患者一人ひとりに寄り添った医療を提供するため、ICTの徹底活用を―厚労省懇談会



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 患者一人ひとりに最適な医療を提供するため、ICTの技術革新を保健医療分野にも徹底的に取り入れ、これまでの「集まる」「分散している」「たこつぼ化している」医療データを、「価値を生み出す」「統合している」「安全かつ開かれた利用ができる」医療データに転換していく必要がある―。

 厚生労働省の「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」が19日、このような提言をまとめました(厚労省のサイトはこちらこちら)。

分散されたデータを統合し、産官学が活用できるプラットフォームの整備を

 懇談会は、保健医療分野における現状のICT活用について「価値が共有されていない」「たこつぼ化している」と指摘。さらに、塩崎恭久厚生労働大臣が音頭をとってまとめた『保健医療2035』では、ICTを活用して「医療技術評価を導入し、診療報酬点数に反映させることなどを通じて保健医療の価値を高めていく必要がある」と提言されていることも踏まえて、ICTの技術革新を徹底的に取り入れることが必要と強調。

 具体的には、次の3つの転換を進めることが必要と提言します。

(1)これまでの「集まるデータ」から、治療成績の比較や、診療プロセスの検証に役立つような「価値を生み出すデータ」への転換

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(2)これまでの分散されたデータの統合

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(3)安全性を確保した上での官民学によるデータ活用

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 さらに、これらを実現するために「次世代型保健医療システム」を構築することも提言しています。

 まず(2)にあるように、救急医療機関などの急性期医療、かかりつけ医の提供する医療、リハビリテーションなどの個々人に関する膨大な、しかし分散されたデータを統合する必要があります。懇談会では、「患者・国民を中心に保健医療情報をどこでも活用できるオープンな情報基盤(PeOPle:Person centered Open Platform for wellbeing、仮称)を整備することを提案します。ただし、保健医療に関する情報は機微性が極めて高いことから、この情報基盤PeOPLeへの参加については、患者・国民が一人ひとり同意することを原則とするとともに、十分なセキュリティ環境、患者・国民が自身の情報をコントロールできる権限の確保(例えば、どこまで自身の情報を共有してよいかを設定できる仕組みなど)なども必要としています。

 次に、こうした統合されたビッグデータを、一部の人間だけでなく、(3)にあるように「さまざまな主体が活用できる」ようにすることが必要です。行政機関や大学などの研究者だけではなく、民間の研究機関などが活用できれば、より解析・分析がスピーディに、かつ精緻に進み、新たな知見が生まれると期待できます。もちろん、前述のとおり機微性の高いデータであることから、懇談会では「産官学の多様なニーズに応じて、保健医療データを目的別に収集・加工(匿名化など)して提供できるデータ利活用プラットフォーム(仮称)を整備する」ことを求めています。

 さらに、最新のAI技術などを駆使した次世代型ヘルスケアマネジメントシステム(仮称)によって、(1)で示したようにビッグデータを「価値を生み出すデータ」に転換することで、新たな治療法の研究開発や、患者個々人に最適な治療方法を選択する際に利活用することが期待できます。

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 なお、懇談会では、このシステムを構築するために、例えば、2020年度までに「AIを用いた病理診断技術」「小児ウイルス感染症の選別技術」などを開発する、2018年度までに「医療等ID」や「オンラインによる資格確認」などの開発を進め、19年度から段階的に運用していくことなども提言しています。

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