2018年度からの在宅医療、「療養病床の医療区分1患者」の7割など見込んで整備—医療計画見直し検討会(1)



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 地域医療構想策定ガイドラインで、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―については、「在宅医療などで対応する」こととされている。こうした患者が「行き場のない」状況にならないよう、2018年度以降の医療計画や介護保険事業(支援)計画において必要な「在宅医療の整備」「介護サービスの整備」などを適切に盛り込んでいく—。

 17日に開かれた「医療計画の見直し等に関する検討会」では、こういった点について議論が行われました。

 もっとも、介護保険事業計画を定める各「市町村」において、上記の患者がどれだけ見込まれるかといったデータが現時点で存在しないため、2018年度からの第7次医療計画・第7期介護保険事業(支援)計画では、一定の仮定をおいた集計となり、2020年度に予定される医療計画の中間見直し・第8期介護保険事業(支援)計画に向けて精緻な検討を行うことになります。

2月17日に開催された、「第9回 医療計画の見直し等に関する検討会」
2月17日に開催された、「第9回 医療計画の見直し等に関する検討会」

一般病床の1日175点未満の患者、「在宅医療」で対応するとしてベッドを整備

 地域医療構想は、2025年時点における地域(構想区域)の医療需要をもとに高度急性期・急性期・回復期・慢性期―の必要病床数(病床の必要量)を明らかにします。その際、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―については、入院医療の必要性が低いことから「在宅医療などで対応する」こととされました(関連記事はこちら)(地域医療構想策定ガイドラインはこちら)。

地域医療構想策定GLで、一般病床の資源投入量175点未満の患者などは、2025年に向けて「在宅医療などで対応する」と考える方針が打ち出されている
地域医療構想策定GLで、一般病床の資源投入量175点未満の患者などは、2025年に向けて「在宅医療などで対応する」と考える方針が打ち出されている

 ただし、何らの対策もせずに「入院から在宅に移行」となれば、行き場を失いかねません。そこで、こうした患者に対応するための「在宅医療」「介護サービス」などを、高齢化などに伴う自然増とは別に整備する必要があり、医療計画の中で「在宅医療」の整備量を、介護保険事業(支援)計画の中で「介護サービス」の整備量を見込むことになります(「新たな整備量」と呼ぶことにします)。

 17日の検討会では、新たな整備量をどう見込むかが議題となり、厚労省から次のような考え方が示されました。

(1)一般病床のC3未満の患者(2025年時点で10万人程度と推計):一般病床入院患者の8割は「自宅退院」となっており、介護施設への入所や在宅医療受給は少ない。また、一般病床の平均在院日数は短縮傾向にあり、入院患者数そのものも減少している。こうした点に鑑みて「外来医療で対応」するものと見込む

一般病床からの退院患者の8割超は自宅へ退院しており、介護保険施設への入所や在宅医療受給は少ない
一般病床からの退院患者の8割超は自宅へ退院しており、介護保険施設への入所や在宅医療受給は少ない

(2)医療療養病床における医療区分1の70%と地域差解消分(同20万人:医療療養病床では平均在院日数が長く、退院先もさまざまで、患者の状態(医療の必要性や要介護度)も多様である。これらの患者は、専ら▼在宅医療▼介護施設▼新介護保険施設(介護医療院・仮称)―で受け入れる

医療療養・介護療養ともに自宅への退院割合は一般病床に比べて少なく、死亡退院も少なくない
医療療養・介護療養ともに自宅への退院割合は一般病床に比べて少なく、死亡退院も少なくない

 ここで留意しなければならないのは、あくまで「病床や在宅医療などの整備量を見込むにあたって(1)(2)の考え方をとる」という点です。「実際に病院に入院している患者について、1日当たりの資源投入量が175点を切ったので退院させ、外来対応しなければならない」というわけではありません。

 つまり、2018年度からの医療計画において、▼一般病床・療養病床の基準病床数を見込むにあたり(1)(2)分は減じる(入院需要として見込まない)▼在宅医療の新たな整備量として(2)を考慮する(新需要として見込む)、2018年度からの介護保険事業(支援)計画において、▼介護サービス(施設、居宅ともに)の新たな整備量として(2)を考慮する(新需要として見込む)―というイメージです。

一般病床の175点(C3)未満患者は外来で(図の薄黄色部分)対応し、医療療養における医療区分1の患者の7割などは▼在宅医療(薄紫色部分)▼介護施設(薄緑色部分)▼新介護保険施設(薄緑で斜線の入っている部分)—で按分して対応する(受け入れる)、との考えをもって医療計画や介護保険事業(支援)計画を策定する
一般病床の175点(C3)未満患者は外来で(図の薄黄色部分)対応し、医療療養における医療区分1の患者の7割などは▼在宅医療(薄紫色部分)▼介護施設(薄緑色部分)▼新介護保険施設(薄緑で斜線の入っている部分)—で按分して対応する(受け入れる)、との考えをもって医療計画や介護保険事業(支援)計画を策定する

 

2018年度からの計画では「一定の仮定」を置き、20年度からの計画に向け精緻に検討

 ところで介護保険事業計画は市町村が策定しますが、「医療療養病床の地域差解消」分が各市町村でどの程度と見込まれるのか、といったデータはありません。また(1)の外来で対応する患者の詳細な状態像(一般病床から自宅に退院するが、その後、介護保険施設に入所するケースなどもある)についても明らかになっていません。このため、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「2018年度の第7次医療計画・第7期介護保険事業(支援)計画策定に向けては『一定の仮定』を置いて在宅医療などの新たな整備量を見込み((2)について在宅医療・介護施設・新介護保険施設への按分など)、2020年度の医療企画の中間見直し・第8期介護保険事業(支援)計画に向けて精緻に新たな整備量の検討を行う」考えを明らかにしています。

 今後は、(1)(2)の考えに基づいて、▼構想区域単位で在宅医療などの新たな整備量を推計する→▼構想区域内の各市町村単位で在宅医療などの新たな整備量を推計する―ことになります。

スライド5

 もちろん、医療計画や介護保険事業(支援)計画では、こうした「新たな整備量」だけでなく、高齢化などに対応するための自然増分(在宅医療・介護サービス)も見込んだ整備計画を立てることになります。

   

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