2018年度の同時改定でリハビリ革命を、急性期早期リハは報酬を2倍に引き上げよ―日慢協・武久会長



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 2018年度は診療報酬と介護報酬の同時改定が行われるが、リハビリテーションの革命を行うべきである。例えば、急性期のリハビリを充実することで寝たきり防止が期待できる。このために急性期病棟における発症から2週間以内のリハビリでは診療報酬を2倍にし、高度急性期病院でリハビリスタッフを雇用できるようにすべきである―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は9日の定例記者会見において、このような7つの提言が日慢協の拡大理事会で承認されたことを発表しました。今後、詳細を練って厚生労働省や中央社会保険医療協議会に要望していく考えです。

3月9日に、定例記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長
3月9日に、定例記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長

リハビリ革命に向けて7つの提言

 日慢協による7つの提言は次のとおりです。リハビリは、医療と介護の双方に関係する重要な医療行為で、同時改定となる2018年度に向けて「革命を行う時期に来ている」と武久会長は強調します。

(1)急性期リハビリの充実

(2)がんリハビリの充実

(3)出来高から完全包括制へ

(4)実施単位数表評価からアウトカム評価へ

(5)知的リハビリの重視

(6)嚥下・排泄リハビリの優先

(7)高齢者リハビリの構築

 

 まず(1)の「急性期リハの充実」は、かねてより武久会長が提言している項目です(関連記事はこちらこちら)。武久会長は、「入院してから急性期病棟で過ごす2週間、1か月はリハビリにとって非常に重要な時期だが、急性期病院はリハビリにそれほど熱心ではないようだ。この期間に集中的なリハビリを提供できれば、患者の人生は全く違うものになるのではないか。手術日が決まったら、術前からリハビリ専門職が関与し、術直後、術後に至るまでリハビリを適切に行えば大きな効果が得られる。肺炎や心筋梗塞、脳梗塞であっても、入院直後からリハビリ専門職が関与する必要がある。回復期や慢性期に来てからリハビリを開始したのでは、筆舌に尽くしがたい苦労がある」と指摘。さらに「急性期病棟における発症や入院から2週間程度の早期リハビリについては、診療報酬を2倍に引き上げるべき」とも提案。これにより高度急性期病院でのリハビリ専門職確保(雇用)が期待できると見通しています。

 (2)については、医療の高度化でがん患者の生存期間が10年以上に伸びる一方で、「体系的ながんリハビリが整備されていない」と指摘しています。例えば、▼告知段階での臨床心理士を含めたリハビリチームによるサポート▼乳がん患者に対するリンパ浮腫対策―など、どの患者にどの時点で、どういったリハビリを提供すればよいかという「標準的な体系」を構築していくことが求められそうです。

 (3)も武久会長が以前から提案している内容です。日慢協の調査では、リハビリ点数が包括評価されている地域包括ケア病棟でも、平均3.5単位程度のリハビリが提供されている点を紹介した上で、武久会長は「我々も驚いたが、リハビリを十分に提供することでアウトカムが向上し、それが評判を呼んで患者が増えるという構図があるようだ」と指摘。「医療の質」による競争を進めていくべきと訴えています。関連して(4)のアウトカム評価について、▼入院時▼1か月経過後▼2か月経過後―の様子を「動画」撮影して、これを評価指標にすることを提案しています(関連記事はこちらこちら)。

 (5)の知的リハビリについては、「会社員であれば、元の仕事に復帰できて初めて『リハビリが成功した』と言えるのではないか」と指摘しました。

 その一方、(6)の嚥下・排泄は「人間として基本的な機能である。特に高齢者では『歩行』訓練よりも、自分で食べられ、自分で排泄できることを目指すべき」と訴えます。また(7)の高齢者リハビリについて武久会長は、「後期高齢者の4.2%が入院医療を受けているとのデータがある。現在は70万人程度だが、すぐに100万人を超え、急性期病棟でも『全入院患者が後期高齢者』というところが出るだろう。しかし、同じ脳梗塞患者でも、40歳の患者に行うべきリハビリと、85歳の患者に行うべきリハビリは全く異なる。また『高齢者だからこのくらいにしておこう』と加減すれば、寝たきり患者を増加させることになる。せめて車いす自立し、自分で食事・排泄できるようにすべきである」と訴えました(関連記事はこちら)。

 今後、詳細を詰め、6月頃に具体的な診療報酬・介護報酬改定への要望の中に盛り込む見通しです。

 

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