2018年度同時改定に向け、中医協と「対等の立場」での意見交換の場を―介護給付費分科会(2)



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 2018年度は介護報酬と診療報酬の同時改定となるため、「医療・介護連携の推進」に関する事項について、社会保障審議会・介護給付費分科会と中央社会保険医療協議会で意見交換を行う場を設ける―。

 28日の介護給付費分科会でも、この点が了承されました。

 厚労省老健局老人保健課の鈴木健彦課長は、「介護報酬改定論議は通常4月頃から本格化する。その前に意見交換を行いたい」との見解を示しています。

12月28日に開催された、「第134回 社会保障審議会 介護給付費分科会」
12月28日に開催された、「第134回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

介護報酬改定論議が本格化(4月頃から)する前に意見交換の場を設定か

 メディ・ウォッチでもお伝えしている通り、2018年度の同時改定は「団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年」に向けて極めて重要な意味を持ちます。医療(とくに慢性期医療)・介護の必要性が飛躍的に高まる後期高齢者の爆発的な増加に向けて、医療・介護提供体制の再構築が必要なためです。

 中医協では21日に、診療報酬を議論する「中医協」と、介護報酬を議論する「介護給付費分科会」との委員による『意見交換の場』が設置する方針を了承しており、28日の介護給付費分科会でも了承されました。

 ただし介護給付費分科会では、「前回の同時改定(2012年度改定)でも中医協と給付費分科会の打ち合わせ会が設置されたが、委員同士の協議ができず失敗に終わった。今回は中医協と給付費分科会が対等の立場で議論し、給付費分科会の存在意義を示す必要がある」(鈴木邦彦委員:日本医師会常任理事、2012年度改定論議では中医協委員として打ち合わせ会に参画)、「単なる意見交換にとどまらず、同時改定における基本的な事項の確認なども行う必要がある」(伊藤彰久委員:日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)との要望が出ています。

 また武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」で結論が出された介護療養病床などからの新たな転換先(新介護保険施設)に触れ、「25対1医療療養の議論は中医協で行うことになっているが、25対1医療療養が新介護保険施設に転換するとなれば、介護給付費分科会での議論も必要となるのではないか」と指摘しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

 鈴木老人保健課長は「議題の設定やスケジュールなどは未定」としながらも、「通常、介護報酬改定の本格的な論議が始まるのは4月頃からとなる。その前に中医協と意見交換をしておく必要があるのではないかと考えている」との見解を明らかにしました。

 議題については、田中滋分科会長(慶應義塾大学名誉教授)や中医協を所管する厚労省保険局医療課とこれから詰めることになります。ただし、例えば「医療・介護連携のあるべき姿」といった極めて大きなテーマを議論することになれば、給付費分科会と中医協の委員全員が参加することにもなりかねず、これでは実質的な意見交換は不可能になります(給付費分科会の委員25名、中医協総会の委員・専門委員30名が一堂に会せば、1人当たり2分発言するだけで2時間が経過してしまう)。このため、ある程度分野を限定したテーマを設定し、これに関係の深い委員(例えば訪問看護であれば日本看護協会常任理事の齋藤訓子委員ら)を選定することになりそうです。

 また厚労省老健局の蒲原基道局長は、「医療・介護連携をさらに進めるためには、オーバーラップする部分について議論し、その上で分担をしていく必要がある。中医協と給付費分科会が対応の立場で議論していただくという基本的スタンスで意見交換の場を設定したい」旨をコメントしています。

2016年度の1年分を対象とした「介護事業経営実態調査」を実施

 28日の給付費分科会では、2017年度の「介護事業経営実態調査」の概要についても議論し、了承されました。

 お伝えしたように、実態調査については「従前の単月調査では季節の影響を受けやすい」などの課題が指摘され、2017年度から▼2016年度の1年間(決算額)を調査対象とする▼長期借入金返済支出を新たに把握し、「手元に残る収益で返済が行えているか」を調べる―といった見直しが行われます(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

 実態調査は、別にお伝えした概況調査に比べて調査客対数が多くなるため「より精緻な分析」が期待できます。例えば、同じサービス類型の施設・事業所について▼規模別▼開設主体別(社会福祉法人か営利法人かなど)法人▼地域区分別―に経営状況に特徴があるのかなどといった点を詳しく見ることも可能になります。

 調査は来年(2017年)5月に実施され、2018年度改定論議が佳境に入る10月頃に給付費分科会に結果が報告される予定です。

 

 なお鈴木委員や、先立って行われた介護事業経営調査委員会の藤井賢一郎委員(上智大学准教授)は、将来的に「実態調査」と「介護事業経営概況調査」の関係を整理する必要があるとも指摘しています。鈴木委員は従前より「定点(同一施設・事業所)で3年分の調査を行うべき」との見解を披露しているほか、「概況調査が、今般の見直しによって診療報酬改定における医療経済実態調査(のうち医療機関等調査)に該当するものとなった。2018年度介護報酬改定では概況調査結果も重視すべき」と述べています。

 この点、鈴木老人保健課長は「仮に概況調査と実態調査を定点で行った場合、新規参入施設・事業所のデータが入手できなくなってしまう。慎重に検討する必要がある」と答弁しています。

 

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