一般病床、平均在院日数短縮の中で「空床対策」の効果は現れたか―病院報告、16年11月分



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 ここ数年における11月分の平均在院日数・病床利用率を比較すると、「平均在院日数」は緩やかな減少を続ける中で、「病床利用率」は減少傾向に歯止めがかかり、増加に転じていることから、「病院の空床対策が成果を上げ始めている」のではないか―。

 このような状況が、厚生労働省が7日に発表した2016年11月分の病院報告から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

前月に比べて一般病床の平均在院日数は減少し、病床利用率は上昇

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―について集計し、「病院報告」として公表しています(年間版も公表されています)(関連記事はこちらこちらこちら)。

 (1)の1日平均患者数は、2016年11月には病院全体で入院125万2028人(前月比9577人・0.8%増)、外来139万6656人(同5万4921人、4.1%増)で、入院は微増、外来は大幅増となりました。

 病院の一般病床を見てみると、入院患者数は67万5862人で、前月に比べて1万580人・1.6%増加しました。また病院の療養病床では、入院患者数は28万6906人で、前月に比べて453人・0.2%の微増となっています。

2016年11月、前月に比べて病院の患者数は入院は微増、外来は大幅増となった
2016年11月、前月に比べて病院の患者数は入院は微増、外来は大幅増となった
 

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.2日で、前月から0.2日短縮しました。病院の病床種別に見ると、▼一般病床16.2日(前月比増減なし)▼療養病床145.9日(同8.6日短縮)▼介護療養病床302.6日(同14.3日短縮)▼精神病床270.6日(同3.9日短縮)▼結核病床67.8日(同0.2日短縮)―となり、ほとんどの病床種別で平均在院日数が短縮しています。

 前々月(2016年9月)から平均在院日数が延伸していましたが、その動きにストップがかかったのか、今後の動向を見守る必要があります。

2016年11月、一般病床の平均在院日数は前月から横ばいである
2016年11月、一般病床の平均在院日数は前月から横ばいである
 
 

 (3)の月末病床利用率を見ると、病院全体では80.4%で、前月に比べて1.4ポイント上昇(改善)しました。病院の病床種別に見ると、▼一般病床76.4%(前月から2.4ポイント上昇)▼療養病床87.3%(同0.3ポイント上昇)▼介護療養病床90.7%(同0.3ポイント低下)▼精神病床85.5%(同0.2ポイント低下)▼結核病床33.5%(同1.8ポイント低下)―という状況です。

2016年11月、一般病床の病床利用率は前月よりも2.4ポイント上昇した
2016年11月、一般病床の病床利用率は前月よりも2.4ポイント上昇した
 

 なお一般病床の平均在院日数(11月分)を5年前から見てみると、▼2011年:17.6日→(0.6日減)→▼2012年:17.0日→(増減なし)→▼2013年:17.0日→(増減なし)→▼2014年:17.0日→(0.5日減)→▼2015年:16.5日→(0.3日減)→▼2016年:16.2日―となり、徐々に短縮していることが分かります(厚労省のサイトはこちら)。

 また病床利用率は、▼2011年:77.3%→(1.3ポイント減)→▼2012:76.0%→(3.2ポイント減)→▼2013:72.8%→(1.3ポイント減)→▼2014年:71.5%→(3.0ポイント増)→▼2015年:74.5%→(1.9ポイント増)→▼2016年:76.4%―となっており、減少傾向がストップし、増加に転じたように見えます(厚労省のサイトはこちら)。

 メディ・ウォッチで繰り返しお伝えしていますが、病院経営において「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の上昇」を同時に達成することが極めて重要です。平均在院日数の短縮は、例えばDPCII群要件の1つである「診療密度」向上に大きく寄与するほか、感染やADL低下のリスクを低く抑えることができます。この点、10月分の経年比較では短縮傾向にストップがかかったようにも見えましたが、11月分の比較では緩やかな減少が続いていることが分かります。

 一方、在院日数短縮は「空床を生む」原因の1つでもあり、同時に「新規入院患者の獲得」などの対策をとる必要があります。この点、11月分の経年比較からは「2013年までは新患獲得に苦労していたが、2014年以降、病院の取り組みが成果を出し始めた」と見ることもできそうです。もっとも、少子化により地域の患者数が減少モードに入っている中では、近隣の医療機関との連携強化や、救急搬送患者の積極的受入れなどの「空床」(増患)対策には限界もあります。早い段階で「ダウンサイジング」や「近隣病院との再編・統合」といった選択肢も検討するべきでしょう(関連記事はこちら)。

   

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