2016年7月に報告された医療事故は32件、制度開始からの累計で317件―日本医療安全調査機構



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 今年(2016年)7月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は32件で、制度発足(2015年10月)からの累計で317件の医療事故が報告された。また、院内調査が済んだ事例は累計で112件、センターへの調査依頼は同じく9件となった―。

 こうした状況が、日本で唯一のセンターとして指定されている日本医療安全調査機構から9日に発表されました(関連記事はこちらこちら)(機構のサイトはこちら)。

317件の医療事故のうち35%で院内調査が完了、センターへの調査依頼は9件

 医療事故調査制度では、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」すべてが報告対象になります。死亡事故であっても、例えば「処方薬に強い副作用があり、死亡する可能性が高いことを医療機関の管理者が予期し、患者・家族などに説明している」ような場合には、報告対象となりません。調査制度の目的は、当該医療機関やセンターにおいて「再発防止策」を探ることにあるからです(関連記事はこちら)。

 調査制度は昨年(2015年)10月からスタートし、日本医療安全調査機構は医療事故の報告状況などを毎月公表しています。今年(2016年)7月には、医療事故が32件報告され、制度発足からの累計報告件数は317件となりました。

 今年7月の報告は病院から31件・診療所から1件で、診療科別に見ると▽外科7件▽内科4件▽心臓血管外科3件―などという状況です。

2016年7月に32件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で317件の医療事故が報告されている
2016年7月に32件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で317件の医療事故が報告されている
 

 また医療機関からセンターへの相談は、今年7月には139件寄せられ、制度発足からの累計は1520件となっています。内訳を見ると、医療機関から72件、遺族などから58件、その他9件となっています。医療機関からの相談内容は、「院内調査」に関するものが43件でもっとも多く、次いで「医療事故に該当するか否かの判断」(生存事例に関する相談など)20件、「医療事故報告に関する手続き」27件などが多くなっています。遺族などからの相談は「医療事故に該当するか否かの判断」(同)が40件と圧倒的です(複数回答)。

センターへの相談は2016年7月に139件あり、うち72件が医療機関から、58件が遺族からとなっている
センターへの相談は2016年7月に139件あり、うち72件が医療機関から、58件が遺族からとなっている
 

 医療事故が発生した医療機関では、まず院内で調査を行います(関連記事はこちら)。今年7月に新たに院内調査が済んだのは20件で、制度発足からの累計で112件となりました。報告された全317件のうち35.3%で院内調査が済んでいる状況です。前月には32.3%で院内調査が済んでいたので、1か月で3.0ポイントアップしており、院内調査のスピードが上がっていると考えられそうです。

医療事故を報告した医療機関で院内調査が済んだものは2016年7月に20件、制度発足からの累計で112件となり、院内調査のスピードが上がっている状況が見える
医療事故を報告した医療機関で院内調査が済んだものは2016年7月に20件、制度発足からの累計で112件となり、院内調査のスピードが上がっている状況が見える

 ところで遺族の中には院内調査結果に満足がいかない人も出てくるでしょう。またとくに小規模の医療機関では、院内調査を十分に行えないところもあります(医師会や病院団体などの支援団体がサポートを行う仕組みもある、関連記事はこちらこちら)。こうした場合、遺族や医療機関はセンターに調査を依頼することが可能です(関連記事はこちら)。調査結果はもちろん依頼者にフィードバックされます。今年7月にセンターに調査依頼があったのは5件(遺族から3件、医療機関から2件)で、制度発足からの累計で9件(遺族から6件、医療機関から3件)となりました。

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