第7次医療計画の作成指針の議論が大詰め、厚労省が叩き台示す―医療計画見直し検討会



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 2018年度からの第7次医療計画に向けて、厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の議論が大詰めを迎えています。

 24日の検討会では、厚労省から意見取りまとめに向けた叩き台が示されました。基準病床数の算定式や、5疾病・5事業や在宅医療の整備や進捗状況の評価に向けた考え方が示されています(関連記事はこちらこちら)。

 検討会では年内に意見を取りまとめ、年明けに厚労省から告示や関係通知が発出されますが、「医師需給」問題などは結論が年明けにまとまるため、「何段階かに分けた告示」が公布される可能性もあります。

11月24日に開催された、「第7回 医療計画の見直し等に関する検討会」
11月24日に開催された、「第7回 医療計画の見直し等に関する検討会」

基準病床数では、「平均在院日数の地域差是正」などを織り込む

 第7次医療計画は2018年度から6年間を対象としたものとなります。都道府県では2017年度中に計画を作成し、その拠り所となる指針などが今年度(2016年度)中に示される見込みです。

 検討会では指針策定に向けた「意見」(厚生労働大臣が意見に沿って指針を策定する)の整理を進めており、24日には厚労省から「叩き台」が示され、これに基づいた意見交換を行いました。叩き台は、大きく(1)医療計画全体(2)5疾病・5事業および在宅医療のそれぞれの連携体制―の2つのパートで構成されます。

 (1)の医療計画全体では、2025年に向けて▼病病連携、病診連携▼歯科との連携▼薬局との連携▼訪問看護ステーションとの連携―を進めることを確認。その上で、事実上の「地域における病床数上限」となる基準病床数の算定式について具体的に記載しています。

 準病床数の算定式については、これまでにメディ・ウォッチでお伝えしているとおり「病床利用率」や「平均在院日数」の考え方を一部見直すことになります。

 特に平均在院日数については、地域差の是正を進めることとしており、これまでの「経年変化」に加えて、▼平均在院日数の経年推移▼各地方ブロックの差異▼将来のあるべき医療提供体制の構築に向けた取り組み―の要素を勘案することになります。

 現在は、全ブロックともに一律に「平均在院日数が計画期間中に10%短縮する」ことを見込んでいますが、2018年度からは▼平均在院日数が全国平均を下回るブロックでは、自ブロックの変化率▼平均在院日数が全国平均を上回るブロックでは、「全国値+α」と自ブロックの変化率を比較し、より大きな変化率―を見て、各ブロックの平均在院日数が設定されることになります。

 また、告示では具体的な平均在院日数が示されるにとどまり「α」の実態が個別に示されることはありませんが、厚労省医政局地域医療計画課の担当者によれば、直近6年間の平均在院日数の短縮率は全国平均で11%程度(全国値)、ブロックによっては13%程度となっており「全国値+α」は12%程度(激変緩和のため13%と11%の間をとるイメージ)になることが想定されています。

 なお、「医療資源投入量の少ない患者」(1日175点未満)の取り扱いについては、平均在院日数短縮に織り込むことが前回会合で了承されており、具体的に「どれだけの在院日数短縮として見込むか」は、今後、厚労省内で精査されることになります。

 

 ところで基準病床数については、ICUやHCUなどの取り扱いが注目されます。現在、都道府県によってICUなどを基準病床数の「内数」に入れて考えているところと、「外」と考えているところとあります。これは医療提供体制の整備において不公平を生むため、2018年度からは「原則として、基準病床数の内数と考える」(つまりICUなどのベッド数も既存病床数としてカウントする)ことが検討されています。もっとも、すでに整備されているICUなどは、この対象からは除外される見込みです。厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「多様な治療室の類型が存在しており、診療報酬における施設基準などを参考にしながら、定義も含めて検討していく」との見解を示しています。

脳卒中対策、構成員からは「排泄の自立」を勘案するよう求める意見も

 (2)の5疾病・5事業などについては、厚労省の他検討会(例えば、がんについては「がん対策推進協議会」や「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」など)の議論を踏まえて、必要な見直しが行われます。また第6次医療計画で求められているPDCAサイクルを回しやすくするために、評価指標の見直しも行われます。

 大きな方向は11月9日の前回会合ですでに固められています。

 例えば5疾病のうち「脳卒中」については、▼標準的治療の普及(脳血管内治療の科学的根拠の確立など)▼一貫したリハビリの実施(発症早期のリハビリ推進と、回復期・維持期リハビリへの間断なき移行など)▼合併症予防の推進(誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア実施に向けた医科歯科連携など)―といった方向が示されています。

 また指標としては、新たに▼脳梗塞に対する脳血管内治療(K178-4『経皮的脳血栓回収術など』の実施件数▼脳血管疾患より救急搬送された患者の圏域外への搬送率▼嚥下機能評価の実施件数―を追加するほか、▽要介護認定患者のうち、脳卒中を主な原因とする患者の割合▽脳卒中患者のうち、地域連携診療計画加算の算定率―などを指標化できないかさらに検討するとしています。

 この点について齋藤訓子構成員(日本看護協会常任理事)は、「排泄の自立」の重要性を訴え、2016年度診療報酬改定で新設された『排尿自立指導料』の算定件数などを新たな指標に加えて進捗状況を評価してはどうかと提案しています。

 排泄の自立の重要性は、例えば日本慢性期医療協会の武久洋三会長らも強調しており、今後、積極的に検討していくべきでしょう。ただし、新設された診療報酬項目は概して算定件数が少ないため、それを評価指標として「なぜ進まないのか」という背景の分析にまで到達することは難しいようです。

 

 また在宅医療については、▼医療・介護サービスが地域の実情に応じて補完的に提供されるよう、都道府県や市町村関係者の『協議の場』を設置し、介護保険事業計画などと整合的な目標を検討する▼協議の進め方やサービス付き高齢者向け住宅の整備計画、療養病床の動向など、在宅医療提供体制を考える上での留意事項について国から都道府県に示していく▼在宅医療にかかる圏域設定や課題把握を徹底する▼多様な職種・事業者が参加することを想定した施策(地域住民への啓発、入院医療機関に対する在宅療養可能な患者像の研修、入院医療機関とかかりつけ医療機関などとの情報共有のための協議など)を進める▼医師会との連携などにより「在宅医療・介護連携推進事業」への支援を行う―といった方向が示されました。在宅においては、とくに「医療・介護連携」が極めて重要になり、こうしたテーマは社会保障審議会・介護保険部会などでも議論されています。

 さらに、評価指標については、▼在宅患者訪問診療料、往診料を算定している医療機関数▼24時間体制をとる訪問看護ステーション数▼歯科訪問診療料を算定している医療機関数▼在宅患者訪問薬剤管理指導料や居宅療養管理指導費を算定している医療施設数▼退院支援加算、退院後訪問指導料を算定している医療機関数▼ターミナルケア加算を算定している医療機関数―などを新たに設定し、在宅医療の実績を見ていく考えを明確にしています。

 

 なお、5疾病・5事業などの医療計画の進捗状況を評価する指標について、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は▼各都道府県の状況を比較するために必要な項目は必須▼都道府県が自身の状況を確認するための項目(任意)―とグルーピングする考えを示しています。

  

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