リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長



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 脳卒中などの発症後、早期に短期集中リハビリを実施することが重要である。このため、リハビリ能力の低い急性期病院では、入院から20日までにリハビリ能力の高い後方病院に患者を送るべきである―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、17日の理事会後に開催した記者会見で、こういった提言を行いました(関連記事はこちらこちら)。

11月16日の理事会後、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長
11月16日の理事会後、記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長

短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減

 この提言は、17日の日慢協理事会で承認された「日本の寝たきりを半分」にするための10か条に基づくものです。

 武久会長は、我が国の医療、とくにリハビリについて、▼急性期病院で十分なリハビリ(1日9-15単位、つまり3-5時間)が行われていないケースがある▼急性期治療において十分な栄養管理・水分補給が行われていない▼診療報酬の規定により、例えば脳卒中発症から1か月目でも、6か月目でも、同じ1日9単位のリハビリとなっている▼一律に自立歩行復帰が目標とされている―などといった問題点があることを指摘。

 これらを改革しなければ、寝たきり患者が減らないとし、次の10か条の提言をまとめています。

(1)急性期リハビリの充実(入院日からのリハビリ)

(2)急性期リハビリ能力のない場合、入院後20日までにリハビリ能力と治療能力のあるPost acute(後方病院)に患者を移す

(3)高齢者の急性期治療の改善(栄養・水分出納・身体侵襲の軽減)

(4)嚥下・排泄リハビリの優先

(5)短期集中リハビリのできる環境に

(6)「寝たきり」より「座りきり」

(7)無理な歩行訓練より車いす自立を

(8)慢性期治療の徹底

(9)延命ではなく日常復帰を

(10)慢性期総合診療医の養成

 これらは大きく「急性期状態からの早期リハビリなどの充実」((1)から(5))と「リハビリのあるべき姿の共有」((6から(10))に分けて考えることができそうです。

 (1)と(2)はセットで考えることができます。武久会長は「リハビリ能力のある急性期病院では早期にリハビリを開始し、能力の低い急性期病院では早期に後方病床に患者を送るべき」と強調しました。

 また(5)では、リハビリの診療報酬を包括化することで、より患者の状態に合わせた柔軟かつ適切なリハビリ(早期の集中リハビリを可能とし、維持期の箇条リハビリを適正化する)の実施が可能になると武久会長は提案しています。

 一方(6)と(7)は、急性期病院のみならず、リハビリに携わるすべての病院への提言と言えます。武久会長は、「低栄養などでリハビリの効果が落ち、寝たきりになっていく」という実態があることを指摘し、「離床コーディネーター」を多くの病棟に配置し、1日数回、患者を離床させることを徹底すべきと訴えます。コーディネーターの職種については、理学療法士などのリハビリ専門職種が主導すべきとしたものの、看護師や介護師なども広く対象になるとの見解を示しています。

 さらに武久会長は(8)から(10)で、「超高齢者であっても、治せる傷病は治療し、天寿を全うさせることが必要である。十分に治療できない病院ほど、適切な治療を行えないことを『ターミナル』という言葉で逃げている」とも訴えました。

  

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