介護療養からの新たな転換先、現在の介護療養よりも収益性は向上する可能性―日慢協試算



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 介護療養病床などからの新たな転換先(新類型)について、現行の介護療養病床相当・転換型老健相当の報酬が維持されると仮定した場合、医療内包型のIでは1か月当たり約181万円、医療内包型のIIでは約465万円、医療外付型(併設型)では約562万円の収支差が生まれ、現行の介護療養病床(機能強化型以外、約74万円)よりも収益性が向上する可能性がある―(いずれも50床当たり)。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、8日の定例記者会見でこのような試算結果を公表しました。

12月8日の理事会後、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長
12月8日の理事会後、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長

医療内包Iでは50床・月当たり181万円、内包IIでは465万円の収益との試算

 社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」では、介護療養病床などからの新たな転換先についての議論を重ね、7日に意見の取りまとめを行いました。

 ただし、今後の介護保険法改正、介護報酬の設定(2018年2月予定)などを待たなければ新類型の具体的な姿は見えてきません。日慢協では、介護療養病床などを持つ医療機関の検討・準備に供するために、一定の仮定を置いて、「新類型の収益性」について試算を行ったものです。

 試算結果を見ると、50床・1か月当たりの収支差は、▼現行の介護療養(機能強化型以外)では約74万円▼医療内包型Iでは約181万円▼医療内包型IIでは約465万円▼医療外付型(併設型、居住スペースを特定施設入居者生活介護を受けた有料老人ホームとした場合)では約562万円▼医療外付型(併設型、居住スペースを経費老人ホームとした場合)では約383万円―となり、現行の介護療養から新類型に転換した場合に収益性が向上する可能性があることが分かりました。

【現行の介護療養(機能強化型以外)】:収支差・約74万円

▽収入:2194万円 【療養型介護療養施設サービス費1160単位(看護6対1・介護4対1、多床室、機能強化型以外、要介護4)、栄養マネジメント加算、サービス提供体制強化加算など、食費、居住費】

▽支出:2120万円 【人件費1360万円(医師48対1、看護6対1、介護4対1、医師・看護・介護の夜勤手当、PT・OT配置など)、材料費400万円、経費360万円】

【医療内包型I】:収支差:約181万円

▽収入:2194万円 【療養型介護療養施設サービス費相当1160単位(看護6対1・介護4対1、多床室、機能強化型以外、要介護4)、栄養マネジメント加算、サービス提供体制強化加算など、食費、居住費】(介護療養と変わらず)

▽支出:2013万円 【人件費1253万円(医師48対1、看護6対1、介護4対1、看護・介護の夜勤手当、PT・OT配置など)、材料費400万円、経費360万円】(医師の夜勤分、人件費が減少)

【医療内包型II】:収支差・約465万円

▽収入:1969万5000万円 【介護保険施設サービス費相当1043単位(療養型老健、看護オンコール体制、多床室・療養型、要介護4)、短期集中リハ実施加算、栄養マネジメント加算、認知症ケア加算など、食費、居住費】

▽支出:1505万円万円 【人件費1253万円(医師100対1、看護・介護3対1、介護2名の夜勤手当、PTまたはOT配置など)、材料費310万円、経費384万円】

【医療外付型(併設型、居住スペースを特定施設入居者生活介護を受けた有料老人ホームとした場合)】:収支差・約562万円

▽収入:1735万円 【特定施設入居者生活介護費(要介護4)730単位、機能訓練加算、医療機関連携加算など、事務費・生活費・管理費】

▽支出:1173万円 【人件費730万円(看護・介護3対1、介護1名の夜勤手当、施設長など)、経費443万円】

【医療外付型(併設型、居住スペースを経費老人ホームとした場合)】:収支差・約383万円

▽収入:2019万3200万円 【併設病院における介護保険サービス収入1519万円、事務費・生活費・管理費など】

▽支出:1636万円 【人件費1136万円(介護2名、施設長、併設病院スタッフなど)、経費500万円】

日本慢性期医療協会では、介護療養病床などからの新たな転換先(新たな介護保険施設)について、一定の仮定を置いて収益性に関する試算を行った
日本慢性期医療協会では、介護療養病床などからの新たな転換先(新たな介護保険施設)について、一定の仮定を置いて収益性に関する試算を行った
介護療養に生活機能をプラスアルファした新たな介護保険施設を創設し、利用者像によって2つに区分する考えが示された
介護療養に生活機能をプラスアルファした新たな介護保険施設を創設し、利用者像によって2つに区分する考えが示された
医療外付け型では、同一建物内でも医療機関と居住スペースの併設を認めることになる
医療外付け型では、同一建物内でも医療機関と居住スペースの併設を認めることになる
 

 この試算結果を踏まえて武久会長は、「現在の介護療養のほうが収益性が高いということはなさそうである。おそらく介護療養の多くは医療内包型IIにシフトし、医療内包型Iへの転換するところは少ないのではないか。また重度者については、医療療養病床の人員配置を手厚くし、そこで受け入れることになるのではないか」と見通しています。

 

 なお新類型については「介護療養などからの転換を優先するため、一般病床からの転換・参入も認めるが、一定期間制限する」といった方向が見えてきており、法案策定過程において、その制限機関を3年とするのか、6年とするのかなどを決めることになります(関連記事はこちらこちら)。この点について武久会長は、「一般病床でも急性期でなく、地域で苦労しているところもある。そうした病院には3年程度で門戸を開放してもよいのではないか」との見解を示しました。

  

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