オプジーボ、非扁平上皮がん患者に投与する場合はPD-L1発現率の確認が望ましい―中医協総会(1)



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 画期的な抗がん剤オプジーボ(ニボルマブ製剤)を非小細胞肺がん患者に適正に使用するために、「がん診療連携拠点病院などで副作用へ速やかに対応できる体制が整っている」などの要件を満たした施設で、「本剤の有効性が検証された患者」に投与することが望ましい。また非扁平上皮がん患者においては、PD-L1発現率が1%以上であることを確認した上で、投与可否を判断することが望ましい―。

 14日に開催された中央社会保険医療協議会の総会で、厚生労働省はこういった最適使用推進ガイドライン(案)を報告しました。関係学会とさらなる調整が続けられます。

12月14日に開催された、「第341回 中央社会保険医療協議会 総会」
12月14日に開催された、「第341回 中央社会保険医療協議会 総会」

最適使用推進ガイドライン案、施設基準や患者要件などを詳しく提示

 オプジーボについては、当初は希少がんであるメラノーマを対象として薬事承認され、超高額な薬価が設定されました。その後、適応が非小細胞肺がんにも拡大されたものの、薬価が据え置かれたことが問題視され、来年(2017年)2月から薬価を50%引き下げることが決まりました。

 合わせて中医協では、▼オプジーボとレパーサ(高コレステロール血症治療薬)について最適使用推進ガイドラインを作成し、これをベースに保険診療上の「留意事項通知」を発出する▼薬価制度全般を対象に抜本的な見直しを行う―方針も固めています(関連記事はこちらこちら)。

 14日の中医協総会には、厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課の山田雅信課長からオプジーボを非小細胞肺がん治療に用いる場合の「最低使用推進ガイドライン」案について経過報告が行われました。そこでは、(1)特徴・作用機序(2)臨床成績(3)施設(4)投与対象となる患者(5)留意すべき事項―などが整理されています。

 (3)の施設要件については、次の(a)-(b)をすべて満たすことが求められます。

(a)がん診療連携拠点病院や特定機能病院、都道府県の指定するがん診療連携病院、外来化学療法室を設置し、外来化学療法加算1または2を取得している施設で、「肺癌の化学療法および副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師が、当該診療科の本剤治療の責任者として配置されている

(b)医薬品情報管理の専任者が配置され、製薬企業からの情報窓口、有効性・安全性など薬学的情報の管理および医師などに対する情報提供、有害事象が発生した場合の報告業務などを速やかに行う体制が整っている

(c)副作用に速やかに対応するために、「間質性肺疾患などの重篤な副作用が発生した際に、24時間診療体制の下、入院管理およびCTなど鑑別に必要な検査の結果が当日中に得られ、直ちに対応可能な体制が整って」おり、「間質性肺疾患などの副作用に対して、専門性を有する医師と連携し、直ちに適切な処置ができる体制が整って」いることなど

オプジーボを非小細胞肺がん治療に用いる場合の最適使用推進ガイドライン案(抜粋)1:施設要件として「がん診療連携拠点病院」であることや、「副作用に速やかに対応できる体制が整っている」ことなどがあげられた
オプジーボを非小細胞肺がん治療に用いる場合の最適使用推進ガイドライン案(抜粋)1:施設要件として「がん診療連携拠点病院」であることや、「副作用に速やかに対応できる体制が整っている」ことなどがあげられた

 

 また(4)の対象患者については、安全性の観点から「本剤成分に過敏症の既往歴がある患者」は禁忌とされ、「間質性肺疾患の合併または既往のある患者」などは慎重投与となっています。また、▼プラチナ製剤を含む化学療法歴を有する切除不能なIIIB期/IV期または再発の扁平上皮がん患者▼プラチナ製剤を含む化学療法歴を有する切除不能なIIIB期/IV期または再発の非扁平上皮がん患者―に有効性が確認されていますが、後者(非扁平上皮がん患者)では、PD-L1発現率によって有効性の傾向が異なることが示唆される結果が出ているため、「PD-L1発現率も確認した上で投与可否の判断をすることが望ましい」とされました。確認の結果、PDL-L1発現率が1%未満の場合には、原則としてドセタキセルなど他の抗悪性腫瘍剤の投与を優先することになります。

オプジーボを非小細胞肺がん治療に用いる場合の最適使用推進ガイドライン案(抜粋)2:患者要件として安全性と有効性に分けて記載がなされている。非扁平上皮がんではPD-L1発現率の確認が望ましいとされている
オプジーボを非小細胞肺がん治療に用いる場合の最適使用推進ガイドライン案(抜粋)2:患者要件として安全性と有効性に分けて記載がなされている。非扁平上皮がんではPD-L1発現率の確認が望ましいとされている

 この点について山田医薬品審査管理課長は、「PD-L1発現率の確認には肺生検が必要で、検査できない患者もいることから確認を必須とはしていない。そうした場合には『検査ができない』旨などを示してもらうことになるのではないか」とコメントしています。ガイドラインが確定した後に、厚労省保険局医療課で「保険診療上の留意事項」通知などに落とし込まれますが、その中で具体的な規定が行われます(例えば、レセプトの摘要欄に検査できない理由の記載を求めることなどが考えられる)。

 なお、オプジーボは化学療法未治療の患者については適応が認められていないため、保険診療上は「化学療法未治療患者への投与」はできません。

 

 今後、関係学会とさらなる調整を行った上でガイドラインが固められ、留意事項通知が発出されますが、山田医薬品審査管理課長は「製薬メーカー(小野薬品工業)が自主的に適正使用を進めており、ガイドラインに近い状況での使用がなされているようだ。ただしPD-L1確認キットは最近承認されたばかりであり、その点での患者選択はメーカーサイドではなされていない」ことも紹介しています。

 

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