医療法等改正案を10日に国会上程、医療法人以外の医療機関への監督規定など整備―厚労省・医政局



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 お伝えしているように、厚生労働省医政局は9日に、2016年度の「全国医政関係主管課長会議」を開催し、2017年度の重点事項について詳説しています(関連記事はこちら)。

 厚労省医政局総務課からは、10日に国会上程予定の医療法等改正案などの概要が説明されました。

医療法人以外の医療機関への監督規定を整備、段階的・柔軟な対応が可能に

 総務課の中村博治課長からは、社会保障審議会医療部会の議論などを踏まえ、(i)検体検査の精度の確保(ii)特定機能病院におけるガバナンス体制の強化(iii)医療に関する広告規制の見直し(iv)持分なし医療法人への移行計画認定制度の延長(v)医療法人以外の医療機関への立入検査権限の創設―などを柱とする医療法等の改正について説明がなされました。施行について、(iv)などは本年(2017年)10月が予定されていますが(現在の規定が9月末で切れてしまうため)、ほかは、準備期間を考慮し「公布から1年以内」((i)は検討期間も踏まえて「公布から1年半以内」)となる見込みです(関連記事はこちら)。

厚生労働省医政局総務課の中村博治課長(医政局医療経理室長併任)
厚生労働省医政局総務課の中村博治課長(医政局医療経理室長併任)
医療法改正案(その4)、持分なし医療法人への移行を促進するために、認定医療法人の要件を事実上緩和し、期限を延長する
医療法改正案(その4)、持分なし医療法人への移行を促進するために、認定医療法人の要件を事実上緩和し、期限を延長する
医療法改正案(その5)、不適切な医療機関のウェブサイト(虚偽表示や誇大表示など)について罰則を科すことを可能とする
医療法改正案(その5)、不適切な医療機関のウェブサイト(虚偽表示や誇大表示など)について罰則を科すことを可能とする
 

 現在、医療法人に対しては、▼医療機関本体への立入検査▼開設者への立入検査▼不適切な運営があった場合の改善命令▼改善命令に従わない場合の業務停止命令▼開設許可取消・閉鎖命令―という具合に、場面に応じた柔軟な対処規定が医療法に整備されています。しかし、医療法人以外の医療機関に対しては、本体への立入検査・開設許可取消という規定こそあるものの、その他の規定が十分に整備されていません。したがって、医療法人以外の医療機関が不適切運営を行っている場合、「開設許可取消」とするか否かという択一的な措置しかとれず、柔軟な対応(改善命令など)が困難な状況です。そこで、中村総務課長は「医療法人と同様の監督規定を整備し、段階的かつ柔軟な対応を可能にする」ことを目指すと(v)の改正内容を説明しています。

医療法改正案(その1)、医療法人以外の医療機関に関する監督規定を整備する
医療法改正案(その1)、医療法人以外の医療機関に関する監督規定を整備する

 

 また(i)の検体検査については、法律上の規定が明確でない「医療機関が自院内で検査を実施する」ケースについて、「品質・精度管理の基準」を定めるための根拠規定を設けるものです。

 この点について社保審・医療部会では「厳しい基準を設ければ、円滑・迅速な検体検査が阻害される可能性がある」との指摘が相次いだため、中村総務課長は▼具体的な基準案を厚生労働科学研究の研究班で検討する(本年度(2016年度)内に取りまとめ予定)▼研究班の基準案をベースに、改正法成立後に、別途検討会「医療機関の現状を踏まえた基準」となっているか議論する―ことを明確にしています。

医療法改正案(その2)、検体検査に関する規定を整備する
医療法改正案(その2)、検体検査に関する規定を整備する

特定機能病院、17年4月から一部を除き、医療安全管理の要件遵守が必要

 また総務課の佐藤伸樹医療政策企画官は(ii)の「特定機能病院におけるガバナンス体制の強化」について説明。東京女子医科大学病院と群馬大学附属病院という2つの特定機能病院で重大な医療事故が発生し、その背景には「病院のガバナンスに問題点がある」ことが明らかになりました。これを受け厚労省は、▼特定機能病院では、より一層高度な医療安全管理体制の確保が必要であることを法的に位置付ける▼特定機能病院の管理者(院長など)に、合議体の決議に基づき管理運営業務を遂行すること義務付ける▼特定機能病院の開設者(学長など)に、管理者権限の明確化・管理者選任方法の透明化・監査委員会の設置などを義務付ける―という見直しを行うことを決定しました(関連記事はこちら)。

 このうち管理者、つまり院長の選任方法については、▽各病院で、管理者に求められる「医療安全確保のための能力」「管理運営上必要な能力」に関する基準を公表する▽広く候補者を募り、基準に照らして適任か否かを、外部有識者を含めた「選考委員会」などで審査する(選考委員や選定理由を公表)▽審査結果を踏まえ、任命権者が自らの責任で先行し、その結果・選定理由などを遅滞なく公表する―といったプロセスを経る必要がある旨が、改正法成立後に関係省令などで規定されます。

医療法改正案(その3)、特定機能病院におけるガバナンス改革を行う
医療法改正案(その3)、特定機能病院におけるガバナンス改革を行う

 

 なお特定機能病院については、医療安全管理体制の充実・強化を目的に昨年(2016年)6月、「医療安全管理責任者」の配置や、過半数を外部委員とする「監査委員会」の設置などを求める承認要件の見直しが行われました。このうち▼医療安全に専従の医師・薬剤師・看護師の配置▼管理者の医療安全管理業務経験▼管理者などの研修の受講―を除いては、この4月(2017年4月)時点で要件を満たしておく必要がある点に留意してほしいと佐藤企画官は強調しています(関連記事はこちらこちら)。

「介護医療院」、医療提供施設として医療法にも位置付ける

 ところで、既に国会に上程されている介護保険法等改正案(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)には、介護療養病床からの新たな転換先となる「介護医療院」の創設が盛り込まれています。

介護医療院は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設に次ぐ、第3の介護保険施設ですが、医療提供の場でもある(医療・介護・住まいの3機能を持つ)ことから、医療法の改正も行われます(介護保険法等改正案の一環として)。その具体的な内容について、佐藤企画官は次のように説明しました。

▼介護医療院が、医療提供施設であることを位置付ける(介護医療院に医療提供の理念・患者への情報提供の規定が適用される)

▼介護医療院を「医療法人の業務範囲」に追加する

▼医師の宿直規定について、「併設病院の医師が、介護医療院の入所者に対し夜間・祝日などに対応できる」よう見直す

▼医療機関から介護医療院に転換する場合、「介護医療院」を併せて名乗ることを条件に、「病院」「診療所」などと名乗れるよう経過措置を設ける

▼病院などから転換した介護医療院については、第7次医療計画の期間(2018-23年度)は、既存病床数に算定する(病床過剰地域では、転換分について増床や新設を認めない)

 

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