2015年度介護報酬改定の影響、17年度には定期巡回・随時対応型の状況などを調査―介護給付費分科会・研究委員会(3)



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 2015年度の前回介護報酬改定の影響・効果を把握するため、2017年度には「定期巡回・随時対応サービス」や「訪問看護」の状況などを詳しく調査する―。

 13日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会の「介護報酬改定検証・研究委員会」では、このような方針が固められました。31日開催予定の社会保障審議会・介護給付費分科会の議論を待ち、調査項目などが決定されます。

3月13日に開催された、「第13回 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会」
3月13日に開催された、「第13回 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会」

提起巡回・随時対応、どのタイミングで受給開始し、どのタイミングで切り替えるのか

 介護報酬においても、診療報酬と同様に「前回改定の効果・影響調査」結果が重要な基礎資料の1つとなります。厚生労働省は2018年度の次期改定に向けて、「効果が出るまでの時間」などを考慮して、2015・16・17年度の3回に分けて「2015改定の効果検証調査」を行うことにしています(16年度調査の関連記事はこちらこちら、15年度調査の関連記事はこちらこちら)。

2018年度介護報酬改定に向けて、2015年度改定の効果・影響を2015年度(7項目)・16年度(7項目)・17年度(5項目)に分けて調査する
2018年度介護報酬改定に向けて、2015年度改定の効果・影響を2015年度(7項目)・16年度(7項目)・17年度(5項目)に分けて調査する

 13日の研究委員会では、2017年度に次の5項目の調査を行う方針を固めました。

(1)定期巡回・随時対応サービスを含む訪問サービスの提供状況

(2)医療提供を目的とした介護保険施設などの役割を踏まえた利用者などへのサービスの在り方

(3)認知症対応型グループホームにおける医療提供など

(4)介護保険制度におけるサービスの質の評価

(5)訪問看護のサービス提供の在り方

 このうち(1)の定期巡回・随時対応に関しては、2015年度改定を踏まえ、また2018年度改定を見据え「オペレーターの効率的・効果的配置に向けた、時間帯ごとの随時コール内容や、オペレーターの対応状況」(タイムスタディを実施)のほか、「集合住宅におけるサービス提供」などを詳しく調べます。

 堀田聰子委員(国際医療福祉大学大学院教授)らは「どのタイミングで定期巡回・随時対応を利用し、どのタイミングで訪問看護に切り替えるのか、などサービス利用過程を明らかにする」ことを、藤井賢一郎委員(上智大学准教授)は「定期巡回・随時対応型は、他の介護サービスと併設されるケースが多い。そこで、併設サービスの種類と、定期巡回・随時対応型のサービス内容の関係などを把握する」ことなどを求めました。

 

 (2)は、同時改定を意識した「介護保険施設入所者の医療ニーズや、医療提供」について施設横断的な調査です。この点について藤井委員は、「老健施設で在宅復帰が進められているが、在宅復帰率を高めるために『利用者にとって不本意な在宅復帰』が生じている可能性もある。その点を調べるべき」旨を指摘。関連して松田晋也委員長(産業医科大学教授)は「本人の自宅への在宅復帰なのか、サービス付高齢者向け住宅への在宅復帰なのか、そのあたりも分かるような調査とすべき」と提案しています。

 

 (4)は、以前から行われている「介護サービスの質を評価する指標」の開発に向けた調査です。2017年度には、数多あるアセスメント指標と評価結果を分析し、「どのような項目に問題があった利用者には、どういったサービス提供が適切か」といった点にまで反映させられるような、また「適切なアセスメントを行っているか否かを報酬に結び付けられる」ような研究が行われる見込みです。

 

 さらに(5)の訪問看護については、2016年度調査に引き続き「訪問看護ステーションからの訪問看護」と「病院・診療所からの訪問看護」との特性の違いや、利用者の状態像によるサービス内容が調査されます。2018年度は診療報酬・介護報酬の同時改定となり、医療保険と介護保険の双方にまたがる訪問看護について、重要な見直しが行われることでしょう。

 この点について川越雅弘委員(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長)や松田委員長は、「患者の自宅を中心に訪問診療を積極的に行っている地域では、訪問看護や訪問薬剤指導なども整備されている。一方、サ高住を中心に訪問診療を行っている地域では、訪問看護などはそれほど整備されておらず、老健施設やショートステイの需要が高いようだ。そういった地域性を考慮した調査を行う必要がある」と提案。

 なお藤井委員からは、「訪問看護の看護師と病棟の看護師では、働き方や意識がかなり異なると聞いている。病棟では医師主導の下、『チーム』の一員として看護業務を行うが、訪問看護では相当の『自立性』が求められる。両者は相互に『あちらで働いてみたい』などとは思っていない可能性もある。その点についても分かるようになるとよい」と指摘しました。この点、別の審議会では日本看護協会の齋藤訓子常任理事から「病棟看護師を比較的長期間、訪問看護ステーションに出向させることで大きな成果が上がっている」との報告もあります。訪問看護と病棟をどうつなぐのか(あるいはつながりを強化するのか)、今般の調査には期待が寄せられます。

 

 ところで、2018年度介護報酬改定の議論に間に合わせるためには、これらの調査結果の速報値が遅くとも今秋(2017年秋)には介護給付費分科会に示されている必要があります。このため厚労省は、「調査票の詳細は研究委員会・介護給付費分科会で審議せず、大きな方向のみを高め、詳細は調査委員長に一任する」方針を表明しました。上記の研究委員会意見、および31日開催予定の介護給付費分科会の意見を踏まえて6月に調査票を決定、7-8月に調査を実施し、9-10月に研究委員会と介護給付費分科会に速報値が報告される見込みです。

 

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