葉県こども病院

 こども病院の将来と経営を考える勉強会は、日本小児総合医療施設協議会(JACHRI)の独立病院型(1型)施設を対象としたもの(ホームページはこちら)。参加施設のDPCデータを分析することで、医療と経営の改善点を探ることが目的です。勉強会の開催は「地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター」の提案によるもので、GHCがデータ分析と事務局業務を担当。15病院あるJACHRI 1型施設のうち10病院が参加しました。

千葉県こども病院の星岡明病院長
千葉県こども病院の星岡明病院長

 勉強会ではまず、「千葉県こども病院」の星岡明病院長が「こども病院における経営課題」と題して講演。2011年にDPC対象病院になってからの状況について説明しました。DPC導入後、入院と外来の項目を分けて病棟や診療科ごとにデータをモニタリングするなど、経営の見える化を推進。算定すべき加算項目をしっかりと算定するなどして、経営改善につなげていきました。同院経営戦略部の鈴木佐紀子氏からは「自院の取り組み状況について」として、小児科療養指導料などの具体的な加算項目の算定数向上方法が解説されました。

救急医療係数対策で情報共有、施設間の「バラつき」も確認

GHCの塚越篤子
GHCの塚越篤子

 GHCからは機能評価係数II・クリニカルパス・指導料や加算の3つのテーマについて講演。機能評価係数IIの分析については、マネジャーの塚越篤子が発表しました。特に参加者の興味を惹き付けたのは院内出生児の救急医療入院の評価。通常、院内出生児の入院経路を示すペイロード項目の値は「8」の「院内で出生」となり、様式1における「予定・救急医療入院」の入力対象外であるため、未記入での提出が認められています。

 そのため、院内出生からすぐにNICUに入るような新生児で、ECMOや肺サーファクタントを使用するような場合であっても、救急医療係数の評価対象外となります。「ある参加病院」は、救急医療係数向上に貢献できる確証はないものの厚生労働省に小児病院の現状把握を促すことも期待して、NICU即入症例に対してはDPC調査事務局に確認のうえ、「3$$」で入力していたことが判明。参加メンバーからは、現状の問題点として数々のコメント等が寄せられました。

宮崎県立日南病院の小児科医である三浦拓氏
宮崎県立日南病院の小児科医である三浦拓氏

 GHCの外部研究協力者で宮崎県立日南病院の小児科医である三浦拓氏は、鼠径ヘルニアと肺炎のクリティカルパス分析をテーマに講演。鼠径ヘルニアでは、施設別の手術データをベンチマークすると、全症例を開腹手術する施設がある一方で、全症例を腹腔鏡下手術する施設があるなど術式にバラつきがあったり、在院日数についても術前と術後の入院をするか否かで、施設間の考え方が異なったりすることが分かりました。

 加算分析については、GHCコンサルタントの坪田悠真が解説。薬剤管理指導料の算定率についてベンチマーク分析したところ、参加施設間で算定率が約7割から2%に満たないなど大きなバラつきがあることが明らかになりました。

 係数対策のノウハウ共有や、施設ごとに提供する医療や加算算定率のバラつきを確認できたことで、さらなる経営と医療の質向上に貢献しうる会となり、参加者間での議論も活発に行われました。

回復期勉強会、6/24(土)開催へ

 回復期勉強会は今年6月24日(土)に開催されます(詳細はこちら)。回復期リハビリテーション病棟入院料1届出(2病棟以上)医療機関の経営層および管理職スタッフが参加対象となりますので、ご興味のある方は是非、ご確認ください。

回復期の医療と経営の質向上を考える会

解説を担当したコンサルタント 坪田 悠真(つぼた・ゆうま)

morimoto 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。薬剤師。
富山大学大学院 医学薬学教育部 消化管生理学 修士課程修了。調剤薬局、急性期病院勤務を経て、GHCに入社。DPC分析、薬剤分析を得意とする。
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