毎年の薬価改定で医療現場は大混乱、毎年改定にあくまで反対―全自病・邉見会長



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 メラノーマ、非小細胞肺がん治療に対する画期的な抗がん剤「オプジーボ」の薬価が2月1日から50%引き下げられ、現場は混乱している。これが全品目、毎年改定となれば現場の混乱は計り知れない―。

 全国自治体病院団体協議会の邉見公雄会長は、9日の定例記者会見でこのような状況を説明したうえで、「毎年の薬価改定に反対である」との意見・要望を中央社会保険医療協議会などに伝えていく考えを強調しました。

2月9日の定例記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長
2月9日の定例記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長

院内の薬剤師業務を報酬上評価すべきとの声も

 オプジーボについては、患者数が少ない悪性黒色腫(メラノーマ)を適応として薬事承認がなされ高額な薬価が設定されました。その後、患者数の比較的多い非小細胞肺がんに適応が拡大されましたが、高額な薬価が維持されたため、異例の「特例的薬価引き下げ」が行われました(2月1日から50%引き下げ)。

 この点、医療機関や卸の在庫に配慮した経過期間も置かれたため、病院の経営に対して直接、大きな影響はなさそうにも思えます。しかし、全自病が約30の会員病院(常務理事会病院および薬剤部長会役員病院)に対するアンケート結果を見ると、例えば「1月31日に投与予定の患者が、熱発などで同日に投与できなくなり、2月1日以降の投与となると保険償還額が50%になってしまい、大きな損害が生じた」という事例も生じているといい、また、こうした事態を避けるために「買い置きはせず、使用の都度に購入する」という病院もあるようです。

 また「通常の薬価改定のタイミングと違い、期中での薬価見直しにあたり随意契約しなければならず、随意契約が原則不可能な公立病院では、対応が難しかった」との悲鳴や、「他の医薬品も毎年改定になれば薬剤部が大混乱となる。強く反対してほしい」との要望があったといいます。

 一方、院内調剤料に対する「病院薬剤師業務は、調剤薬局の薬剤師業務よりもはるかにハードであるのに低い報酬しか設定されておりず、病院薬剤師の確保が難しい」「高額薬剤に限らず、ハイリスク薬の投与に関する技術を報酬上評価してほしい」との強い指摘も出されたといいます。

 邉見会長は、こうした意見を受け「全自病として、薬価制度の抜本改革を議論している中央社会保険医療協議会に伝える」考えを明らかにしました。例えば、日本病院団体協議会を通じて、あるいは厚生労働省幹部を通じて、中医協にこうした要望が伝えられる見込みです。

   

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