2018年度改定に向け入院医療の議論も始まる、機能分化に資する入院医療の評価を検討―中医協総会(1)



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 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、医療介護の支え手が減少する中で「効率性」と「質の高い入院医療」を両立し、地域の医療ニーズや患者の状態に応じた入院医療提供体制の推進に資するような評価の在り方をどう考えるか―。

 25日に開催された中央社会保険医療協議会総会で、厚生労働省はこのような論点を示しました。

1月25日に開催された、「第344回 中央社会保険医療協議会 総会」
1月25日に開催された、「第344回 中央社会保険医療協議会 総会」

地域医療構想の実現に、診療報酬はどう関係していくのか

 2018年度は診療報酬・介護報酬の同時改定が控えているため、中医協では通常よりも前倒しで改定論議を進めることになっています(関連記事はこちらこちら)。1月11日には早くも在宅医療についての検討を始め1月11日には早くも在宅医療についての検討を始め、25日には入院医療について総論的な議論を行いました。

 入院医療に限った話ではありませんが、我が国では高齢化の進展による「医療ニーズの増大」とあわせて、少子化による「支え手となるマンパワー(例えば看護師)の減少」という課題があります。厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、こうした課題に対応するために「限られた医療資源の中で、効率性にも配慮しつつ、より質の高い入院医療を提供でき、かつ医療ニーズの変化にも対応しうるようなサービス提供の在り方」を、診療報酬でどう支えていくのかという論点を提示しました。「効率化」と「質の維持・向上」の2点の両立が次期改定でも最重要テーマになる方向が確認されています。

 また医療・介護ニーズが飛躍的に高まっていく2025年に向けて「病院・病床の機能分化と連携の推進」が重要テーマとなっており、各都道府県で地域医療構想の策定が進められています。地域医療構想では、地域の医療ニーズを詳細に推計した上で、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期―といった機能ごとに2025年における「病床の必要量」(言わばあるべき医療提供体制)を算出。さらに、現在の医療提供体制から2025年のあるべき医療提供体制に向けて、どのように機能分化・連携を進めていくのかの道筋を示します。

 この点「地域医療構想(あるいは各病棟の機能)と診療報酬がどのような関係になるのか」が注目されていますが、迫井医療課長は「地域で求められる医療機能や患者の状態に応じた入院医療の提供体制の推進に資する評価の在り方」をもう一つの論点として示しました。

 この論点に対して、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は「地域医療構想の実現を診療報酬で誘導していく考えなのか」と質問。迫井医療課長は「地域の実情に応じた医療提供体制に向けて、診療報酬がこれにどう寄り添うか、機能分化の推進に診療報酬がどう資するかを議論してほしい。現時点の医療機能とニーズとの間にミスマッチはないのか、効率的な医療提供体制となっているのか、将来を見据えてどう考えていくべきか、などを深掘りしてほしい」との考えを説明し、例えば「高度急性期では●●入院料(◯◯点)、急性期では■■入院料(□□点)」といったイメージを持っているわけではないことを明確にしています。

 また中川委員は、「地域医療構想は、地域における機能のデコボコ(言わば過不足)を直すものではなく、『不足する機能をどう補っていくか』というものであり、全国一律の診療報酬では実現できない。地域医療構想に診療報酬が寄り添うのであれば、『どの機能を選択しても病院経営が成り立つ』ような評価体系・報酬設定としてほしい」と要望しています。

 一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「診療報酬で地域医療構想を引っ張っていけとまでは言わないが、適切な機能に自主的に転換する環境を診療報酬で作っていくことも必要ではないか」との考えを示しています。

2016年度改定後、7対1病床は減少、地域包括ケア病床は増加

 迫井医療課長は、2016年度の前回診療報酬改定後に、7対1や地域包括ケアの届け出病床数が次のように変化していることも明らかにしています。

▼7対1:2015年10月に36万9700床→改定直後の2016年4月に36万6000床(3700床減)→経過措置終了後の2016年10月に36万2000床(4000床減)

7対1病床数(届け出)は、2016年度改定後によって若干減少傾向にある
7対1病床数(届け出)は、2016年度改定後によって若干減少傾向にある

▼地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料:創設後の2014年10月に2万4645床→2015年10月に3万6377床(1万1732床増)→2016年10月に5万2492床(1万6115床増)

地域包括ケア病棟・病床数は、創設から順調に伸びている
地域包括ケア病棟・病床数は、創設から順調に伸びている

 7対1については、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」の内容を見直す(C項目新設など)とともに、施設基準の1つである「重症患者割合」(看護必要度の基準を満たす患者割合)を従前の15%以上から25%以上に引き上げました。この見直しによって7対1病床数が減少傾向にあること、その裏返しとして、7対1からの転換先として期待される地域包括ケア病棟・病床が増加傾向にあることが明確になっています(関連記事はこちらこちらこちら)。

 この点について診療側の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、「地域包括ケア病棟は2016年度改定での見直し(手術・麻酔の包括からの除外)から半年間で急増している。改定で使いやすくなっており、この方向を維持してほしい」と指摘。一方で「病院内で7対1と10対1との混在を一時的に認める『病棟群』は使いにくい。この点を議論することで、急性期・回復期の齟齬も解決していける」と述べ、日本病院団体協議会(日本病院会や全日本病院協会が加盟)が前回改定で要望した「病棟群単位の入院基本料の恒久化」を次期改定でも提唱していくことを示唆しました。

 

 なお迫井課長は、入院医療を考える上での視点の1つとして「公・民の役割分担」を掲げました。新公立病院改革ガイドラインでは「公・民の適切な役割分担の下、地域で必要な医療提供体制を確保する」ことが謳われており、また開設者別に見ると病院経営状況に差異があります(2014年度の医業・介護損益差率は国公立を除く一般病院全体ではマイナス0.3%だが、公立の一般病院ではマイナス11.3%)。こうした点を踏まえ、どのように地域で機能分担していくかが今後の重要な検討テーマになりそうですが、「公立と民間で診療報酬を区分する」といった議論にはならないことを迫井課長は明確にしています。

開設者主体別の病院経営状況の差異(その1)
開設者主体別の病院経営状況の差異(その1)
開設者主体別の病院経営状況の差異(その2)
開設者主体別の病院経営状況の差異(その2)

  

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