在宅医療などの必要量、一般病床における資源投入量の少ない患者をどう考えるか―医療計画見直し検討会(2)



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 地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療などで対応する」こととしていますが、このうち「一般病床のC3未満の患者」はすべて外来で対応すると考えてはどうか—。

 厚生労働省は8日の「医療計画の見直し等に関する検討会」に改めてこのような考え方を示しましたが、構成員からは異論が出ています。

3月8日に開催された、「第10回 医療計画の見直し等に関する検討会」
3月8日に開催された、「第10回 医療計画の見直し等に関する検討会」

転院・死亡退院患者を除けば、一般病床患者の9割は「通院」対応となる

 地域医療構想には、2025年時点における地域(構想区域)の医療需要をもとに高度急性期・急性期・回復期・慢性期―の必要病床数(病床の必要量)を記載します。その際、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―については、入院医療の必要性が低いため「在宅医療などで対応する」こととなっています(地域医療構想策定ガイドラインはこちら)。

地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療などで対応する」こととなっている
地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療などで対応する」こととなっている

 厚労省は、2018年度における医療計画・介護保険事業(支援計画)の策定、2020年度における医療計画の中間見直し・介護保険事業(支援)計画の策定に向けて、こうした「在宅医療などで対応する」患者を外来医療・在宅医療・介護サービスのいずれで対応すべきかを明らかにすべく、2月17日の前回会合で次のような考え方を示しました。

(1)一般病床のC3未満の患者(2025年時点で10万人程度と推計):一般病床入院患者の8割は「自宅退院」となっており、介護施設への入所や在宅医療受給は少ない。また、一般病床の平均在院日数は短縮傾向にあり、入院患者数そのものも減少している。こうした点に鑑みて「外来医療で対応」するものと見込む

(2)医療療養病床における医療区分1の70%と地域差解消分(同20万人):医療療養病床では平均在院日数が長く、退院先もさまざまで、患者の状態(医療の必要性や要介護度)も多様である。これらの患者は、専ら▼在宅医療▼介護施設▼新介護保険施設(介護医療院・仮称)―で受け入れる(按分方法は今後検討)

(3)市町村における「医療療養病床の地域差解消」分がどの程度となるのか、データが存在しないため、2020年度の医療企画の中間見直し・第8期介護保険事業(支援)計画に向けて精緻に新たな整備量の検討を行う。大きくは、▼構想区域単位で在宅医療などの新たな整備量を推計する→▼構想区域内の各市町村単位で在宅医療などの新たな整備量を推計する

 

 しかし(1)について構成員からは、「一般病床から退院し、当初は通院(外来)となるが、後に在宅医療を受ける人もいるのではないか」「高齢者では在宅医療の割合が多いのではないか」などの指摘がありました。そこで厚労省は8日の検討会に、「一般病床から転院する患者、死亡退院する患者を除外して『一般病床からの退院後の行先』を見ると、どの年齢階級でも9割以上は『通院』となっている」との新たなデータを提示。その上で、改めて(1)のとおり「一般病床のC3未満の患者は外来で対応する」こととしてはどうかと提案しました。地域医療構想において、転院患者は「入院需要」としてカウントされており、死亡退院患者はそもそも「医療需要」としてカウントされないためです。

一般病床の入院患者の退院後の行先について、転院・死亡退院を除くと、どの年齢階級でも9割は「通院」となっている
一般病床の入院患者の退院後の行先について、転院・死亡退院を除くと、どの年齢階級でも9割は「通院」となっている

 この提案に対し、構成員からは「退院時には通院対応であっても、後に在宅医療を受ける患者もいるはずである」(西澤寛俊構成員:全日本病院協会会長、加納繁照構成員:日本医療法人協会会長、市川朝洋構成員:日本医師会常任理事)、「高齢の入院患者も含めて、一般病床のC3未満患者を一律に『外来対応』とくくるのは臨床現場の感覚とかけ離れている」(相澤孝夫構成員:日本病院会副会長)といった指摘が改めてなされました。

 こうした指摘に対して、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長らは、「今般の提案は、在宅医療の追加整備をどの程度行うべきかを勘案するための基準に関するものである。退院後に入院や在宅医療が必要な患者は、地域医療構想の中で別途考慮している」と説明し、理解を求めました。しかし、厚労省サイドの「サービスの整備量をどう考えるか」という議論を求めているのに対し、構成員サイドは「個別患者の行き先をどう考えるか」との立場で反論しており、かみ合わない議論となっています。厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「改めて丁寧な説明を行い、理解を求めたい」と考えています。

 なお、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)からは「退院後の状況は、短期入院後に退院する患者では通院が多くなるだろうが、長期入院後に退院する患者では異なるのではないか」と指摘しています。厚労省の担当者は、この指摘を踏まえた分析も試みる考えを示しています。仮に、今村構成員の指摘どおり「長期入院患者では退院後に在宅医療を受ける割合が著しく高い」などといったエビデンスが見つかった場合には、「一般病床のC3未満患者はすべて外来で対応する」との方向から、「大部分は外来で対応するが、一部は在宅医療で対応する」という形に若干の修正を行うる可能性があるかもしれません。

 

 なお、いずれにしても、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―については、『外来』『在宅医療』『介護サービス』で対応することとなり、その按分方法(在宅医療と介護サービスの比率)や市町村別の整備量勘案方法などは今後検討されます。

地域医療構想では、▼一般病床のC3未満の患者▼医療療養病床の医療区分1患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―は、外来・在宅医療・介護サービスのいずれかで対応することとなり、その整備量をどう見込むかが当面の重要課題の1つである
地域医療構想では、▼一般病床のC3未満の患者▼医療療養病床の医療区分1患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―は、外来・在宅医療・介護サービスのいずれかで対応することとなり、その整備量をどう見込むかが当面の重要課題の1つである

 また、市町村別の整備量について厚労省は、「地域医療構想区域(主に2次医療圏と整合)全体のサービス量と整合的であることを原則に、市町村間で増減して調整することを認める」考えです。

   

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